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67話 防衛戦①

よろしくお願いします!

 



 連合軍side




 連合軍の総力を賭けた、防衛戦が幕を下ろした。

 この戦いの勝利条件は、援軍が到着するまでの間、このルーデウス帝国を護り抜く事。


 敵の数は五万以上に対し、こちらの数は、およそ二万弱。

 エデン王国が壊滅したことで、今まで連合軍が唯一、邪神軍に勝っていた数の有利すら無くなった。

 それらから、とても厳しい戦いになることは全員が承知していた。

 それでも、生きて大切な人達の元へ帰る為に、その大切な人達が住む世界を護る為に、男達は決死の覚悟でこの戦いに挑んでいた。



 この戦いの図式は、邪神軍が攻なのに対して連合軍側は守になる。

 そのため、連合軍側からは無理に攻め込む事はしない。

 その部分からも、主導権は邪神軍側にあった。


 邪神軍はその優位性を生かし、魔物の軍勢が横並びとなって、突撃をかける。

 地鳴りの様な轟音を響かせ、目の前の大人数の人間を殺し、食らいつくすために、真っ直ぐに連合軍本部へと向かって来た。




 その突撃をまともに受けることになれば、いかにジェクト隊が行使している強力な結界でも、ひとたまりもない。

 その数の魔物に取り付かれれば、容易く破壊されてしまう。


 そこで、連合軍はまず後衛魔法と、バハムート隊のブレスでその膨大な数を減らすことにした。

 後衛魔法隊を率いるのは、ルーデウス帝国の皇帝である、アーロン。

 彼は、このマギア・フロンティアにおいて、最強クラスの遠距離魔法を使いこなす。

 そして、バハムートは竜王国の戦士隊を率いる隊長。

 バハムートは竜王国の最強の戦士として、その能力から吐き出されるブレスは、特級魔法と威力、規模共に引けをとらない。




「敵は、多種多様で有利属性もない状態だ。ここは自身が使える最大規模の魔法を放て。

 放った者は、後ろの列の者と入れ替わり、魔力を練る。魔力が溜まり次第、次の魔法を撃つ! よいか!!」



「「「はっ!」」」



 魔法隊からは、了解との返事がとぶ。

 アーロンは魔法が最大効果を発揮する地点まで、魔物を存分に引き寄せた後、合図をだした。



「よし! 今だ! 撃てぇーーーー!!」



 アーロンの命令で、続々と魔法が放たれる。

 流石、精鋭が集められた連合軍の魔法隊。

 扱うのは、全て上級魔法以上で、魔法具を使用し、全体の魔法レベルを底上げされている。

 その魔法隊が撃つ魔法は、無数の矢となって、降り注ぎ、魔物を吹き飛ばすもの、消滅させるもの、溶けて消えさるものと、確実に魔物の数を減らしていく。



「ワレ等も続くぞ。魔物の勢いを止める」



「「おう!!」」

 


 バハムートと、二人の竜王国戦士は魔法隊の近くに飛翔し、大きな口に高密度の魔力を溜めた。



「滅びの息吹き!!」



 バハムートの口から放たれたブレスは、まるでレーザービームーの様に、細く凝縮された魔力の奔流となり真っ直ぐに魔物へと向かっていく。

 それとほぼ同時に二人の戦士もブレスを放った。

 左から右へとなぎ払う様に放出され続けるそれらは、地面の断層にまで届きうるように、深い線を大地に刻んだ。



「バハムートも流石だな。よし俺も負けてられん。極光(きょっこう)!!」



 アーロンから放たれるのは、光属性の特級魔法。

 この魔法は、数ある魔法の中でも、規模、殲滅範囲に関しては最大規模の魔法。

 戦場に後光が射し込むような眩しい光は、一瞬にして広範囲の魔物を包み、消滅させる。

 この魔法一発で、五千は魔物を減らした。



「おお~! 流石アーロンの魔法だな。たった一発でかなりの魔物を喰らった。バハムートのブレスも相変わらずえげつねぇ」



 結界の守護を務めるジェクトも思わず褒める程の眩い光は、本部を護る為に、下がっている結界部隊の所まで届いた。



「さぁ! 次々にいくぞ。 準備が出来次第、放て!」



 アーロン隊の強力な魔法、バハムート隊のブレスで、約半数にまで魔物の数を減らすことに成功した。

 だが、魔物もそれに怯むことなく、依然として連合軍本部へと、突撃をするために、進軍してくる。


 いくら、魔法で殲滅をしていこうが、魔物の数はまだまだ圧倒的で、魔法の雨を潜り抜けて大多数が本部へと近づいてきた。



「近づいてきたか。数が多過ぎて、大規模魔法でも全てをとはいかないか」



 本部を狙う魔物は、クラウドが率いるバラガン公国隊が担当していた。

 クラウド隊は、後衛魔法は得意ではないが近接戦においては、無類の強さを発揮する。

 クラウドを先頭に、隊がずらっと並び魔物を迎え撃つ用意は出来ていた。



「クラウド。俺もギリギリまで、やるぞ! 俺も暴れてぇ!」



 そこへ、後方で待機をしているはずのジェクトがやってきた。



「ジェクト……お前が前に出てきて結界は大丈夫なのか?」



「おう。俺の部下もいるしな。それに、戦いながらでも結界は張れる」



「ここで、お前を消耗させたくはないのだが……一度言ったら聞かないんだったな?」



「そうだぜ? 俺の事良く分かってきたじゃねぇか?」



「ふっ。もう一年も共に戦っているからな。嫌でも覚えるさ」



「がはは! 違ぇねぇ! だがそれも、もういい加減終わらせてぇな」



「ああ。だからこそ、今を生き延びなければいけない」



「そうだな。それじゃあ……いっちょ暴れるとするかぁ。いくぜ!!」



「いこうか!!」



 二人は刻々と近づいてくる、魔物の群れに駆け出した。


お読み頂きありがとうございました!

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