8話 マギア・フロンティア
いつも読んでくださる方々ありがとうございます。
今回は説明回なります。
よろしくお願いします！
具体的にこれからどうするかを話し合う事になり、俺達は作戦参謀室に移動した。
その席には、アルフィン、ユルゲン陛下、魔法大臣リーフ、ルフト宰相、その他のお偉い方、そして、アルフィンの治癒魔法で意識を取り戻したレスターも座っている。
主要メンバーが着席したのを見計らい、俺は切り出した。
「まず、この世界の事を詳しく教えてください。先程説明しましたが、俺は異世界から来ました。この世界の事、国、どういう文化なのかも教えてもらいたいです」
これからの事を決めるにしても、この世界の情報を何も知らないと始まらない。
魔法がこの世界の生活にどれだけ関わっているかも、出来れば知っておきたい
俺が思っているより、魔法が有用であれば、色々出来るかもしれないからだ。
「分かった。説明はリーフがおこなう。知識量に関しては、この国一番だからな。リーフ頼む」
「それでは私から説明させて頂きます」
リーフさんの口から説明された事は、
この世界の名前は、『マギア・フロンティア』という名前らしい。
国の数は、7つ。
北から
エデン王国
ルーデウス帝国
エリス王国
バラガン公国
クリスタ王国
竜王国
トランスヴァール皇国。
魔法は、大気中にある魔素を使う事で使用でき、魔力操作を行える人は誰でも扱えるらしい。
火をおこした、水を生み出したりとだいたいの事は魔法で出来るらしい。
思っていたより、魔法は身近にあるものみたいだ。
ただ、残念だが死んだ人を蘇らす事は出来ない。
文明レベルは近世ぐらいだろうか。
移動に関しては、基本徒歩か馬車。
海を渡るときは、船を使用する。
各国や街には、ギルドがあり、依頼主からクエストという形で、魔物退治や商人の護衛など多種にわたる。
依頼を受けることで生活費を稼いでいる冒険者も沢山いるようだ。
昔ユーリがいた時代には、ワープの石盤というアイテムを使い、魔力を大量に消費して各場所に設置された石盤から石盤へとワープ魔法が使えた様だ。
現代では、そこまでの魔力を扱う者がいないとの事で出来ないらしい。
これも、暇がある時に試してみたい。
もしまた使える様になったら、冒険の効率は段違いによくなる。
「魔法の有用性は分かりました。次にこれからの行動を決めたいので、世界地図を貰いたいのですが。」
ルフト宰相から世界地図を貰った。
地図を見ると、
トランスヴァール皇国が最南端に位置している。
邪神ハーディーンの根城の暗黒大陸は最北端か。
トランスヴァールの東側には、アルフィンが御使いに行こうとしたクリスタ王国がある。
トランスヴァールの南には、街の外から見えた聖樹ユグドラシルが記されている。
邪神を倒すことも重要だけど、ユグドラシルだけは絶対に死守しなければならない。
早く旅に出て、レベリングや仲間集めをしたい所だが……。
そうだな。先に自分が護る対象である、ユグドラシルを見ておきたい。
「大まかですが、それぞれの国の配置は把握しました。それで、まず、ユグドラシルを見たいのですが可能ですか？」
もしかしたら、特別な場所で許可とか必要かもしれないからユルゲン陛下に聞いてみた。
「ユグドラシルは、聖樹教会が砦を構え聖樹騎士団が護っている聖なる場所。入る場合は許可証が必要になる」
「許可証ですか」
「後でアルフィンに渡しておくので、それで入るがよい」
「ありがとうございます」
「その前に、この世界の歴史を話しておこう。大事な事だから知っておいた方がいいだろう」
ユルゲン陛下が説明してくれた内容は。
およそ400年前、邪神ハーディーンは世界に対し進軍した。
邪神の力は強大で、瞬く間に世界は邪神の手に堕ちていった。
その驚異から世界を救うため、ユーリ・ライゼ・トランスヴァールが立ち上がる。
後の皇后ラクスと、二人の英雄の四人を中心に世界各国が力を合わせ邪神軍と壮絶な戦いを行った。
ラクスはアルフィンと同じ邪神に対抗できる、治癒魔法が使えたが、邪神は強力でユーリでも自身の命と引き換えに封印するしかなかった。
この世界には5つの石碑がある。
その石碑に、邪神の力を5つに分けてユーリが封印した。
この国の地下にも石碑が一つある。
しかし、今から一年前に突如としてハーディーンが復活を果たした。
ハーディーンが復活したということは、残り4つは破壊されたか、封印を解除されたのだろう。
完全に力を取り戻していないとしても、ハーディーンの力は強大。
そして、ハーディーンには強力な配下もいる。
その四人の配下、四天王のその名前と情報も聞けた。
一人目はゲラルド。巨大な体躯で近接戦闘が恐ろしく強いらしい。
