38話 バラガン公国
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昨日バラガン公国に到着した俺達は、この国でも最高級のホテルに泊まることにした。
インさん達から教えてもらったホテルは、明らかに他の所よりも豪華で、高さも、大きさも圧倒している。
扉は宝石で装飾されていて、中のフロント部分、ロビーはとても広く解放感に溢れていて、チェックインを待っている人達からは、いかにも金持ちオーラを感じる。
身に付けている衣服や、宝石等も一般の人達では買えないものなんだろうな。
そういうセレブ御用達の、このホテルは凄かった。
料理はコースメニューで、使われている食材は見たことも、食べたこともないものばかり。その味付けもまさに頬が落ちる程に美味だった。
出てくる料理が大人向けだったので、ナエが食べられないかと思ったが、そこは流石最高級ホテル。
きちんとお子様ランチが用意してあり、それも凄い豪勢でナエも大変ご満悦だった。
ここで、ナエのお気に入りリストに、お子様ランチが追加された。
エステ等、リラクゼーションを利用できる施設まで完備されていて、受けられるサービス全てが、今まで体験したことがない物だった。
風呂好きな俺としては、最上階からの夜景を存分に味わいながら入れるのは何よりもの贅沢。
温泉の種類も豊富で、源泉はお肌に良いものらしく、アルフィン達女の子組は、肌がツヤツヤとしていた。
ロイヤルスイートルームなのかは分からないが、部屋もとてつもなく広く、内装がゴージャスで、清掃も行き届いておりベッドはキングサイズだ。
何から何まで豪華で少し落ち着かなかったけど、皆が喜んでくれたからここを選んで良かったと思う。
昨日はまさに夢のような一夜だった。最上級のサービスを受けられ、今までの旅の疲れを癒せたお陰か体調はすこぶる良い。
これまた贅沢なモーニングセットを食べた後、チェックアウトしてホテルを出た。
「素晴らしいホテルだった。絶景の夜景を見ながら入る温泉は最高だったし、料理も美味しかった」
「美味しすぎて食べ過ぎちゃったの」
「私もです。つい手が止まらなくなりました。それに一流の料理人の味付けも大変勉強になりました」
「このような贅もたまには良いものですね。お肌もツルツルになりました」
「疲れも癒せたし、これでまた頑張れるかな。この後はヨーク公に会いに宮殿だったっけ」
「はい。昨日は街に着いたのが遅かったので、今日にしましたがこの時間帯であれば、時間の調整もつきやすいかもしれませんね」
「せっかくだから、教えてもらったオススメスポットを観ながら、宮殿へ行こうか」
「あたしも、色々観て回りたいの」
「そうですわね。バラガン公国は観光地としても、有名ですから観て回るのは良いかと思います」
「私は、あの公園に行ってみたいです。奥に大聖堂も見えましたのでそちらも是非観てみたいです」
初めて来た所は、色々と観て回りたい。
ホテルを離れ、観光しながら宮殿へ向かうことにした。
昨日は夜に到着したから、暗くてよく見えなかったけど、バラガン公国には街の北側と南側を繋ぐ大きな橋が掛けられていて、その下を流れる川の色は、エメラルドグリーンで透き通って見える。
街の南側には、自然豊かな公園があり観光地として大勢の人で溢れている。
屋台も結構な数が出ていて、アイスクリーム屋には行列が出来ている。少し並んで、皆でアイスを買って食べた。
ナエは、アイスを食べるのが初めてらしく、大層気に入ったらしい夢中で食べている。
ここで、ナエのお気に入りリストに三段アイスが追加された。
遊歩道を進んだ奥には白色で、彫像の様に神秘的な大聖堂があった。観光に訪れている人や、施設の関係者で賑わいをみせている。
何となく聖樹教会の神殿に似ている。シズクと旅に出てから一ヶ月ちょっとになるけど、リアンヌさんは元気かな。
シズクも同じ事を思ったのか、神殿を見つめながら少し遠い眼差しをしていた。
街の中央部から東側へと、太い道が延びていて、その先には、巨大なコロシアムが見えた。
何層もの座席のある楕円型のスタジアムになっており、競技や見せ物の行われる競技場としても、使われる事もあるそうだ。
確か、大会が開かれたりもすると言ってたな。
大戦中は、大会どころではないかもしれないけど。
街の北側には、国で運営している店舗や、ショップ等も立ち並んでいる。冒険者風な格好をした者や、制服をまとった役員等の姿が見える。
ヨーク公がいる宮殿もこのエリアにあると、インさん達が言っていた。
そういえばワポルさんが経営する、フロンティア商会もここにあるはずだな。
ちょっと寄らせてもらうか。
「これは、これは。タクトさん達ようこそいらっしゃいました。昨日は本当にありがとうございます」
「いえ。今日は少し寄らせてもらいました。ちょっと商品を見させてもらいますね」
