34話 北東大陸へ
いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、そしてブクマしていただいてる方。
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この話しで二章中央大陸編は終了になります。
楽しんでもらえると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!
翌日になり、ナエが俺達と旅に出る日となった。
一度旅に出れば、しばらく帰ってこれなくなるかもしれない。
北東大陸へ行った後は、最前線へと行くつもりだ。
早くこの大戦を終わらせないといけないし、そのまま決戦へと、もつれ込むかもしれない。
だからローマンさん達とは暫しのお別れになることは、ナエにも伝えた。
だからこそ挨拶はしっかりとしておいた方がいい。
「絶対に無事に帰ってくるんだよ。お前はわたしたちの宝物なんだから」
「タクトさん達の言うことを、ちゃんと聞いてね。
ご飯もちゃん食べないと駄目よ? 歯もちゃんと磨いて、夜更かしもしないで早くに寝るのよ? それから……それから……。……お母さん達はナエの帰りを待っているからね?」
「うん、絶対に無事に帰ってくるの! だからお父さん、お母さん心配しないで!」
ナエはまだ10歳。
親を恋しい年頃だろう。
だけど心配かけさせない様に気丈に振る舞っている。
無事に帰って来るようにと、親子で抱きしめ合いお別れの挨拶をしていた。
ナエのご両親に挨拶を済ませた後、クリスタのギルドに寄った。ガルカリ村の村長さんに、物を届ける依頼を引き受けていたのでその報告と、ナエをギルドに登録する為に。
村長さんは亡くなってしまったが、依頼完了の報告をする。
「クエスト完了の確認お願いします」
ギルドカードを職員に渡して確認してもらう。
クエストは達成した時点でギルドカードには記録が残される。
この記録を確認する事で、不正が出来ない作りになっていた。
「確かに、クエスト達成を確認しました。ポイントを加算しておきますね。あとこちらが達成の報酬5000リラになります」
内容は物を渡すだけのものだったが、中央大陸自体に行きたがる人も少ない為、クエストポイントは多い。
そのポイントで俺達のギルド……『魔王と愉快な仲間達』はギルドランクがAにまで上がった。
まだ高難易度のクエストは引き受けていないが、これでSランクのクエストを受けられる様になったわけだ。
「北東大陸行きで、ちょうどいいクエストは……無いな」
「急を要する物も無いみたいですね」
都合良く、北東大陸行きのクエストはなかったので今回はクエストを受けていない。
又、最前線の状況も今のところ動きはないらしい。もし何かあれば各ギルドにも戦局が連絡されることになっている。
今のうちにやれることをやっておこう。
クリスタを発つ前に、ショップに寄ってみた。
ナエにはまだ専用装備もなく、ガルカリ村で使っていた古びたローブしかない。
この店は装備と一緒に一般の洋服も売られている。
男物から女物、子供物まで。
ここで、ある程度まともな物を揃えておこう。
「ナエは遠距離砲台タイプだから、魔力操作が安定する物と、魔力を向上する物、後は防御力が高い物を買っておこうか」
「あたしは砲台タイプなの?」
「まだ使いこなせてないけど、ナエには多くの潜在魔力があるからそれを扱いやすくする物が必要だ。
ナエは魔法使うとき、何をイメージしたら使いやすい?」
「うーんとね村の時はね木の棒とかを使っていたよ。なんか魔法を使いやすかったの」
「それだと、普通に杖がいいか。あと魔力を上げる物は――」
「タクトさん。宜しければわたくし達が選んでもいいでしょうか?」
「ああ、大丈夫だけど」
「私もナエちゃんに選んであげたいです」
お姉ちゃんズがナエの装備品と洋服を選びたがっていた。
性能さえしっかりとした物なら文句はないし、俺は女の子の趣味とかに疎いから、ここはアルフィン達に任せよう。
「それではわたくし達がナエちゃんに似合う、可愛い物を選ばせていただきますね」
「ナエちゃんはとても女の子らしいので、ピンク色の物が似合うと思うのですが」
「わたくしもそう思っておりました。白色も似合うと思いますので、ピンク色と白色に揃えたら可愛いですわね」
「それだと……これなんてどうでしょう?色も合いますし、この子熊がとても可愛いのでナエちゃんにとても似合うと思います」
