73話 魔王VS四天王最強①
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俺と、ドレアムとの間に、戦場の熱を帯びた風が吹き抜けていく。
こうして、相対したら改めてドレアムの強さが伝わってきた。
「…………」
隙が見当たらない……。
アイツは構えも取らず、ただ立ってるだけなのに、いつでもお前を殺す事が出来るのだと言われているみたいだ。
まずは、ドレアムのステータスを確認した。
ドレアム
邪神軍四天王
レベル???
ん? ドレアムのレベルが確認できない。
俺のいまだに目覚めない、スキルと同じように。
「俺のステータスは、確認できたか?」
「……何で、俺がステータス表示スキルを使えると、知ってるんだ?」
「簡単なことだ。お前以外にも、使用できる者がいたということ」
そう言うって事は。
「お前も、持ってるんだな。スキルを」
「そういう事になる。今まで、このスキルを扱えた者は、希少。
俺と、お前に、神しか持っていな――いや……昔にお前の前身のユーリ・ライゼ・トランスヴァールも、使えていたな。
もっとも、お前には、一つだけ確認できないスキルがあるようだが」
「……そこまで、分かっちゃってるのか」
そういえば。
魔物と、コイツら四天王のステータスを見る時、名前、称号、レベルは分かるけど、スキルは見れなかった。
邪神軍はそういうものなのかと、自己完結してたけど、ドレアムのレベルが不明なのも、何か関係あるのかもしれない。
「かかってこい。貴様の実力をみてやる」
俺に向けて、挑発のポーズを取った。
「じゃあ……お言葉に、甘えて!」
俺の最大限の、魔力を纏い、身体能力を最大に高めて、ドレアムに向けて、地を蹴った。
こいつは、強いから最初から全力でいく。
「はぁっ!!」
俺が出せる、最速でドレアムの前に接近し、その顔を右拳で殴る。
「フム……」
それを、首を動かしただけで、ドレアムは躱した。
その勢いを利用し、地面を滑りながら、背後から蹴りをいれる。
「なるほど」
それも、体を反らしただけで、躱す。
「それじゃあ!」
ドレアムの周りを、縮地で移動しながら走り。
「はっ!!」
角度をつけたところから殴るが。
「フン」
それも避けられる。
「なろっ!」
足元に屈み、死角からの蹴りをいれる。
「なかなか」
それも、なんなくと躱され。
「これなら、どうだ!」
緩急もつけながら、連続で攻撃をしかけるが、それも。
「ぬるいな」
まるで、舞踏を舞う様に、華麗に避けられる。
色々な手で攻撃したのに、全て駄目だった。
何か策はないかと、ドレアムの全身を上から下へと順番に見ていくと。
「んん?……マジか」
ドレアムの足元には、俺が着けたもの以外に、足跡が増えていなかった。
つまり、動いていたのは俺だけで、アイツは、その場を動かずに、俺の攻撃を避けていたのか。
「ある程度貴様の実力が分かった。確かに、ゲラルドでは、相手にはならんな。ボロボロにされたのにも、納得がいく。
それに、これだけの動きが出来る者は、クラウド達でもいないだろう。よく鍛えたものだな」
ドレアムは、全く表情を変える事なく、無表情で俺を褒めるような事を言った。
「一歩も動かないで、俺の攻撃を避けたくせに。褒められてる気がしないぞ。褒めるんなら、せめてもっと表情変えろよ」
「貴様が、マギア・フロンティアに来て、まだ一ヶ月程度だというのにな」
無視かよ。
それに。
ドレアムは。
「俺がマギア・フロンティアにやって来た事。やっぱり知ってたのか」
「俺は、貴様がこのマギア・フロンティアに到着し、王女を護って戦っていたのを、カイザーベアを介し、観ていた。
今まで、様々と、策を弄してきた甲斐があるというものだ。それだけ、貴様の成長に繋がったのだからな」
やっぱり……か。
「……アルフィンを殺そうとしてカイザーベアを転送したのも、ガルカリ村の疫病を撒き散らしたのも。バラガン公国の、あの転移トラップダンジョンも、全てお前が」
アルフィンを護って死んでいった、護衛隊のクルーゼさん達の無念。
ガルカリ村の村長さんや、村の皆の犠牲、ナエの哀しみ。
そして、エデン王国で殺された、数えきれない人達の命。
それを思うと、怒りと、目の前のゲラルドに対して許せない気持ちが、増幅して、俺の魔力が高まっていく。
「何であんな酷い事をした!」
「なに。貴様ら人間が、いまだに古の予言を頼りに、我等と戦っているのは知っている。
前魔王が、様々な策を残し、貴様に希望が繋がるようにしていたことも。
だからこそ、それらを成長させた、段階で破壊すれば、それは、素晴らしい絶望に変わると思わないか?」
そんな事の為に、たくさんの人達が殺されたっていうのか。
そんな事の為に、こいつに踊らされて、いたっていうのか。
「お前! 皆がどんな気持ちだったと思ってんだ!!」
「フン。貴様らが感じる感情など苦しみと、恐怖、そして、絶望だけで充分だ。それ以外など、神が造るこの世界には不要。
それに『神からは言われている。最大限の苦しみを与え、人間共には絶望を』――――っ! ぐぅ! ……やるではないか……」
俺の右ストレートが、ドレアムの顔面を打ち抜いた。
「お前覚悟しろよ。今までやってきた事の責任取らせてやる」
「……ようやく、面白くなってきたか。貴様を今日まで殺さずに、チャンスを与えて育った力。存分に示すといい」
こいつにだけは、絶対負けられない。
負けたくない。
今まで、傷付けられてきた人達の為にも。
お読み頂きありがとうございました
(*_ _)ペコリ




