44話 魔物の強化
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特級魔物のヘル・スパイダーセンティピードとの戦闘を開始した俺達は。
バルデルさんが率いる赤い星群と、俺とアルフィンとで共闘して魔物と戦い、それぞれに別方向から攻撃を仕掛けていた。
巨大な体躯に似合わず、魔物の攻撃動作は速い。
気づいた時には、目の前に接近される程に。
「ぐあぁぁー!!」
また一人、赤い星群のメンバーが魔物に吹き飛ばされる。壁に背中から激突し、ずるずると滑り落ちて地面に倒れた。
「倒れた人に治癒魔法と、結界魔法をかけます。精霊の祝福!」
アルフィンの同時魔法行使により、バフ系の魔法がかけられる。
透明な結界が張られ、その中にいる限り、魔物の攻撃を遮断して傷も癒せる優れものだ。
「すまねぇお嬢ちゃん。お前ら! ヤバイと思ったら身を守る事に専念しろ!」
「「おお!」」
バルデルさんは、巨大なブレードを携えて魔物に切り込む。
ガンっ!
しかし、魔物の外皮はそのブレードを弾き返した。
「チィッ! 硬ぇな……普通の攻撃じゃあ効果がねぇ」
「バルデルさん、離れてください。ライトニングライズ!」
雷属性の上級魔法を五つ作り出し宙に浮かべる。
「よっしゃ! 頼む」
バルデルさんが離れたのを確認して、魔法を全弾撃ち込んだ。
魔物は魔法を感知して体を丸め、防御体勢を取った。
魔法は確かに全弾当たったけど……ダメージを与えたようには見えない。
魔物は何も無いように、また戦闘態勢を取る。
「……雷属性魔法は……あまり効果はないか。それなら」
特大魔力を全身に纏い、一気に加速して魔物に突撃をかける。
その勢いのまま、巨大な体躯にぶつけて、魔物を吹き飛ばした。
「ひゅうー! やるねぇ。お前ら今の内に動ける奴は倒れた奴を避難させろ」
バルデルさんの指示通りに、倒れた人を守る者、戦う者と分かれた。
「ブレードは効かねぇかぁ。それなら俺も魔法いくぜぇ!
ヴォーテクスブロー!!」
バルデルさんが、風属性の上級魔法を放つ。
真空の刃は魔物に向かうが、魔物はまた体を丸めて防御体勢を取り、魔法を弾いた。
「……かぁー! 硬すぎだろ! おい!」
バルデルさんが、右足を叩いて悔しがる。
そんなバルデルさんの姿を嘲笑うかのように、魔物は奇声を上げる。
「キィゥゥィシャァァァ!!」
魔物はゆっくりと起き上がり、その8個ある眼で睨み付けてきた。
そして、全員を見極めるかの様に、一人一人の姿を見た後。
魔物は力が弱い者が分かるのか、俺とバルデルさんが近くにいるにも関わらずに、向きを変え赤い星群の一人に狙いを定めて、口から緑色の液体を吐き出した。
速い。
「がぁあああ!」
液体は物を溶かす効果があるのか、プロテクターと装備一式をボロボロにする。
装備は破壊され、内部にもダメージを及ぼす。
「精霊の祝福!!」
アルフィンがすかさず、サポート魔法を行使して、結界で囲うが。
ダメだ……気を失っている。
この戦闘ではもう動けないだろう。
これでまた一人、こちらの戦力が減った。
「チィィッ! 強ぇな、さすが特級魔物だけある。コイツらじゃ戦力不足か」
この人達も、練度は高いんだけど、今回は相手が悪い。
「タクトどうする? 二人で攻め込むか?」
「そうですね……ん?」
バルデルさんと話していると。
魔物が突然に身を震わせる。
ブルブルと巨大な体躯を震わせ、口から卵を三個吐き出した。
粘膜がくっつき、卵が緑色に変色している……うわぁ……気持ち悪。
ピシッピシッ
卵にヒビが入り、卵が割れた。
その中から出てきたのは。
サイズは小さいけど、この魔物と姿形が同じ魔物だった。
これは……よくある、魔物Jr.か?
