27話 四天王ゲラルド①
いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、ブクマしてくださる方。
本当にありがとうございますm(__)m
よろしくお願いします!少しでも楽しんでもらえると嬉しいです。
アルフィンにナエを頼み、俺はゲラルドを吹き飛ばした先へと向かう。
ゲラルドは地面に衝突した際に出来たクレーターに立ち、こちらを睨み付けていた。多少のダメージがみられるけど、まだ動けるらしい。
ステータスを見てみると、まだHPも半分程ある。見た目通りにタフだな。
「テメェ!! よくも俺様を!」
「どうだ? 少しは殺された人達の痛みが分かったか? もっともこの程度では済まさないが」
「それは俺様の台詞だーー!!!」
ゲラルドが地面を蹴り、猛スピードで近づいてくる。
その勢いのまま、剛腕を振り下ろしてきた。
それを見極め、右にずれて回避。すぐさま両腕と、足技で仕掛けてくるが掌底で受け流す。
「こちらの番だ」
攻撃硬直の隙をつき、斜めから殴り付ける。
それをゲラルドは両腕を交差してガードするが、衝撃によりそのまま吹き飛んだ。
「グゥ……重てぇ……」
「そんなもんか?」
「なんだとー!!」
ゲラルドが先程よりも高速で殴りかかってくるのを、手の甲で軌道を反らし、伸びきったその腕を手刀で折る。
「ギィヤァア!」
「痛いか? 殺された皆はもっと痛かっただろう。こんな風にな」
懐に入り込み、もう一本の腕を折る。
続いて両肩に掌打を打ち込み骨を砕き折る。
次は両足を、ローキックでへし折った。
「グゥアアアア!! ……ア……ア」
「どうだ? 今まで殺された人達の気持ちとか考えたことあるのか?」
「あるわけねぇだろう! ゴミのことなんて――」
頭を掴んで、地面にめり込ましてその上に足を置く。
「こんな風に地面にひれ伏せて、殺してきたんだろう?」
頭に思い切りかかとを、落として更にめり込ました。
「殺された人達はとても怖かっただろう。何でお前らはそんな惨いことが出来るんだ?」
その頭に何度も足を落としていく。
巨体は頭から腰まで地面に埋もれた。
「……」
反応がないが、HPはまだある。
この程度では死んだりしないはずだ。
「おい。まだ戦えるだろう?」
地面から頭を引き抜き、投げおいた。
「ハァ……ハァ……クソが!」
折れた足で立ち上がり、タックルをしかけてくる。
横にずれて、腹を蹴り上げ肋骨を折った。
「グォアアゥゥアッ! ……ハァ……ハァ……チクショウが……好き放題やりやがって……!」
「お前はこれよりも、惨い事を村の人達にしたじゃないか。それに、お前の言葉を借りるなら強ぇ奴は弱ぇ奴に何をしてもいいだったか?」
左手に魔力を研ぎ澄まし、ゲラルドの右腕を切り落とした。
「ギィヤァアアゥゥア!!」
ゲラルドはもう一本の腕で、無くなった腕を押さえながら転げ回る。
「こんな風に体を引き裂いて殺したんだろう? 少しは殺された人達の苦しみが分かったか?」
「…………」
「おい。だんまりか?」
「……そういえば……ハア……言ってたな……」
ゲラルドが何かブツブツと呟き始める。
「……ハァ……グゥ……この強さ……ドレアムが言ってたな……」
ブツブツと何か言っている。頭でも狂ったか?