「どうぞ、どうぞ。ゆっくりとしていってください。御安くしますので」
何か必要な物あったかな。
薬草類はほとんど使ってないから補充しなくても大丈夫だし。
商品を物色していると、ワポルさんが近づいてきた。
「そういえば。何やら良くないことが起きているみたいですよ」
「街のあちこちで、ざわついていましたね。何があったか知ってますか?」
「私もまだあまり、情報が入っていませんが。何でもアルド殿下が街に戻られてないとか」
アルド殿下?ヨーク公の子供かな。
「詳しくは、冒険者達が情報を持っているかも知れませんので、気になるなら聞いた方がよろしいかと」
「そうですね。聞いてみます」
フロンティア商会で、魔物を遠ざける匂い玉と、結界を張ることが出来るお札を何枚か購入してショップを出た。
人数分購入したので皆に渡しておく。
さっきの件、詳しく話を聞くならギルドかな。
何処にあるのかと周囲を見ていると、役員や冒険者がせわしなく、走り回っている。さっきワポルさんから聞いた、アルド殿下絡みの事だろうか。
「さっきのアルド殿下の事で何かあったのかな? 皆落ち着きがないな」
「先程から、至るところで固まって、話されておりますよね」
各スポットを観ている時にも、あちこちで人だかりが出来ていた。
ここも同様に至るところで冒険者や、街の人達が固まって話しをしている。
その内容が聞こえてきた。
「おい、聞いたか? アルド殿下が、ダンジョンの視察に行ったまま帰って来ないらしいぞ」
「マジでか……確か護衛に、赤い星群がついてたよな?」
「ああ、星群のバルデルが一緒にいたのを見てる。最近出来た、新しいダンジョンだから情報もないし、もしかしたら何かあったのかもな」
「それでも、赤い星群はSランクギルドだぞ? 何かあっても問題なく対処するだろう? 強い魔物だって」
「そう思うけどな……最近最前線の魔物も物騒になってるみたいだしな。魔物も凶暴になってるし何かあってもおかしくないぞ」
「でもよ。どうすんだ? Sランクはもう、この国にはいないし。赤い星群でも危険なら、どこも行きたがらないぞ。東風の旅団も無理だろうし、お前のところは?」
「いやいや! 無理だって! 俺達も死にたくない!」
何かあったのか? アルド殿下が戻らないとか聞こえたが。
「アルフィン。アルド殿下の事知ってる?」
「はい。アルド殿下は、ヨーク公の長子です。確か今年で15歳になられたと思いますが。心配ですね」
「ああ。ヨーク公なら何か知ってるだろうし。早く行ってみよう」
街の中心部から更に奥の方に宮殿があった。
宮殿はクリーム色の外壁で、左右対称に造られており、真ん中には二つの階段がある。この宮殿も観る人を魅力するするほどに、美しく造られている。
正面の入口には、武装した門番が立っていた。
「アルフィン・ライゼ・トランスヴァールです。ヨーク公にお目通りをしたく存じますが、お取り次ぎお願いしてもよろしいでしょうか?」
ユルゲン陛下の通行証を見せる。
「これはトランスヴァール皇国の紋章ですね。確認致しますので少々お待ち下さい」
門番の一人が確認しに行った後戻ってくる。そのまま執務室に案内された。
「ヨーク公、お久しぶりでございます。このような情勢のなか、御時間を頂きありがとうございます」
「アルフィン王女、久しいですなぁ。よくぞ遠路はるばる来ていただいた。お疲れでしょう」
この人が、ヨーク・バラガン公か。
40代ぐらいで、口の周りには立派な髭をたくわえている。動作の一つ一つからも気品が感じられた。
「お心遣い痛み入ります。わたくしどもは大丈夫です。それよりも、ここに来るまでに小耳に挟みましたが、アルド殿下が視察から戻られないと?」
アルド殿下の名前を出すと、ヨーク公の表情が曇った。
やっぱり自分の子供を心配なんだろう。立場があるからか表に出さないようにしていた様だ。
「そうなんです。最近街の西側に突然ダンジョンが出来ましてな。
そこに視察を出すことになったのですが、アルドがどうしても自分に行かせてほしいと聞かず。
万が一を考え、この国に残っていたSランクギルド、赤い星群を護衛につかせて、行かせたのが4日前になります。
いくらなんでも日にちが、かかりすぎておるのでどうしたものかと」
「確か赤い星群は、Sランクギルドだと聞きましたが。他の所は救援には行けないのですか?」
「他のSランクギルドは、最前線に行っていておらんのです。
もし赤い星群でも対処が難しいとなると、Aランクでは力不足。
他に手立てはないかと思案していた所で」
他の有力ギルドもいない今、助けに行ける実力者もいないのか。それなら俺達がいる。
「俺達が助けにいきます」
「君は……」
「ヨーク公。彼はこのマギア・フロンティアを救う為に現れた救世主。魔王の称号を持つタクトさんです」
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