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41話 バルデル・アステリズム

いつもお読みくださる方ありがとうございます!

新たに読んでくださる方よろしくお願い致します!

楽しんで頂けると嬉しいです!

 




 転移トラップによって、シズク達と引き離された俺達は。


 俺とアルフィン組、シズクとナエ組に分かれてこのダンジョンを探索することにした。

 念話で二人の無事を確認した所、危険な状態になっていなくてホッとする。



「シズクとナエちゃんが無事で良かったですね」



「二人とも怪我も無いようで良かったよ。

 仮に魔物が出ても、シズクは強いし、ナエもだいぶ強くなってきているから特に心配はしていない。あとは、このトラップさえ何とか出来ればね」



「ナエちゃんはこの短期間で目を見張る速度で成長しています。やっぱり先生が良いと成長は早くなるのでしょうか? ふふ」



 アルフィンが悪戯っ子の様な、微笑みを浮かべる。



「アルフィン、からかわないでくれ。俺は自分では先生に向いてると思ってないんだから。ナエの思いに応えたいだけだよ」



「すいませんつい。それでは、これからどう致しましょうか? アルド殿下と、赤い星群の皆様を見つけないといけませんね」



「この部屋の魔法陣に、正解のルートがあるとは限らないけど……こればっかりは、飛び込んでみないと分からないもんな。一応マッピングして地図も作ろうと思ってる」



 結界の要領で、広範囲までソナーの様に魔力の波紋を拡げた。

 船を動かした時同様に、これで広範囲まで周囲の状況が映像として頭に入ってくるようになった。

 その映像をイメージ化して空間に写し出し、地図の様にダンジョンの形を書き加えていく。


 これで、より効率良く探索が出来るだろう。


 そして、魔力ソナーをしてから気づいた事が一つあった。

 このダンジョンには、石碑と同じ魔力反応がする。

 中に入るときには、気づかなかったけど。


 地図に書き込んでいた石碑の場所と、このダンジョンの場所を照らし合わせる。



「やっぱり。ここだったのか」



「タクトさん? 地図を取り出してどうされたのですか?」



「ここが石碑がある場所だったんだ。ダンジョンに入るときには分からなかったけど、今気づいたよ」



「中に入ってから気づかれたのであれば、おそらくもう壊されていて、魔力反応が残り少なくなっているのかもしれません。タクトさんの魔力探知でも気づけない程に」



「もしくは、感知させにくくされているのかもな」



 このダンジョンだって、ドレアムが造ったと仮定すれば、それぐらいやりそうだ。

 もしくは、それの為だけに、用意した可能性もある。



「どこにあるのかは、分からないけど、くまなく探せば見つけられるだろう。どのみちアルド殿下達を探すから。一石二鳥かな」



「それにしましても、魔法をこのような形で使うとは。タクトさんは、マギア・フロンティアには無い発想で魔法を具現化されますよね」



「前世では便利な物もたくさんあったし、その知識があるからね。

 それを元に、魔法を行使しているだけなんだ。それに、俺がって言うより、本当、魔法って便利だよなぁ。大抵思い描いた物が造れるんだから。よし、進もうか殿下達が心配だ」



「はい。魔物も心配ですが、殿下達の食料等も心配です。街をたってから4日以上過ぎていますので、衰弱していなければよいのですが」



 アルフィン言うとおり、食料も心配だ。

 どれだけ準備をしてきているのかも分からない。赤い星群が一緒にいたのなら、その辺は大丈夫だとは思うけど。

 俺達よりも、こういうダンジョンの知識や、ノウハウはずっとあるだろうしSランクギルドとなれば、その辺は熟知しているだろう。



 それからは、一つずつ魔法陣を調べていった。

 この転移トラップには法則があるのか、ある程度まで転移で飛ばされると、始まりの広間に戻ってくる構造みたいで、既に幾つも試しているが、結局はここに戻された。



「また、ここに戻ってくるのか……」



「これで、8個目ですね。残り3個ですが、アルド殿下達はまだみつけられません。他にルートがあるのでしょうか……」



「うーん……こんなに飛ばされる前に、正解を引き当ててもいいものなんだけどなぁ……本当前から……はぁ……愚痴ってもしょうがないか。次行ってみよう」



 次の魔法陣に近寄ろうとすると。



 《タクトさん。アルフィン様。聞こえますか? シズクです》



 シズクから念話が届いた。何か向こうで動きがあったかな。



 《タクトだ。そっちは順調?》



 《はい。アルド殿下を見つけました今一緒に行動中です》



 シズク達の方で、アルド殿下を保護出来たようだ。



 《そうでしたか。アルド殿下が無事で良かったです。赤い星群の方はご一緒ですか?》



 《殿下が言ってましたが、途中ではぐれてしまった様です》



 《多分ダンジョンの奥の方へ、進んでいるのかもしれない。

 俺達はダンジョンの地図を作りながら進んでいるから、見逃しはないだろうし、入口側には魔力も気配も感じなかった》



 《やはり、先に進んだ可能性が高そうですね。それでは、私達も奥の方へ進んでみることにします》



 《ああ、了解した。それと、さっき気づいたんだけど、どうやらこのダンジョンには、石碑の一つがあったみたいなんだ。多分壊されていて、魔力反応しか残されてないかもしれないけど」



