39話 新ダンジョン
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「君は魔王の称号を持っているのか……」
「はい。一ヶ月ちょっと前に、マギア・フロンティアに来たばかりですが、魔王の称号を持っています」
「こちらは御父様からの書状になります。ご確認下さい」
ヨーク公に書状が手渡され、ホログラムが写し出された。
書状は俺がこの世界に来た経緯と、ハーディーン討伐の旅に出ている事、各国で連携を強化する必要があることが、ユルゲン陛下の言葉で説明される様になっている。
ヨーク公はその内容を確認し終わり、こちらを見た。
「このタイミングで出会えたことは僥倖。是非息子をお願いしたい。満足にもてなしもせぬまま、申し訳ないが」
「いえ。気にしないで下さい。ですが、その前にダンジョンの場所と、突然に出来たと言われていましたが、その背景を教えてください」
ヨーク公からこの事件の一連の流れが説明された。
ダンジョンは、街から5時間ぐらいの距離にあり、なんの変哲もない野原だった場所に一日にして形成された。
この様に、ダンジョンが突然に出来ることは無いそうで、しかも、このダンジョン付近に出てくる魔物も、通常よりも凶暴な魔物が出ることが分かった。
このままでは、大きな被害が出る可能性があり、情報を得るために尖兵隊が派遣されたが全滅。
そこで、アルド殿下が国の一大事にと、名乗りを上げた。
国の危機として、現状バラガン公国にいた、Sランクギルドのバルデルがいる、赤い星群に護衛のクエスト指名を出した。そのバルデルに護衛についてもらいダンジョンに行ったと。
「状況は分かりました。これから向かいます」
「タクト君すまないな。帰って来たときに改めて、これからの事も含めて話をしよう。ユルゲン陛下の言われるとおり、力にならさせてほしい。だから……どうか頼む」
ヨーク公は、この国の君主としての立場を無視して、俺達に頭を下げてくれた。この姿勢からも、必死さと、アルド殿下が心配でならないとの感情が伝わる。
この思いに、何としても報いたい。
「あとは、任せてください。皆行こう!」
急ぎで宮殿から出た。
時間が惜しいので、飛翔魔法で移動することにする。
全速力で飛んでいけば、それだけアルド殿下達の生存率は上がる。
全員を結界で包み込んで、宙に浮かんだ後、一気に加速して教えてもらったダンジョンへ飛んだ。
「タクトさん。ヨーク公が言われていましたが、ダンジョンが突然出来た事も、最近の魔物が活発になっている事も関係がある気が致します」
飛翔魔法で、空を飛んでいる時にアルフィンが話しかけてきた。
「ドレアム達が何かしているんだろう。今回のダンジョンも、最前線の戦局の件も無関係とは思えない」
「何か着々と手を打たれている気がして、嫌な感じがしますね」
「いつ仕掛けられるか分からない。注意しておこう」
少しでも早く着くようにと、かなりの速度で移動したため、1時間もかからずに教えてもらったポイントまで来ることができた。
ゆっくりと、降下しつつ地面におりた。
「多分、ダンジョンはこの辺だと思う」
「あ、こちらの裏側に大きな穴が開いています。おそらくこれだと」
シズクが、ダンジョンの入口を見つけた。
ダンジョンの前には、アルド殿下達が使用したと思われる、馬車が置いたままになっていた。
馬車には誰もいない。皆で中に入ったのか。
「……この奥から、人間の魔力を感じる。それと、これは……特級魔物もいるな」
「特級魔物もいるのであれば、殿下達の命が危ないかもしれません。赤い星群の皆様でも、対処することは難しいでしょう」
アルフィンの言うとおり、特級魔物を相手にして、無事にとはいかないかもしれない。
こうしてる間にも、殿下達の身に危機が迫っているかもしれない。
「ダンジョンに入ろう。俺が先頭で、アルフィン、ナエ、シズクの順番だ。もし何かあった場合は俺と、シズクがアルフィンとナエをそれぞれに守る形で対処しよう。ここは、未知のダンジョンだ。何が起こるか分からない気をつけて進もう」
「殿は任せてください」
「あたしも、頑張るの!」
「トラップ等もあるかもしれません。慎重に進みましょう」
「よし、行くぞ」
ダンジョン内に入っていく。
中は、外からの光が入らないため暗く前方が見えない。
「フラッシュライト。足場が悪いから気をつけて」
照明魔法で周囲を照らした。
ダンジョン内は、地面に起伏があり、段差もあって足場が悪かった。
途中で幾度となく、中級魔物と上級魔物に襲われたが。
「やあぁぁ!!」
「えーい!!」
「そこです!」
「おらぁ!」
このダンジョンに入ってから、結構な戦闘回数があった。
その全てを蹴散らして進んでいく。
しかし、ここエンカウント率が高いな。どこから魔物が湧いて出てくるんだ?
