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97話 再起動

よろしくお願いします!

 



 シズクside




 ゲラルドとの戦いの後、私は単身、聖樹教会に来ていた。

 ユグドラシルの異変を見て、もしかしたらシャトヤーン様に何かあったのかもしれないと心配になって。


 そしてその予感は当たり、トランスヴァールの紋章を掲げた戦士達と魔物が、建物の外側から内側まで教会全体を占領していた。

 ユグドラシルを守護していた竜王国の戦士達も、たくさんの魔物にやられ地に伏している。


 教会の騎士団もほとんどがやられていて、既に手遅れな状態の人もいた。私は回復魔法が使えないから、傷を治してあげたくても出来ない。



 この状況を何とかするために、皆さんの力をお借りしたいのですが。

 タクトさんはドレアムと戦闘中みたいで、空もまるで夜が迎えたように真っ暗になったかと思うと、雷や地震まで起き始めて戦いの激しさは増す一方だ。


 この場の制圧は、私一人でも何とかなると思うけど怪我人を観ることは出来ない。

 ここは、やっぱりアルフィン様の力が必要ですね。

 まずはアルフィン様に連絡を取ってこちらの状況を伝え、助けに来てもらえる様にお願いした。



 それまでに私は、ここを解放しておかないといけない。

 外側を占領していた、戦士達を倒して中に侵入する。

 刀を交えた方は目が虚ろで呂律が回らず、明らかに様子がおかしい。

 もしかしたら、これもドレアムの仕業かもしれません。


 入口を突破して中に入ると、行く手を阻むように、たくさんの魔物が先輩騎士や、同僚の死体を大量に作り出していた。

 私がつい最近まで生まれ育ったこの場所の変わりように、胸を痛めながら建物の奥へと駆けていると。


 

 城の方から、おぞましく圧倒的な力が現れるのを感じた。



「……この魔力は……ドレアムよりも、邪悪で……強大な……。いけない急がないと……ハーディーンが」



 おそらく最悪な展開になってしまったのを感じながら、講堂の奥にあるユグドラシルの間に突入する。



「シャトヤーン様!」



 開け放たれていた扉から、中に入る。



「シズク! 来てくれたのですね」



 シャトヤーン様はトランスヴァールの戦士隊に、両手を後ろで縛られ拘束されていた。

 その近くには、シャトヤーン様のお世話をする女中の人達が首元に刃物を突きつけられている。



「今すぐ助けます――」



「シズク! 待ってください!」



 一瞬で彼等を無効化すれば被害は出ないと、刀を構えるとシャトヤーン様から制止の声がかかる。



「……彼等を傷つけてはいけません。ドレアムに、洗脳されているユルゲン陛下や兵の人達、人質も殺されてしまいます」



 私が動き出そうとすると、拘束している戦士隊がシャトヤーン様と人質の首に刃を突き刺そうとした。

 シャトヤーン様が言われるとおり、抵抗したら殺されてしまう……。


 講堂に向かう道中アルフィン様に連絡を取った時には、ユルゲン陛下が少し様子がおかしいから休んでもらうと、言われていた。

 そうなると、陛下も洗脳されている可能性が高い。


 ヘタに行動すると、皆殺されてしまう。

 ですが、このまま何もしないわけには……。

 急がないと、ハーディーンがここまで来てしまうかもしれない。


 どうするべきかと考えている最中にも、戦士達は刀で切りつけてくる。

 それを捌きながら、突破口を探すけど見つからない。


 抵抗すれば洗脳されている人達が殺されてしまう。

 だけど、何もしなければ……。

 答えが出ないまま、堂々巡りになっていた時。



「これは……ドレアムの魔力が消失した?」



 ドレアムの魔力が消え去ったのを感知した。

 と、いうことは。



「タクトさん勝ったのですね! ……それなら!」



 タクトさんが、ドレアムを倒してくれたこの隙に、操られている人達を無効化さえすれば人質は助かる!


 一瞬で戦士達に接近し、一気にこの場を制圧する。

 この旅で鍛えてきた力が、この場でも発揮されて良かったです。誰一人傷つくことなく済んだ。



「シャトヤーン様。お怪我はありませんか?」



 シャトヤーン様の両手を縛っていたロープを切った。



「ええ。ありがとうございます。お陰で、被害は抑えられました。少し見ない間にシズク……成長しましたね。立派な姿を見られて嬉しく思います」



 拘束を解かれ動けるようになったシャトヤーン様が立ち上がり、抱き締めてくれた。



「シャトヤーン様……。ありがとうございます。私も嬉しいです。……ですが今は、復活してしまったハーディーンに対抗しなければ」



「ええ。分かっています。先ずは、ユグドラシルを()()()しないといけません」



「やはり、一旦止められたのですね?」



「はい。ドレアムに操られていた、ユルゲン陛下が直接来られて『従わないと、皆を殺す』そう命令をされました。人質を取られていたとはいえ、ユグドラシルを優先しなかった。わたしは聖女失格です」



「……そんな事は」



 お優しいシャトヤーン様だ。

 人質を優先するのも気持ちがわかります。

 私も、同じ立場なら……。



「ですが。今はしっかりとやるべき事をしないといけません。

 このままだと、世界は崩壊してしまいます。シズクも手伝ってくれますね?」



「はい、勿論です。ただ、ユグドラシルがまた力を発揮するまでどれぐらいかかるのですか?」



「おそらく、一日はかかるかと。それまでの間は、ユグドラシルは無防備になってしまいます」



 一日……。

 その間は、ここを絶対に守らなくては。



 シャトヤーン様と、破邪の力でユグドラシルの再起動に取り掛かった。



 シズクside

 out


お読み頂きありがとうございました

(*- -)(*_ _)ペコリ

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