「それは素敵ですわ。こちらのカチューシャも、とてもナエちゃんに似合うと思います」
「ナエちゃんはこれとこれだと、どちらがいいですか?」
「うーんこっちがいいの!」
お姉ちゃんズも、買い物が楽しいのかイキイキしているように見える。これなんてどうでしょう?こっちも捨てがたいと、ナエをモデルに商品を着させて吟味している。
三人で楽しそうに買い物する姿は、女三人寄れば姦しいとは言うが、本当だ。女性は楽しそうに買い物するものだな。
ナエの装備一式は、頭から爪先までピンク色と白色が主体にしてコーディネートしてあった。杖、ローブ、帽子といかにもな魔法使いナエが誕生した。
結局1時間程、買い物に時間をかけた。
ナエの物を買いに来たはずなのだが、アルフィン達もしっかりと自分達の物を買っている。そりゃ時間かかるよ。
男はスパッと買うものを決めるから買い物が早い。だからどうしても、待つ時間が生まれる。
日曜日のお父さんとかこんな気分なんだろうか。
必要な物を揃えた俺達はクリスタを出発した。
始まりの洞窟から、ガルカリ村へとワープの石盤を利用して移動する。
次の目的地は北東大陸にある、バラガン公国。
大陸を渡るには、まず船を造らないといけない。
村の北にちょうどいい浅瀬を見つけたので、そこに船を造り北東大陸へ向かおう。
さて、どんな船を造ろうか。
クリスタでは、船を運航してくれたスタッフがいたけど、今は俺達だけだから、大きさはそこまでなくてもいいとして。
構造は俺の魔力を消費して動かし、海上を移動するイメージで造ってみよう。
実物のイメージは一般的な冒険者の船というシンプルな船にした。
収納魔法で樹海で用意した大量の樹木と、中央大陸で入手した鉱石類を取り出した。
より精巧に、本物に忠実になるようにと、イメージを鋭くしていく。
魔力をガンガン使い、より強度に、より機能的に形作っていく。この際だ、これからたくさん使用すると思うから最高の物を造ろう。
莫大な魔力を使用し、完成形のイメージを鋭くして、自身が思う最高の物を思い描きながら造った。
「……こんなもんかな。これだけの船なら問題ないだろう」
「わぁー! 船だよ! 船がいきなり現れたの! すごーい!」
ナエが突然目の前に現れた船に驚いている。
「タクトさん、お疲れ様でした。
わたくしはもはや驚きません。タクトさんだからという事なのでしょう」
「私も段々とタクトさんのされる、凄さに慣れてきちゃいました」
アルフィンとシズクからは驚き半分、呆れ半分に見られた。
二人とも一緒にいる時間も長くなってきたしね。
俺に慣れてくれたんだろう。
造り出した船に乗り、中を確認していく。
イメージした通りに、船に必要な機能の他に、食堂、個人で使う部屋、大きめの風呂もある。
これで船での移動も不自由しないだろう。それぞれの部屋に荷物を置き、船の中を見回った後。
「それじゃあ北東大陸へ出発しようと思うんだけど、やり残しとかないかな?」
「そうですわね。当初の目的通り、わたくし達の強化も出来ましたし、ユーリ陛下からもお話を聞くことが出来ました」
「陛下からも、次の行動順を教えてもらえましたね。そして新たにナエちゃんも、私達の仲間になりました」
「あたしも、お父さん達にいってきますって言ったから大丈夫だよ」
それぞれに、中央大陸での総括とやり残しはないかを確認した。滞在期間も長かった分、様々な事があった。
そして、収穫と情報もたくさん得られた。
全体のレベルアップに、ナエの加入。四天王の脅威と力の把握を。
次は、北東大陸だ。
バラガン公国、エリス王国にいった後、いよいよ最前線に乗り込む。北東大陸は最前線に近いから、影響も大きく出ているだろう。
戦いはもっと激しくなっていくと思う。
だけど、皆を護り、皆でこの戦いを終わらせるんだ。
お読みいただきありがとうございますm(__)m
二章中央大陸編が終了しました。
ここまで続ける事が出来たのは、いつも応援してくださるからです。自分自身ここまで、続けられるとは思っていなかったですが、読んでくださる方がいる限り、少しでも楽しい物をと頑張って参りました。本当にありがとうございます
(*_ _)ペコリ
次の北東大陸編は、最前線により近い場所ということで、戦いも激しくなっていきます。
これからも是非お付き合い頂ければと思います!
よろしくお願いいたします( ≧∀≦)ノ
ちょっと修正しましたm(__)m