「ひぃ! 魔物が、あの小さい魔物が、三匹も……うぅぅ……」
アルフィンが悲鳴をあげて、顔を青くし、涙目な顔で口を押さえている。
嫌だよね。小さいとはいえ、この気持ち悪い魔物が増えたんだから。
その魔物Jr.は、真っ先に赤い星群が集まっている壁側へと動き出した。
あの魔物は、大きさこそ小さいけどレベルは上級クラス。
それも三匹もいるとなると、傷付いた人達だけでは危ない。
「本体は俺達が相手します。バルデルさんは、ギルドメンバーを守ってあげて下さい。あの小さい魔物は上級魔物クラスです」
「……分かった、頼むわ」
ブレードを構えて、魔物Jr.に突撃していった。
向こうはバルデルさんがいれば、大丈夫だろう。
俺達はこの本体を倒す。
「アルフィンはそのまま、赤い星群の人達に魔法をかけてあげてくれ。もし、何か必要になったら言うから」
「分かりました。お気をつけください」
「ありがとう、先ずはあの移動速度が厄介だ。足を潰すか」
魔力を特大まで高め、右腕に、魔力を集めた。
「エクスプロージョンソード!」
マグマ色した魔法で構成されているソードを作り、身体能力を一気に最大限にまで高めて、魔物に近づいていく。
「キィィィシャァ!」
右腕のソードに警戒してか、口から糸と液体を連射してきた。
「フッ!」
飛んできた攻撃に右腕を振り下ろした。
ドガァッン!
ソードに触れた魔物の攻撃は、消えてなくなる。
この魔法は、触れた部位を爆発させる。
俺は剣士ではないから、シズク程に上手く振れないけど、切るのではなく破壊することなら出来る。
次々と連射されるのを破壊し、時には避けて魔物の懐まで入り込んでいく。
「足を潰させてもらうぞ」
ソードに魔力を更に集めて、刀身を伸ばし目の前の魔物の足に振り抜いた。
ドッガァァァッン!
爆発の連鎖反応で、魔物の足が全て消滅した。
今度は体にソードを這わせるが、やはり外皮が硬く然程にダメージが入らない。
「やっぱりこれでもダメか。それなら」
あの魔物は、虫属性だから火属性魔法が有効だと思う。
とにかく外皮が硬く、生半可な魔法ではダメージを与えられない。
ここは威力重視の魔法でいくか。
数歩後ろに下がり、莫大な魔力を練り上げた。
「これで焼き付くす。ヘル・フレア!」
天井付近に、太陽を思わせる巨大な灼熱の大火球を作り、魔物に落とした。
ゆっくり、ゆっくりと魔物に向かって落ちていく。
「キィアァシィヤェ!?」
魔物もこの魔法の脅威を感じ取ったのか、必死に逃げようとする。
が、足を潰しているので、逃げられない。
余波で俺にもダメージが入りかねないので、魔物から離れた。
ドオオオオオォォォォォォンッ!!
「キィィィシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
魔物の巨大な全身を、白色の炎で覆う。
この「ヘル・フレア」は最強クラスの火属性魔法。
その威力は全ての物質を塵も残さず焼き尽くすという絶大なもの。
膨大な魔力を消費するので、ほぼ無尽蔵の魔力を持つ俺でも、結構な量の魔力を消費するため連発は出来ない。
魔物はどんどんと、焼かれていく。
硬い外皮もろとも焼き付くしていく。
距離を取って尚、熱波がここまで伝わった。
焼かれながらも、魔物は生き残る為に全身を輝かせた。
「……進化しようとしてるのか」
進化してこの魔法から逃れようとするが……。
絶え間なく全身を焼かれ、傷を直した矢先に、またダメージを受け続ける。
結局魔物は、そのまま光の粒子に変わった。
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