52話 教育方針
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クエスト目標の、デカイ魔物シリーズの一体、狼型の魔物を倒して先に進んでいた。
山の標高が高くなるにつれ、天候も悪化してきた。
今は、吹雪で数メートル先が見えないホワイトアウトの状態になっている。
吹き荒ぶ風は冷たく、体温を奪いかねない。
このまま移動するのも結構きつくなってきたから、ここらで、結界を張るか。
「フッ!」
結界で皆を包んだ。
この中なら、どれだけ吹雪こうが関係ない。
「結界の中は、暖かいの。雪も弾いてるよ」
「相変わらず、タクトさんの結界魔法は素晴らしいですわ」
「アルフィンの結界だって、凄いじゃないか」
「わたくしの結界は、ここまで様々な効果を付与できないです。魔法を防ぐ事は出来ますが」
「飛翔魔法の時にも使われてますが、ここまで万能性がある、魔法も中々ないと思います」
寒くなく暑くなく温度は一定で、吹雪や炎といった魔法に、物理ダメージも緩和する。
結界もそうだけど、人によっては同じ魔法でも効果がそれぞれ違う。
それは、魔法を構成する際に、こんな魔法にしようと強くイメージしながら魔力を操れるかで変わる。
アルフィンは、同時魔法行使は出来るけど、まだ結界に関しては、効果付与はできていない。
でもそれは、現段階の話しだ。
アルフィンならいずれ出来るようになると思う。
もう雪山の天候はこのまま回復しそうにないので、結界を張りながら進むことにした。
結果として、クエスト目標であった、デカイ魔物シリーズは全て倒した。
さっきの狼型の魔物は、シズクの聖剣の性能の確認をしながら戦った。
その後の魔物はナエの鍛練にあてた。
残りのデカイ魔物シリーズは、ナエが好きな動物達。
本来は愛くるしい動物として、動物園等にいる人気マスコットキャラだった訳だが。
いざ、戦闘が始まると、次々と容赦なく光の粒子へと変えていく。
ナエはまだ、10歳なのにその容赦の無さに、ちょっと心配になって聞いてみると。
「このペンギンさんは、あたしの好きなペンギンさんとは違うの。それに可愛いくないからいいの」
と言い出し。
「えーい! 火熊!!」
ペンギンの魔物の丸焼に変わる。
ペンギン型の魔物を倒した後は、カイザーベアよりも更に巨大な熊型の魔物とも戦った。
カイザーベアも、ナエの好きな熊さんだけど、と聞くと。
「あの魔物は、顔が怖いの。 火熊 の方がずっと可愛いの」
だ、そうだ。
「こんな怖い顔したのは熊さんじゃないの! 熊さんはもっと可愛いの! 火熊!!」
結局熊の丸焼になった。
ヤバい。
育て方間違えたかな……。
俺も魔物には、容赦ない。
それは自分でも分かっているけど、ナエはまだ10歳だから、この歳でこれはマズイんじゃないだろうか。
世界が平和になって、ナエの親父さん達の所に帰る時、ナエの変わりようにショックを受けてしまうんじゃ。
責任持って連れていきますと言った手前、これはまずいんじゃ。
……これからは、その辺も教えていこう。
もう手遅れかもしれないけど……。
お姉ちゃんズもいるから、大丈夫だろう。多分。きっと。
「よし、これでクエスト目標は全て討伐した。この辺で少し休憩しようか。ちょうどカイザーベアが使用していた、洞穴もあるし」
カイザーベアが巣に使用していた洞穴に入った。
「もう何時間も移動していたから、お腹減ったな」
「うん。お腹減ったの」
ナエのお腹が、グゥ~と鳴った。
「ふふ。それでは、簡単にですが、何か作りましょう」
「何がよろしいでしょう。頑張って作りますわ」
「何か温かい物がいいかな。……ん?」
微かに、魔力残留が感じられたので、洞穴の奥に行ってみる。
すると、そこにはワープの石盤があった。
「これは、ワープ魔法の石盤ですね。このような所にあったとは」
「北東大陸ではまだ、石盤を見てなかったな。
何処かにあるとは思っていたけど」
「そうですわね。まさかここにあるとは思いませんでした」
「ガルカリ村にあったのと同じなの」
「そうだね、これに魔力を溜めるとまた使用出来るようになるんだけど。せっかくだから、ナエにやってもらうかな」
ナエは上級までの魔力操作は覚えた。
だからいけるはずだ。
「やってみてもいいの?」
「ナエなら、もう出来るはずだ。やり方教えるから大丈夫だよ」
ナエに魔力操作を教える。
石盤は上級魔力のちょっと上、特級まではいかないまでの魔力操作が必要になる。
現段階のナエの実力では、頑張ってもらないといけないけど、これが出来る様になれば収束スキルの上達にもなる。
「いいか? まずは今のナエが出せる最大限の魔力操作をしながら、その状態を維持する。こうだ」
まずは、手本をみせる。
特級のちょっと前ぐらいまで高めて、そのまま維持した状態にする。
「こ、こう? っ! 辛いのっ」
ナエが額に汗を浮かべて、魔力操作を安定させようとする。
上級の状態を維持しているが……。
「駄目だ。一回やめて」
「っ! はぁっはぁっ……」
「少し休憩したら、続き――」
「お兄ちゃん、大丈夫なの。やれるの」
「……分かった。いいか? 今のは上級までは維持出来ていた。
だけど石盤に魔力を溜めるには、それ以上に魔力を高めて、その状態を留めないといけない」
「はいなの。でも、これ以上魔力を高められないの……」
「まだナエだけでは、上級までしか高められないだろう。
だからそれ以上は、収束スキルで高めないといけない。
今度は上級まで高めながら、収束スキルを使ってみて」
「わかったの。……フゥ……えい!」
上級魔力まで高め、そこに収束スキルを込めた。
「っうぅ……ん~!」
「そうだ。その状態でもっと高めて」
「ん~!!うー!」
「ナエちゃん……頑張ってください」
「ナエちゃんであれば、いけるはずです」
ナエの魔力に収束スキルのキラキラが大量に集まってきた。
魔力操作は上級を超えて、特級の手前まで高まる。
「よし! そのままいけ!」
「はいなの! えーい!!」
石盤にどんどんと魔力が溜まっていく。
そして。
「よーし。良くやった。成功だ」
石盤が眩しい程に光輝いている。
「やったの!」
「ナエちゃん。頑張りましたね! 偉いですわ」
「素晴らしい頑張りでした。これは腕によりをかけて、美味しいご飯をつくりますね」
すかさずお姉ちゃんズに褒められる。
ナエもやりきった顔をしている。
これで、北東大陸と南大陸と中央大陸がワープで移動出来る様になった
ナエ良く頑張った。
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