56話 石碑造り
いつも応援してくださる方本当にありがとうございます!
新たに読んでくださる方よろしくお願いします!
楽しんで頂ければ嬉しいです(*´▽`*)
アリサ女王に快く協力を取り付けることができた。
決戦の時には、最大限の力になってくれるとも約束してくれた。
アリサ女王は性格がサッパリとしていて、とても聡明な人だ。
俺の覚悟を問われたけど、こちらの本気と決意を認めてくれた。
そこまではいいんだけど。
何故か俺は気に入られたみたいで、何かとアプローチめいたことを言われる。
帰ったら酒を飲みながら、俺の事を教えてと言われてしまったし……。
アリサ女王は絶世の美女で、そんな人に気に入られるのは、男として誇らしい。
だけど、まだ二人には気持ちを伝えてないけど、俺にはアルフィンとシズクがいる。
お互いに、想い合っていると思う。
だから、アリサ女王の想いには応えられない。
とは言っても、俺の勘違いで、からかわれているだけって事もありそうだけど。
そのアリサ女王から場所を教えてもらって、現在俺達は、街の北にあると云う、始まりの洞窟に移動している。
いるんだけど、先程のアリサ女王とのやり取りが原因で、アルフィン達の機嫌が悪い。
天気は晴れ渡っているのに、ここだけ空気がピリピリしている。
その原因は。
「タクトさん。随分とアリサ女王に気に入られたご様子でしたわね?」
「同じ女性として、アリサ女王の本気さは分かります。あの方もタクトさんを好きなのでしょう」
「タクトさんは、素敵な殿方ですから魅力的ですし? 女性に想いを寄せられる事も致し方ないとは、思います。が、駄目ですよ?」
「タクトさんには、私達だけを見ていて欲しいんです」
空気が痛い原因は、二人に問い詰められているから。
「いや、あの。からかわれているだけかもしれないし……別に俺の事はその、好きとかではないかもしれないし……勘違いかも――」
「いいえ。そんな事はございません」
「タクトさん、ここはしっかりと話し合いましょう。今後の事も含めて」
二人とも怖い……
「お兄ちゃん浮気はダメなの。
アルフィンお姉ちゃんと、シズクお姉ちゃんが可哀想なの」
何で10歳の子供が、浮気なんて言葉を知ってるんだ?
「ナエ。何でそんな言葉を知ってるんだ?」
「お母さんが良くお父さんに言っていたの。
浮気はダメよ! って」
……こんなところで、ナエのご両親の夫婦事情が分かるとは思わなかった……。
ローマンさんは過去に、浮気したんだろうか……。
仲良くやっててくださいよ。平和になってナエがご両親の所に帰る時に、離婚とかしてないでくださいよ。
二人に問い詰められながら、街から移動すること15分。
始まりの洞窟に到着した。
早く着いたのは、飛翔魔法で飛んだからだ。
「ここだな始まりの洞窟は。教えてもらった場所と同じポイントだ」
地図を取り出して、間違いがないか確認する。
「着いてしまいましたか……仕方ありません。またじっくりと話し合いましょう」
「と、とりあえず中に入ろうか」
これ以上は、胃に悪いのでさっさと中に入った。
洞窟の中には、白い結晶がゴロゴロと洞窟の壁から、飛び出ている。
一つ一つが大きな塊で、それが固まっている所が何ヵ所もあった。
「うわぁ~綺麗なの」
「宝石とはまた違う美しさがありますわね」
「何て言うんでしょうか。とても不思議な存在感ですねこの塊は」
皆が言うように、これはクリスタルとはまた違う、透明さがあって特殊な素材だというのが感じられる物だった。
「じゃあ、ちょっとユーリと話してくる。反応出来なくなると思うからよろしく」
適当な所に座って意識を集中する。
(ユーリ。起きてるか?)
【よう。着いたか?】
(たった今ね。周りには不思議な存在感を放つ、白い結晶があるから間違いないと思う)
【ああ、これだ。間違いない】
ユーリにも確認してもらい、ホーリークリスタルはこれで間違いないみたいだ。
(これがあれば、石碑を造れるんだよな?)
【そうだ。これと中央大陸のストーンシールがあればな。それじゃあまた先に状況を教えてくれ】
中央大陸を出てから、ここまでの事を話した。
あの忌々しい、転位トラップのダンジョンの事、アリサ女王に協力要請出来たこと。
【転位のダンジョンか。相変わらず姑息だなドレアムは】
(そうなんだよ。あのトラップは本当ストレスを溜められたよ)
今思い出しても、気持ちが滅入る。
【アイツはそういう奴だ諦めろ。今後もそういう手を使ってくるだろうしな。そして、アリサ・エリスか。ただ強いだけじゃなく、頭もキレるとは中々面白そうな女だな】
(結構遠くから、俺達の魔力反応に気づいていたし、アリサ女王もレベルが高かったよ)
【エリス家は昔から、魔力操作が長けている一族だった。
俺の時代のエリスも、強力な魔法を撃っていたから魔術師タイプとして、かなりの戦力だったな】
歴代に渡って強力だったんだな。
一族の秘伝みたいのがあるんだろうか。
【しかしタクト。お前モテモテだな。
ん? 流石、色男は違うなぁ】
ユーリまでからかってくるんかい。
(やめてくれよ。さっきまで散々アルフィン達に、問い詰められたんだから。それを言ったらユーリだって、生きてた時はモテたんじゃないのか?)
ユーリは基本的に優しい。それに、リーダーシップもあったんだと思う。こうして話している時でも、カリスマと言うか、そういう物を持っていると感じる。
それに、トランスヴァールに飾られていた歴代王の肖像画があったけど、物凄いイケメンだった。
【……俺の事はいいんだよ。俺はラクス一筋だったんだ】
逃げたな。
(まぁいいや。アルフィン達をまた待たせるのは悪いし)
【そうだな、始めるか。やり方は前に教えたが、概念が必要になる。まずはお前がイメージ出来る範囲でやってみろ】
(分かった)
収納魔法でストーンシールを取り出し、そこらにあるホーリークリスタルをトランスヴァールで見た石碑の大きさに、加工した。
「あ、始まった様ですね」
「タクトさん。頑張ってくださいませ」
それらに、ユーリが言ったハーディーンを封印する為の概念をイメージしながら魔力を練り上げていく。
邪な魂を封印する器をイメージしながら、どんどんと鋭くしていく。
それを更に高めて、高めて概念に昇華して、石碑に留めようとするが。
形にした概念が、霧散した。
今のでは、駄目なのか。
【それでは弱い。もっと鋭く、強力な概念が必要だ】
(分かった。やってみる)
さっきやった程度では駄目だった。
もっともっと強力な概念が必要。
絶対にハーディーンが逃げ出せないほどに強力な物を!
概念を最大限にまで高めた時。
眼が眩む程の閃光を発した。
「きゃー! 眩しいの!」
眩しくて眼を開けられないが、魔力を押し留めた感触から成功した事が分かる。
ようやく視力が回復し、眼を開けることができた。
ストーンシールと、ホーリークリスタルは、ユグドラシルから感じた様な魔力の波長が出る物に生まれ変わった。
【成功だ。良くやった】
造れたか。
これで、最悪を想定しての保険が一つ用意できた。
お読み頂きありがとうございましたm(__)m




