47話 バラガンへ帰還そして宴会へ
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「よっしゃぁ!! 外だぜ! もうあのトラップとは、おさらばだぁ!!」
「お外なの! うーん! 眩しいの!」
ナエとバルデルさんが、両手を空に上げて、外に出られた喜びを噛みしめながらバンザイをしていた。
「ふぅ空気が美味しい。ずっとダンジョン内にいるのは、あまりよくないものですね」
「そうですわね。あの陰湿とした空気は好きになれません。やっぱりこうして外の風が一番心地良いですね」
シズクとアルフィンが、それぞれに外に出られた感想を言っている。
誰もいいもんではないよなぁ。俺も外の方がいい。
それと、このダンジョンは、残しておかない方がいい。
今後、また何も知らずに入ってしまう人もいるかもしれないし、悪用されるかもしれない。
それに、俺もこのダンジョンにはストレスを溜めさせられた。
あの人をバカにした様な、転移トラップに。
だから。
「よし! もう二度とこのダンジョンに人が入れないように沈める!」
散々このダンジョンに手こずらされた鬱憤をぶつける為に、魔力を上げに上げた。
「この高密度魔力……さっきあれだけの魔法を撃っといて、タクトの魔力は底無しかぁ?」
「お兄ちゃんの魔法が見れるチャンスなの。魔力操作をしっかりと覚えるの」
「わたくしも、このダンジョンは残さない方がよいと思います」
「そうですね。二度と人が入れない様にしてください」
石碑の欠片も回収したし、もうこのダンジョンに人が入り込めないようにしてしまおう。
「グランドクレフト!!」
地面に魔力による衝撃波を叩きつける。
ズッドドドドドオォォォォンッ!!
地割れを発生させ、深い裂け目を作りその中にダンジョンを入れて裂け目を閉じた。
「ダンジョンが消えました……」
「地形ごと変えられましたわ……」
「お兄ちゃん凄いの! これが特級魔法の魔力操作なんだね!」
「タクトは怒らせたら駄目だな。今日はあまり絡みすぎないようにしとくか……」
はぁースッキリした。
胸がスカッとした。
これで万が一にも、人がこのダンジョンに入ることはないだろう。
「よし、帰りましょう。俺の飛翔魔法で一気に飛んでいきます」
全員と馬車も全て魔力で包み、飛んでいった。
帰りは、上機嫌でいつもより、スピードを上げて飛んでいく。
途中、バラガンさんや、赤い星群の人達が初めて高速で空を飛ぶ体験に、ビビってたけど気にしない。
バラガン公国に到着した。
街中で飛んでいくと、騒ぎが起きそうだからここからは歩いて、ヨーク公がいる宮殿へと向かう。
それでも、アルド殿下の姿を見た、冒険者達や、街の役員等が騒いでいた。
「アルド殿下が戻ってきたぞ!」
「本当だ。バルデル達赤い星群もいるな」
「一緒にいる四人組は誰だ? 見たことないぞ」
「あれは……タクト!」
誰かに声をかけられた。
「ん? あ、インさん」
声をかけてきたのは、ギルド東風の旅団のインさんだった。
「何だ? インと知り合いだったのか?」
バルデルさんが、インさんに聞く。
「こないだクエストの帰り道で、魔物から助けてくれたんだよ」
「なんだぁ。タクトお前お人好しだなぁ、あちこちで人助けばっかりじゃねぇか」
「いやぁ。困ってる人をほっとけないだけですよ」
「それがお人好しって言うんだよ。イン、今日はこのクエスト完了の打ち上げで、盛大に飲むんだが、お前達も来いよ。一緒に飲むぞ!」
「いいねぇ、パーッと行くか! こないだの礼を返させてもらうかな」
「それじゃあ、夜にいつもの酒場で集合だ。俺達はこれからヨーク公に報告に行ってくるからよ」
「分かったよ。また後でな」
夜はインさん達も、来るみたいだ。これは盛り上がる。
楽しい酒の席になりそうだ。
宮殿へと到着し、門番に要件を伝えて、ヨーク公の所まで案内してもらう。
「アルド! 無事だったか……良かった。バルデルと赤い星群の皆、そして、タクト君達。本当にありがとう!」
ヨーク公が俺達全員に、頭を下げる。
その後、オレが代表してダンジョンでの一連の出来事を話した。
「……そうか。それはとんでもないダンジョンだね」
「それで……俺の独断でダンジョン沈めてしまいましたが」
「それは、別にいいよそんなもの無い方がいい。だからタクト君の判断は正しかったよ。それにしても」
ヨーク公が顎に手を当てて少し考える素振りを見せる。
「ダンジョンが造られた理由ですか?」
「うん、そうだね。石碑を隠す為にわざわざダンジョンを。ドレアムは余程に君達の妨害がしたいらしいね」
「アイツは性根が腐ったクソヤローですからね。俺達を妨害したいんでしょうけど、本音はハーディーンを封印出来る石碑造りを、邪魔したいんでしょう」
「石碑か……トランスヴァールの物以外は破壊されているらしいね」
「まだ3つしか確認してないですが、そうみたいです。
それでまた新たに石碑を造る為に、エリス王国に行こうかと思っています」
「エリスか。今は雪が降る時期だから防寒していくといいよ。
街にも防寒具のショップもある。
話を通しておくから好きな物を持って行ってくれ。代金はこちらで支払うから」
エリス王国は雪が降るとアルフィンからも聞いていた。
しっかりと準備はしていった方がいいと思っていたから、この申し出はありがたいかな。
「お気遣いありがとうございます」
「君達に助けられた事のお礼としては、些細な事だよ。
アリサ女王にもよろしく伝えてほしい。
それと、明日改めて、来てほしいんだ。その時まで君達に渡したいものを用意しておくから」
「渡したい物ですか?」
「うん、必ず君達の力になる物だ」
「分かりました。明日また来させて頂きます」
宮殿を出た後、昨日泊まったホテルにもう一泊するために、チェックインを済ませる。
その後バルデルさんに酒場に連行され。
「よーし! それじゃあ! 今日はとことん飲むぞ!」
赤い星群と東風の旅団に、酒場に来ていた他ギルドも混ざり大宴会が始まった。
バルデルさんから、他ギルドの人達に俺達の紹介がされ、この場にいた人達には、俺達の正体の事も知ってもらった。
いずれ力を貸して欲しいときには助けてもらう約束も取れた。
バルデルさんと、インさんと酒を交わしながらの冒険の話し、クエストの話しは面白く酒が進む。
流石、オススメの店だ。出てくる酒に、料理もめちゃくちゃ美味しい。
アルフィン達もテーブルを囲んで楽しんでいた。
ナエはまだ酒は早いから、ジュースを飲んでいる。
途中でアルフィン達とも飲み、今日のダンジョンの頑張りを労う。
この時ばかりは、色々な物を一旦おいて、心から楽しもう。
また明日から、頑張れる様に。
宴会は夜遅くまで大いに盛り上がった。
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