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60話 凶報

いつも応援してくださる方ありがとうございます!

新たに読んでくださる方よろしくお願いいたします!


 




「それじゃあね、気をつけて行きなさい。昨日わたしが言った事覚えておいてね」



「色々と、本当にありがとうございました。

 俺も死にたくなんてないですから、そんな結果にならないよう頑張ります」



「信じているからね。エリスの力が必要になれば、このカードに連絡してちょうだい。わたしも使わせてもらうから」



 昨晩アリサ女王にも念話カードを渡しておいた。

 この先必要な場面が出てくると思うから。

 それと、何かあれば直ぐに駆け付けられる様に、エリス城の地下にワープの石盤を作製し設置させてもらった。



「ありがとうございます。アリサ女王のお力は頼りにさせてもらいます。必要な場面が必ずくると思いますので」



「うふふ。嬉しい事言ってくれるじゃない。

 そうだわ。夜寂しい時にでも連絡しちゃおうかしら? タクトもわたしに会えなくて寂しい時はいつでも連絡してちょうだい。

 あ~あ、わたしも側にいられればタクトのお世話もできるのに」



 アリサ女王が俺の胸元を優しく撫で、しなだれかかってくる。



「ご心配はいりませんわ。()()()()()()、タクトさんに寂しい思いはさせませんので」



「料理、洗濯、身の回りの御世話も()()()()()やりますので、アリサ女王はお気になさらずに」



 アルフィンとシズクが割って入り、アリサ女王を俺から引き離した。



「あら。昨日の続きでもするの? 受けてたつわよ?」



「それは、わたくし達の言葉ですわ」



 アルフィン達が、睨み合っている。



「やれやれなの」



 ナエが両腕の手のひらを上に向けて、お決まりのポーズを取った。

 やっぱり、ナエが一番しっかりしてるんじゃないだろうか。




 睨み合いを止めさせて、最後に挨拶をしてエリス王国を出発した。



「アリサ女王に本当の意味で協力体制を築けて良かった。

 これで、北東大陸でやっておきたいことは済んだかな」



「クララさんは残念でしたが、必ずお力が必要になった時は協力して頂けると思います」



「そうですね。クララさんであれば己を見つめて、答えを導き出せるはずです」



「クララお姉ちゃんは、大丈夫なの。その時にはいっぱい一緒に遊ぶの」



 俺もクララさんの芯の強さを信じている。

 必ず乗り越えてくれるだろう。



 街を出発した俺達は、現在飛翔魔法でバラガン公国寄りの浅瀬に向けて、移動している。

 今日は天気が良く、エリス高山も晴れ渡っているので、一気に移動することにした。



 順調に山頂を越え、下りに差し掛かる時。

 念話カードが震え、声が聞こえてきた。



 《タクト君。タクト君、ヨークだ。聞こえているかい?》



「ヨーク公から? 何だろう何かあったかな」



 飛翔魔法で翔びながら、念話カードに魔力を溜めた。

 全員が聞こえるように、魔力量を調整した。



 《タクトです。ヨーク公聞こえていますよ。どうされました?》



 《良かった繋がったか。急に申し訳ないが、今どの辺にいるかな?》



 《今は、エリス高山を下っている所です》



 《君達の力を貸してほしい。特にアルフィン王女の治癒の力が。

 先程、戦士隊の副隊長のラカンが負傷して戻ってきた。

 怪我が酷く、このままでは命が危ない。

 治療魔法士に回復魔法を使ってもらっているけど、傷が治らないんだ。

 それで、アルフィン王女の治癒魔法であれば、治せるかもしれないと思って連絡した》



 傷が治らないと言うのが気になる。

 早く何とかしないと、危ないかもしれない。



 《分かりました、急ぎで向かいます。10分で行きます》



 《頼む。それまで何とかしてみるよ》



 念話を終えた。



「急がないと危ないかもしれませんわ。もしかしたら呪いや、毒の一種かもしれません」



「最大速度で向かう。皆しっかり掴まっていてくれ」




 魔力を最大限に高めて、最大速度でバラガン公国に向かった。

 宮殿まで、直接翔んでいき、ヨーク公の元へ駆けつけた。


 ヨーク公の側には、全身が傷だらけで左腕と、右足が無い状態の大柄の体格の戦士が医療ベッドに横になっていた。

 三人の魔法士が、回復魔法をかけているが、直ぐにまた、傷口が広がってしまい、一向に治らない。



「タクト君達! 良く来てくれた。ありがとう!」



「あとは、わたくしに任せてください。直ぐに取り掛かります」



 アルフィンが、治癒魔法をかけながらラカンさんの、状態も同時に探っていく。



「……これは……強力な毒ですね。そして、この毒の特徴は……前にガルカリ村で使われた物と、同一種類です。あれよりも更に強力にされております」



「っ!……あたしの村と同じ毒……酷いの」



 ナエがあの時の光景を思い出したのか、小さな手を強く握り締め、怒りを表している。



「それで、ラカンは大丈夫なのだろうか?」



「はい。安心してください治せます」



 アルフィンが自信を持って言い切った後、どんどんと傷が治っていく。

 そしてアルフィンの治癒魔法の凄い所は傷を治せるだけではない。

 失った体の欠損すらも、元通りに治してしまう。



「これは……何ということだ……ここまでの魔法だとは」



 ヨーク公が大きく目を見開いて、驚愕の表情を浮かべた。



「ふぅ。もう大丈夫ですわ。時期に目も覚まされると思います」



 アルフィンが人の命を救えた事に、安堵の息を吐き出した。



「ありがとう! 本当にありがとう! 君達は本当に凄いな。素晴らしい!」



「助けられて良かったですわ」



「……ッウ……ここは……」



 ラカンさんが目を覚まし、周りをキョロキョロと見回した。



「……ヨーク公がおられると云うことは、バラガンか……っ! ヨーク公! 至急伝えねばならない事があります!」



 ラカンさんが、なりふり構わないとばかりに、大声で叫んだ。



「大変です! 最前線が……最前線が……崩壊しました!!」



お読み頂きありがとうございました!

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