45話 焦りは禁物
こんばんは(*´▽`*)
本日2話目です!
少し短いですが、楽しんでもらえると嬉しいです♪
「……」
この特級魔物は強かった。
ただ強いだけではなく、俺達が戦いにくい様に造られていた感じもする。
恐らくだけど、この魔物にはバルデルさんでも、やられたかもしれない。
レベルも高く、これだけ練度もあるのにだ。
最前線に行っている精鋭達も、クラウド隊長達四人を除いて、バルデルさんとそこまで大差はないと思う。
その状況で、こうした魔物の強化がなされていくとしたら……。
こんなのが、今後大量に作られ、強化されていくとしたら……邪神軍が圧倒的に有利になってくる。
そうなれば、戦力の均衡等と言ってられなくなる。
最前線が崩されれば、戦線がトランスヴァールにより近くなる。
トランスヴァールには、ハーディーンを封印した、最後の石碑がある。
それが壊されればハーディーンが完全に復活してしまう。
まだ、俺では勝てない。誰も勝てない……。
そうなる前に、早く最前線に行った方がいいのでは……。
俺達が行くことで、戦況が有利になるのでは……。
分からない……どうすればいい?
やっぱり今すぐにでも、行くべきでは……。
……いや。
戦況が有利になろうと、それは一時しのぎでしかないんだ。
俺達が動けば動くほどに、その分対抗する為の力を増すことが出来るんだ。
焦るな。
冷静になれ。
俺達の最終目的は、ハーディーンを倒すことだろう。
だけど今はまだ勝てない。
だから、だから勝つ為の力を手に入れなきゃいけないんだ。
「フゥー……」
頭を振って、嫌な考えを払った。
焦って弱気になっているな。
このままじゃダメだ。
俺が焦ると、アルフィン達も不安になる。
俺が強くないと、皆を守れない。
それに。
皆も強くなろうと、必死で頑張ってるんだ。
……大丈夫だ。大丈夫だ。
「……バルデルさんの方は、どうなったかな」
魔物の数が減っているから、優勢なのは分かったけど。
いま戦ってるのは……あっちか。
バルデルさんの手助けをしようと向かうと、丁度最後の一匹を仕留める所だった。
流石、バルデルさんだ。
上級魔物程度では苦戦もしないか。
「バルデルさんの方は、魔物は大丈夫でしたか?」
「おう、あれぐらいならな。タクトお前やっぱり、すげぇ強ぇじゃねぇか。何だぁ? 最後のあのえげつねぇ魔法は」
「はは、ありがとうございます。邪神軍に負けてられませんからね。
それよりも赤い星群の人達は大丈夫でしたか?」
「おう、お嬢ちゃんの魔法のお陰でな。まだ気失ってるが時期に目が覚めんだろう」
アルフィンの治癒魔法は凄い回復力だから、酷い怪我でも即刻、治してしまう。
直ぐに魔法を使用していたし、大丈夫だろう。
「そうですか。動ける様になったら、この先の魔法陣を使って移動したいと思います。まだやりたいこともあるので」
「分かった。あいつらが目を覚ましたら教える」
「お願いします。ちょっとアルフィンの所へ行ってきます」
アルフィンには、俺の後方で戦闘のサポートをしてもらっていたので、そちらに歩いていく。
「あ、タクトさん。お疲れ様でした。お怪我は大丈夫ですか?」
「ありがとう。アルフィンこそサポート魔法連発してたから疲れたろう?」
「いえ。わたくしのサポート魔法は、魔力をそこまで消費しませんので。タクトさんこそ――……タクトさん? 何かございましたか?」
アルフィンが俺の顔を見て、何かを察したのか「心配」だと顔で訴えてくる。
「いや……何もないよ」
「……タクトさん。焦らなくとも良いのですよ」
「え?」
「タクトさんには、あらゆる人達から期待が寄せられ、それが、重荷となっていることも存じ上げております。
それが、タクトさんを焦らせていることも」
「……」
「ですが、タクトさんには、わたくし達がいます。
あなた一人ではないのです。
タクトさんから見たら、確かにわたくし達はまだまだなのかもしれません。
現にまだ、あなたに守られていることもあります。
ですが、わたくし達は必ずあなたと一緒に戦える程に成長してみせます。だから……ご安心してください。ね?」
アルフィンの言葉は、暖かく俺の心に染み渡った。
すぅーと胸の奥にある何かが、氷解する感じがした。
そうだよな。俺は一人ではない。
アルフィンが、シズクが、ナエがいる。
俺一人では乗り越えられないことも、皆で力を合わせれば乗り越えられるんだ。
「アルフィン……ありがとう。ちょっと焦っていたみたいだ。
でもお陰で気持ちが軽くなったよ。皆で必ずこの世界を守ろう。改めて、これからもよろしく」
「はい! わたくし達はどこまでもタクトさんと一緒におります」
アルフィンの言葉で、心にあった焦りが消えた。
そうだ皆で、力を合わせれば必ずやり遂げられる。
目の前のことを一歩ずつ。焦りは禁物だよな。
赤い星群の人達が、目を覚ますのを、アルフィンと軽くイチャイチャしながら待った。
お読み頂きありがとうございますm(__)m
1度、2話投稿してみたくて、やっちゃいました
(o´∀`o)