HPも2割ほどになっているが、だがコイツの魔力は、ほとんど減っていない。
「トランスヴァールの近くで上級がやられたと……ハァ……その時に規格外の魔力反応を出した奴がいた……ハァ……お前が……そうか」
呟く声が段々と大きくなってくる。どうやら俺の正体に気づいた様だ。
やっぱりドレアムには俺の存在はバレていた。
何か呟く声は、それが徐々に大きくなっていき叫びに変わる。
「こんな……こんなやつに……俺様を……俺様をここまでした奴を許していいのか? いや……絶対にゆるしちゃいけねぇーー!! 俺様をコケにしやがる奴は殺して、殺して、殺してやるぅああああーー!!」
ゲラルドが光だす。この光は魔物が進化するときの光。
巨体を光が覆い、それがおさまると、ゲラルドの姿が確認できた。
体の大きさは変わらないが更に、筋肉質に変わり、溢れだす魔力圧力はさっきよりも凶悪に高まる。
よりいっそうに禍々しく。
ゲラルド
邪神軍四天王
レベル78
進化したな。
レベルも上がって、傷もHPも回復した。
これで、四天王の本当の力を測ることができる。
「散々、俺様をボコリやがって……こうなったら俺様でも制御出来なくなる。全てを破壊しつくまで止まらねぇ!! 残念だったなお前はここで終わりだーー!!」
ゲラルドは身体能力強化を最大限にまで高め、突進してくる。
先程とは比べ物にならない速度で、俺の顔面に拳を振るった。
見極め回避したと思ったが、頬を掠り、血が出る。
その拳から出た、衝撃波は俺の後方の岩にぶつかり粉砕した。拳の風圧だけで、この威力か。
続いて二度、三度と殴る、蹴ると連続で仕掛けてきた。
それを先程よりも最小の動きで回避する。
これは、まともにくらうと俺も危ないかもしれない。
こちらからは攻撃をしかけないで避けることに専念する。
「オラッオラッオラッーー!!」
ゲラルドは俺に散々ボコられて、余程鬱憤が溜まっていたのだろう。俺が攻撃をしないのを良いことに上機嫌にラッシュをかけてくる。
ゲラルドが攻撃する度に、周辺の地面には、いくつもの大きな穴が出来ていく。
「どうした! どうした! 避けるだけか!!」
ひたすらに避けて、避ける。その間も怒濤のラッシュを仕掛けてくるが、全て回避した。
なるほど。俺は色々と試していたどれぐらいで攻撃が当たり、どれぐらいで回避をできるのかを。
進化してからのゲラルドは流石に近接戦闘は強敵だった。
見極めて避けたと思っても、完全にはいかない。それを少しずつスピードを早めていくと、最初はかすっていた攻撃が、完璧に回避出来るようになった。
「なるほど。これぐらいで問題ないのか」
「ああ? 何が問題ないって? 避けるしか出来ない野郎が!」
「お前、これが最速か? まだ上があるのか?」
「……さっきから何をいってやがる」
「ないのか? それじゃあ次は俺の攻撃を避けてみろ」
次は俺の攻撃への反応を見てみる。
まずはこれぐらいか。
近づき5割程のスピードでラッシュをかます。それをゲラルドは全てかわした。
「遅ぇ。遅ぇ。あくびが出るぜ」
これぐらいは避けるのか。
それなら。
少しずつギアを上げていく。6割、7割と。
殴って、避けて、また殴るを10分程繰り返した。
「チッ……しつこい。そんなのが俺様にあたる訳ねぇだろうが!」
ゲラルドの言うとおり、7割では避けられた。
それなら8割でどうだ?
「ハッハーッー! さっきまでの威勢はどうした? 俺様が本気を出したら手も足もでな――グハァッ!」
8割の速度での攻撃は避けられなかったようだ。
俺の左上段蹴りが胴体にあたり、ぶっ飛ぶ。
「おい。まだこっちは本気出してないぞ」
「グゥッ……」
ステータスを見てもまだHPは減っていない。
まだまだコイツは戦えるはずだ。
次は9割だ。
「いくぞ」
さっきよりも速く鋭く蹴る。
ゲラルドは全身を固めて防御しようとしたが、その上から叩き込んだ。
「グゥオォォオッ!」
ビキッビキッ
ゲラルドの左腕を折った。
「これが限界か?」
「…………気に食わねぇが……テメェの力認めてやるよ。テメェは俺様が本気を出すべき野郎だ。ここからは全力だーー!! ウォォオアァァー!!」
「……更に魔力圧力が高まった……。本当に全力みたいだな」
全身に纏う魔力を高めに高めて、今日最速で殴りかかってきた。
先程の動きよりも洗練されている。これは本気で避けないと危ないな。
「ウラァァァ!!」
予感に従って、最速で回避する。
「これが四天王の全力か」
この両腕、両足からの嵐は確かに厄介だ。
一撃一撃がまともにくらえば上級クラス以上の威力があり、直撃しなくともこれだけで簡単に人の命を奪う。
だが――
これでゲラルドの底は見えた。
近接戦闘はおそらくコイツがトップクラスだろう。この基準を知っておけば、シズクを鍛える際の目安にもなる。
「もう充分だな。そろそろ決着をつけよう」
10割の速度。
今の俺が出せる最速で、懐に入り込んだ。そのままゲラルドに。
ブオンッ!
「崩拳」
上半身に纏う全ての魔力を右拳に乗せて、ゲラルドの腹に拳を震わせて打ち抜いた。
お読みいただきありがとうございます(*´∀`*)