「そうだったんですか。では石碑も気にかけながら探索していきます」



「頼む。また連絡を取ろう》



 シズクとの、念話を終える。



「アルド殿下が見つかったから、赤い星群を探すか。探索再開だ」




 9個目、10個目の魔法陣もハズレで、飛ばされた先は、モンスターハウスだった。

 今まで戦ってきた魔物、まだ見たことない魔物がウジャウジャといる。



「タクトさん……」



「アルフィンどうした?」



「わたくし大抵の魔物は、大丈夫ですが、この虫といいますかこういう魔物は……流石に……」



 アルフィンの目線の先には、足がいっぱいあり、体がやけに長く、体が黒光りする魔物がカサカサと動いている。

 前世で遭遇した、ホイホイの奴と、ムカデを融合した様な見た目の魔物は非常に気持ち悪い。俺は虫は大丈夫な方だけど、苦手な人は見ただけで、気絶するかもしれない。



「……確かに、俺も出来ればコイツとは戦いたくないな」



「はい……わたくしは他の魔物を退治しますので、タクトさんは魔法で一気に、あの魔物達をドッパァァンとなりませんか?」



「そうだねやっちゃうか。サブメージドラウン!」



「では、わたくしも。ウインドクラッシュ!」



 アルフィンのリクエスト通りに、魔力を練り上げ水属性の特級魔法で、あの魔物を巨大な水の網で捕らえ水圧で潰した。



 ドッパァァン!



「ちょっとやり過ぎた感が……魔物には、申し訳ない」



「魔物にも、色々な種類がいるのですね……出来れば先程の魔物とは、もう遭遇したくありません」



 余程に嫌だったのか、アルフィンは顔を青くしながら両腕を擦っている。



「まだ先はありそうだから、また出てくるかもね」



「……早く、このダンジョンを出たいですわね。早く全員を見つけ出して、帰りましょう」



 気持ちを切り替えて、最後の魔法陣を起動させた。


 魔法陣で、転移された場所は。

 このダンジョンに来てから、初めて見る場所だった。

 結局最後のトラップが、正解だったのか……。



「多分これで先に進んだと思う……結局最後に、正解を引き当てたのか。前世からこういう運本当ないんだよなぁ……」



 思わずため息が出る。

 前からそうだ。くじ引きは引きが弱いし、ボックスガチャとかは、最後の方で当たりを引くのが結構多かった。



「まぁまぁ、タクトさんよろしいではありませんか。結果として、前進したのですから。ね?」



 アルフィンに優しい言葉をかけられ、背中を擦って慰めてもらいながら進んだ先で、やっと人の気配を掴むことが出来た。



「この先に……5人かな。人がいる」



「赤い星群の方達ですね」



「ここで、魔物と戦ったみたいだな」



 広間に出ると、戦闘を行った後のように、地面や壁が崩れていた。


 転がっている大きな岩の上に集団が座っている。

 全身赤色の、プロテクターを身につけ、装備を赤で統一している。

 一人一人の佇まいから、強者だと分かった。

 その中でも、一人別格なオーラを纏っているのが、バルデルさんかな?



 ステータスオープン


 バルデル・アステリズム

 赤い星群ギルドマスター

 レベル67

 スキル 近接戦闘(上)、作戦指揮、サポート魔法(上)、遠距離魔法(上)



 俺達が広間に近づく前より、こちらの存在に気づいていたみたいだ。

 値踏みするかの様に、こちらを見てくる。



「あなたが赤い星群のバルデルさんですね?」



「おう。ワシがバルデルだ。初めて見る顔だが……お前さん……強ぇな」



 バルデルさんは、俺を一目見ただけで、何か感じ取ったらしい。



「俺よりも強い人は、居ますよ」



 ユーリとか。それに最前線の隊長達も強いと聞いた。



「そうかぁ? お前さんぐらいのは、最前線に行ってる、クラウドと同等か……いやそれ以上だな。

 まぁ、いいか。それより何でこんな所にいるんだ? 俺の事も知っていたが。俺はお前さんを知らんぞ」



「俺達は、ヨーク公からアルド殿下達の、救助を頼まれて来たんです。そこでバルデルさんの事も聞いたんですよ」



「あーもう結構経っちまっているな。ヨーク公にやきもきさせちまったか。このトラップと……この先にいる魔物に足止をくらってた」



 この先……この魔力圧力は特級魔物。



「殿下ともはぐれちまったから、合流したいんだが。

 このトラップは、厄介でな。こういうのはイライラしていけねぇ。それに、お前さんも気配を探れるだろうから分かると思うが、この先にいるのは別格だろう?」



「そうですね、この先には特級魔物がいます」



「俺達も、ここに来るまで魔物にだいぶ疲弊させられた。

 少し休んでる所に、お前さん達が来たってわけだ」



「俺達の仲間が、アルド殿下を保護しました。

 あとは貴方達と帰れればヨーク公からの依頼は完了ですが、まだ何かあるんですか?」



「……そうだ。悪いが俺達はまだ、帰れねぇわ」



「どういうことですか?」



「ギルドメンバーが、四人トラップで転移させられた。アイツらを置いていけねぇ」



 赤い星群のメンバーは、まだいるのか。



「俺達が通ったルートにはいなかったですね。シズクからも見つけたとの、連絡は来てないですし。……てことは、この先にいると」



「だからここで、態勢を整えてこの先の化物を倒さなきゃならん」



「そういうことなら、俺達も一緒に戦います」



「すまねぇ頼むわ。お前さんらなら、戦力として期待出来る」




 バルデルさん達と残りの赤い星群のメンバーを探すことになった。


 この先にいてくれればいいけど。



お読み頂きありがとうございました!

面白い作品作れる様に頑張って参ります!

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