30話 アドバイス
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ナエが自分の意思で、俺達の旅に着いてくることを決めた。
まだ10才の子供が真剣に考え、出した結論を尊重したいと思う。
ナエには才能がある。鍛えれば四天王に対抗できる程に強大なものが。それをしっかりと伸ばしてあげたい。それがナエが望む、理不尽に殺される人達を助け、自身と、家族達を守る為の力になるからだ。
村の問題はこれで片付いた。あと、今すべき事は。
クリスタでガルカリ村の皆を受け入れてもらう為に、シーゲル陛下に許可をとること。
陛下に念話用のアイテムを貰っているから、使用してみるか。
「それではシーゲル陛下に連絡取ってみます。少しの間、話しかけられても反応がないかも知れませんが、気にしないでください」
収納魔法で、シーゲル陛下にもらった金属プレートを取り出した。それに魔力を込めて握りしめて呼び掛ける。
《シーゲル陛下、タクトです。聞こえていますか?》
《ん?おお。魔王殿か?暫くぶりだな》
《そうですね。中央大陸に来てから1ヶ月ぐらいになりますので、ご無沙汰しております。それで、今少しお時間大丈夫ですか? ちょっとご相談したいことがありまして》
《ああ、今は執務も一段落したから大丈夫だ。それで、どうした?何か問題が発生したか?》
《ええ。こちらに来てから、色々とありまして、実は――》
中央大陸に来てからの事をシーゲル陛下に説明した。順調にレベリングが終わった事、ガルカリ村の疫病、ゲラルドの襲撃、そして村の移住の件を。
《――という訳なんです。村の皆の受け入れを、お願いしたかったのですが》
《移住の件は大丈夫だ俺が責任持って面倒みよう。一区画貸すからそこに住んでもらうといい。建物も使ってもらって構わない》
《ありがとうございます。助かります》
《気にするなこれぐらいは大した手間にはならん。……それよりも、ゲラルドが言っていた事が気にかかる。最前線がまもなく崩されるというのは》
《はい、俺は現地を見ていないので、どれだけの戦力が終結しているのか知りません。最前線はそんな簡単に崩せる物なんですか?》
《いや、いくら四天王と云えど簡単には突破出来ない。
あそこには世界中から、その国の精鋭が集められているのは、知っているか?》
《はい、アルフィンからそう聞いています》
ユーリからもその事は聞いていた。
《そうか。それだけではなく前大戦後、ユーリ陛下が強力な魔法具を大量に作成した。専用装備程ではないが、それでもかなり強力な物だ。それらを精鋭達が使用する事で、また人数が上回るからこそ、魔物や四天王達に対抗出来ているのが今の現状だ》
《精鋭達はどれぐらいの強さなんですか?》
《それぞれに、バラつきはあるが……平均レベルは60前後ぐらいだ。
その中でも。
ルーデウス帝国の戦士達や、皇帝のアーロン。
エリス王国の戦士隊に隊長のジェクト。
バラガン公国の戦士隊や、隊長のクラウド。
竜王国の戦士隊や隊長のバハムート。
それらはレベルが更に高く、実力が抜きん出ている。
特に、皇帝や各隊長は強いぞ。魔王殿がどれ程レベルが上がったか分からんが、戦えばいい勝負が出来るだろう》
それは確かに強そうだ。でもそれぐらいじゃないと、四天王を押さえ込めないよな。それだけ戦力が揃っているなら、尚更どうやって崩すというんだ?
