65話 竜王国の戦士
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「危ない所だった。助けてくれた、そなたらに心からの感謝を」
大怪我をアルフィンが治し、起き上がれる様になったリューガが立ち上がり、礼を述べた。
初めて間近で竜王国の戦士を見たけど、7、8メートルはある。
デカイ。
人間が小さく見える。
「うわぁ~おっきいの! カッコいいの! 翼もあるの! 強そうなの!」
これだけ大きい生物を魔物以外で見るのは初めてだったらしく、目をキラキラと輝かせて、リューガの周りをぐるぐると動き回っている。
「そなたらの名前を教えて欲しい。命の恩人には、今すぐには無理だが、礼をさせてもらいたい。いいか?」
「助けるのは当たり前のことです気にしないでください。
お礼はいりませんが、これから共に戦う仲間として、自己紹介させてもらいます」
改めてお互いに名乗った。
「アルフィン王女に、聖樹教会のシズクと、この子供がナエか。
そして……タクト。古の予言通りに魔王が現れたのだな。
ユーリとは似ていないな」
「リューガさんよろしくお願いします。ユーリを知っているんですか?」
「リューガでいい。ワレは、400年前の大戦をユーリと共に戦った」
前大戦でユーリと一緒に戦ったのか。
人間族とは違い長命なんだな。
「竜王国の民は、皆そんなに長命なんですか?」
「そうだ。竜王国の民は長生きで、ワレは500年は生きている。
連合軍隊長のバハムートは700年ぐらいで、竜王は1000年ぐらいになる」
「凄いねー! リューちゃんも皆も長生きなの。ユーリおじいちゃんより、おじいちゃんなの」
「……リューちゃんではない……ワレはリューガだ」
「リューちゃんは、リューちゃんなの」
「……いや、リューガだと――」
「リューちゃんなの」
「…………」
リューガも、これ以上言っても無駄だと覚ったのだろう。
諦めて受け入れた。
「…………リューちゃんでいい」
「うん! よろしくねリューちゃん!」
「……よろしく頼む」
「「「あはは」」」
二人のやり取りに、笑い声が上がった。
リューガも、ナエには敵わないらしくタジタジだ。
アルフィンからは、竜王国の戦士達は、誇り高く邪な物を受け付けない種族だと聞いてたけど。
見た目は怖いが、竜王国の民は優しい心を持ってるんだな。
それから傷付き倒れていた人達、22人全員の治癒も終わり、主戦場へと向かうことにした。
リューガが背中に全員を乗せると言ってくれたけど、人数が多い為、リューガの背中に乗るもの、俺の飛翔魔法で飛んでいく者と分かれて向かうことにした。
ナエはリューガの背中に乗りたかったらしく。
「リューちゃんの背中に乗っていくの」と言って乗せてもらっている。
飛び心地なのか、何が気に入ったのか分からないが。
「きゃー! お兄ちゃんの魔法よりも速いの! 風がビュンビュン~」
リューガの背中が大層気に入ったらしく、はしゃいでいる。
ここで、ナエのお気に入りリストにリューガの背中が追加された。
一緒に横並びで空を飛んで移動している。
リューガは俺に合わせた速度で飛んでくれているけど、やっぱりリューガの方が速い。
それに、翼を広げ風を切るように飛んでいる姿はカッコいい。
ドラゴンとか、竜とかはファンタジーの筆頭だし。
俺も前世では、一度は乗ってみたいと思っていたっけ。
主戦場へと向かう途中、先々で連合軍とはぐれた人達を見つけた。
アルフィンに治癒で回復してもらい、その人達を保護しながら一緒に行動していた。
「タクト。竜王国には、もう行ったのか?」
リューガが話し掛けてくる。
「いえ、まだ行っていません」
「そうか。400年前にユーリからは、ハーディーンが復活した時には、魔王の称号を持つそなたの、力になるようにと頼まれている。
それで、竜王もそなたに会いたいと思っているはずだ。
最前線を建て直せたら、竜王に会ってもらいたい」
竜王国か。
旅の流れで、寄ることは出来なかったからな。
最終決戦に向けて、協力体制も築きたいところだ。
「分かりました。俺達も竜王に会って話をしたいです」
「ありがとう。先ずは、今を何とかしなくてはな」
「そうですね。戦況はドタバタしてますから、一旦落ち着けないと」
「その通りだ。――見えてきたあれが、最前線だ」
あれが……。
この距離からもはっきりと分かる。
何万人か分からない程の、人間の数。
これまた大量の魔物が、ぶつかり合っている。
地響きと、爆発音、空高くまで立ち上る煙、傷付き倒れる人の悲鳴、雄叫び。
赤、青、緑、白、黒などの魔法の閃光は皮肉だが、とても美しく見える。
この魔法一発、一発で、1人から複数人の命が失われる……。
魔法と魔法のぶつかり合いによって、これだけ離れた上空にいても、ビリビリと大気を震わせたものが伝わってくる。
これが人類の存亡を賭けた戦争なのか。
ラカンさんが、地上で行われている戦いを見て、語りだした。
「この戦いに負けると、邪神軍に世界の全てを蹂躙されることになる。だから我々は負けられないのだ。
皆、大切な存在を護りたいのだ。だから、何としてでもこの戦いに勝たねばならない」
「そうだ。故にワレもまた、死ぬ気で戦おう」
「はい。俺達で必ずこの戦いに勝ちましょう。よし! 行くぞ!」
全員で地上の最前線へと向かった。
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