二人目はジャギ。ゲラルドとは反対で後衛から強力な魔法を放つ砲台タイプらしい。
三人目はデスタ。何でもできるオールラウンドで近接も後衛もどちらも強力みたいだ。
あと一人はドレアム。能力とかは不明。
名前だけが判明している。
世界にある5つの石碑か。
壊されたみたいだけど、もう一度石碑を作れれば再封印できるかもしれない。
そのためにアルフィンの治癒魔法が必要。
なるほど、女神が言っていた事はこのことか。
そして、四天王。
多分今の俺では敵わないだろう。
だけど、最終的にはこの四人も、そして、ハーディーンも倒さなくてはいけない。
でも、封印しても問題を先送りにしているだけな気がする。
勿論ユーリでさえ、封印の手段を使ったのだ。
そんな簡単な事では無いのだろう。
ユーリも倒そうとしたはずだ。仕方なく封印に踏み切ったのかもしれない。
ユーリも封印だけでは、いずれハーディーンが復活する事を予見して、数々の遺言を残し様々な手を打った。
各国には、前大戦で使用した、魔法具や強力な装備品を分けて保管している。
もしまた、戦いが始まったときには使用できる様に。
そして、世界全体の魔法力を向上するため、魔法の真髄を解いた教科書を作り、義務教育として、各国で学び、鍛えられる様にした。
もっとも難しすぎて、上級、特大魔法を扱う者は、まだ少ないらしい、最前線にいる、精鋭達は使えると言っていた。
上級、特大になると才能が必要なんだそうだ。
それでも、中級魔法ぐらいまでは使えるように水準を向上できたみたいで凄いと思う。
だからこそ、個々の能力では負けていてもギリギリではあるが、物量と人数で対抗出来ているらしい。
ある程度世界の状況が分かった事で、旅の行動順が固まってきた。
「以上がタクト殿にも知っておいて欲しいことだ。どうだろう情報を得て、これからの行動は決まったかの？」
「ある程度は固まりました。ユグドラシルを見に行く前に、石碑を見てもいいですか？ 旅に出る前に、実物を見ておきたいです」
「分かった。石碑までは、我が案内しよう。地下には宝物庫もある。タクト殿に渡したい物もあるからのう。
あと、これから世界を旅することになるなら、我の紋章が入った通行証を渡しておこう。これを見せれば、各国に入国するときにスムーズに入ることができるだろう。」
渡したい物か、なんだろうな。
王様から通行証を貰った。
キーアイテムってやつだな。
「それと、今日は初めてマギア・フロンティアに来ていきなりカイザーベアと戦ったのだ。疲れてたであろう。
出発は明日にして、ユグドラシルを見てきた後、アルフィンを助けてくれたお礼とタクト殿の歓迎会をしたいと思うがどうだろうか？」
確かにいきなり転生して、この世界に来ていきなりカイザーベアとの戦闘後、ユルゲン陛下に謁見してマギア・フロンティアの様々な事を聞いたのだ。
濃密な一日で疲れたかな。
歓迎会も嬉しい。
城の他の人とも話したかったから。
「お心遣いありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」
「そうか、そうか。ゆっくりされよ」
陛下も心なしか嬉しそうだ。本当にいい王様だ。
「それでは、これにて説明を終える。アルフィンは共に地下に来なさい。他の者は、歓迎会の準備と持ち場に戻って構わない」
「はい。分かりました」
アルフィンと同時に立ち上がり、作戦参謀室から出ようとしたところで、レスターから声をかけられた。
「すまん。少しいいか」
「あ、はい。大丈夫です」
アルフィンとユルゲン陛下に目線で少し待ってと言う。
「……俺は誤解していた様だ。貴公がハーディーンの手下で、姿を偽り、陛下やユグドラシルを狙っていると。
だが、貴公と戦いその力と、邪気のない魔力を感じそれが誤解だと分かった。
予言の救世主を疑ったあげく数々の暴言申し訳ない」
レスターさんが頭を下げて謝ってくれた。
誤解が解けて良かった。
この人はアルフィンも陛下もこの国を大事にしている人だと分かっていたし、立場上疑ってしまうのは仕方ない事だから気にしていない。
「いえ。俺は気にしていませんので気にしないでください。俺も実はレスターさんと模擬戦闘出来て、経験値を稼げてありがたいぐらいなんですから」
「そう言ってもらい感謝する……タクト殿の力は強大だ。私からも頼む、どうか、陛下をアルフィン様をそして世界を護る為、力を貸して共に戦って欲しい。」
レスターさんから握手を求められた。
勿論俺の答えは
「俺に護れる力があるなら、全力で使わせてもらいます。こちらこそこれからよろしくお願いします」
ガッチリと握手を交わす姿を、扉の方からユルゲン陛下とアルフィンが暖かい目線で見つめていた。
お読みいただきありがとうございます！