《それなら尚更気になりますね。ゲラルドが言うには、裏で何か動いていると言っていましたが》
《そうだな。裏でこそこそと策を巡らしているのは間違いないだろう。ドレアムはほとんど表に出てこないから、情報が圧倒的に不足しているのも厄介な所だ》
ユーリ時代からの唯一の四天王。
こちらはどうしても後手になってしまうのが、腹立つな。
気づいたら不利になっている事もある。今回のガルカリ村みたいなケースもあるし。
仕掛けられたら、その都度潰すことしか出来ないのか。
《こちらも仲間が一人増えましたから、戦力は上がっています。もし、また何か仕掛けられたら企みを潰します》
《手強い相手だが頑張れ。パーティーメンバーが、一人増えたんだな。そういえば、あれからアルフィンとシズクは魔王殿の女になったか?》
「ゲフッ! ゴホッ! ……ゴホッ!」
突然のぶっ混みに盛大に咳き込んでしまう。
「タクトさん。大丈夫ですか?」
アルフィンが背中をさすってくれた。
「あ、ああ。アルフィンありがとう。大丈夫だ」
《と、突然。な、何を》
《ハハハ。いやすまん。二人ともこの前、話したときに魔王殿に気があることは分かったからな。そろそろ抱いたかと思ってな》
《い、いやいや。そんな急に……それにまだ、気持ちを伝えてませんし》
《何?まだ伝えてないのか?これだけ毎日一緒にいてか?》
《はい……まだです》
《かぁー!魔王殿は強いが、ヘタレだな。男だったら、好きな女がいれば押し倒すぐらいしろ。少なくとも想いを寄せられていることは気づいてるんだろう?》
《はい……気づいています……ごもっともです》
《だったら、がばっといけ! がばっと!》
《いや、中々……その……》
念話で、男としての責任とか、男のアドバイスを結構な時間をかけて授けてもらった。アドバイス中、アルフィンからは鋭い目線を受けていたが気づかないふりをした。
そうしてシーゲル陛下との会話も終わる。
《シーゲル陛下。色々とありがとうございます。明日そちらにお伺いしますので、よろしくお願いします》
《分かった。色々と頑張れ。それじゃあまたな》
《ありがとうございます……》
念話を終えて、思わずため息が出た。
「ハァ……」
世界情勢よりも、色々のアドバイスの方で気疲れした。
確かに俺はヘタレなんだろう中々自分から行動を起こせないでいるし、気持ちを伝えようと思っても緊張する。
それに、アルフィンとシズクの二人を好きな自分の気持ちも整理出来ていない。やっぱり二人の女性を好きになるのは不誠実だよな……うーん……でもなぁ。
でもせっかくアドバイスをもらったし、そちらもレベルアップしていこう。
「シーゲル陛下とのお話は終わったみたいですね。それで……タクトさん?」
「はい……何でしょう?」
「シーゲル陛下は何て仰っていたんですか? 何やらタクトさんが慌てていらしたみたいですが?」
アルフィンがニコリと笑いながら見つめてくるが、目が笑っていない。
念話はアルフィン達に聞こえないはずだけど、念話越しに、陛下にからかわれたことに気付いていた。
明らかに少し怒っている。
「それは……別に、特別な事は……なかったよ?」
何の話をしていたか、アルフィンが聞いたら怒りそうだから言えない。
シズクも恥ずかしいだろうし。
「……嘘ですね? タクトさん? 目線が泳いでいますわよ? わたくしは怒りませんから、仰って下さいな?」
アルフィン怖い……。
その後、アルフィンからは金属プレートを貸してほしいと、シーゲル陛下に文句を言わないといけないと、騒いでいたが、話がややこしくなるので、プレートを死守した。
シズクも多分自分もからかわれた事に気づいたんだろう。困った顔と、恥ずかしそうな顔をしていた。
そんな一悶着があった後。
村人達は、それぞれに家に帰り休むことになった。
今日は大変な目に、殺されそうな目にあったのだから、ゆっくり休んだほうがいいだろう。
その為、出発は明日の午前中にした。
俺達は村長さん宅に泊めさせてもらう。
ナエからは、「また一緒に寝よう」と誘われたが、親子水入らずで過ごすのはしばらく出来なくなるので遠慮した。
これで、村の問題は全て解決した。
移住も問題なくおわるだろうし、あとは村の皆がクリスタに早く馴染んでくれればいいんだが。
少し休憩したら、大陸中央にある二個目の石碑を見に行って、石碑がどんな状態になっているか、確認しないとな。
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少しでも面白い作品書いていけるように頑張ります!