魔物の相手をしながら、しばらく通路を進んでいると丸型の空間に出た。
地面には10個以上の魔法陣が刻まれている。
「あれは……何の魔法陣だ?」
「私は見たことが無い陣ですね。それと魔物は……いないみたいです」
少なくとも、近くには魔物の気配はしないな。
「グルグルが一杯あるよ」
「あれは恐らくですが。転移魔法陣だと思います」
「転移魔法陣?……始まりの洞窟のとは別種類のか。ちょっと試してみるか」
「どうするんですか?」
「転移魔法陣なら、何か質量があるものなら反応するかなと」
土魔法で1メートルぐらいの岩を作り出し、魔法陣に投げた。
すると、2、3秒してから魔法陣が輝きだして岩が消える。
「……転移魔法陣で間違いない様だな。どっか別の場所に飛ばされたか。
もし、魔法陣全てが別の場所に行くような仕掛けなら厄介だ。しらみ潰しに一個ずつ調べていくしかないか。マッピングもしないと」
「そうですわね。転移した先にまた魔法陣があれば、そこから更に別ルートになりますから。何通りのルートになるか分かりません」
どう行動するか話していると、魔法陣の一つが光だし、そこから魔物が三体現れた。
「……あれは、魔物も転移してくるのか。どうりで魔物の数が多いと思ったよ……厄介な」
現れた三体の魔物のステータスをまとめて確認した。
ステータスオープン
カイザーモール
上級魔物
レベル45
カイザーフォックス
上級魔物
レベル43
カイザーバット
上級魔物
レベル44
「全て上級魔物だ。ナエ気をつけろ」
「はいなの!」
「魔物を片付けて、トラップを調べる。シズク右側を頼む」
「了解です」
「精霊の息吹き。サポート魔法をかけました」
「アルフィンは引き続き、ナエのサポートを頼む。いくぞ!」
シズクは、右側のカイザーバットを。俺は残り二体だ。
それぞれに、魔物を相手取る。
ナエは遠距離から中級魔法を放つが、カイザーモールが地面を潜り、ナエに体当たりをしようと突っ込んだ。
それを避けようとして。
「あぅ!」
ナエが、段差に躓いて倒れた。
悪いことは重なるのか、ナエが躓いた所にも転移トラップが隠されていたらしく、輝き出す。
「ナエちゃん!」
シズクが、ナエを守る為に近づき抱き締める。
そのまま、二人とも魔法陣の光に包まれた。
この距離では間に合わないか……。
時期二人とも飛ばされてしまう。
仕方ない。
「シズク! ナエを頼む」
「お任せください!」
シズクと、ナエは魔法陣に飲まれ、別の場所に転移させられた。
魔法陣は一回使用すると消えるようになっているのか無くなった。
魔法陣には本物とダミーがあるのか?
調べたいが……まずはコイツらを倒さないといけない。
「二人が……タクトさん」
「ああ。シズク達を助けに行こう。……その前にコイツらを討伐する」
「はい!」
二人を助ける為に、残りの魔物に、攻撃を仕掛けた。
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