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25話 惨劇

いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、ブクマしてくださる方。

本当に本当にありがとうございますm(__)m

よろしくお願いします!



 





 ドオオオン!

 ドガァァァンッ!


 爆発音の様な音が鳴り響いた。

 音の方角は……。

 この方角は……。



「タ、タクトさん……この音は……」



「……この方角は……」



「……ああ。ガルカリ村の方からだ……」




 この爆発音……嫌な予感がする。

 遅れて村の方から煙がもうもうと立ち上ってきた。

 この距離にも聞こえる爆発音。

 そしてこの煙……ガルカリ村で何かがおこった。

 ここと樹海の魔物はほぼ狩り尽くしたから、考えられるとすれば……他大陸からの襲撃。



「ガルカリ村に戻る。ナエ達が危ない」



「はい。直ぐに戻りましょう」



「全力で行きます。時は一刻を争うかもしれません」



「アルフィン。俺の背中に」



「はい。お願いします」



 アルフィンを背中に背負った。



「よし。最速で戻るぞ」



 俺達はガルカリ村に向けて移動した。

 俺の後をシズクが追いかけてくる。だが次第に距離が引き離されている。

 シズクも全力で必死に着いて来ようとしているがキツそうだ。



「タクトさん。先に行って下さい。私に合わせた速度では遅くなってしまいます。後から駆けつけますから」



「分かった村で会おう。アルフィンしっかりと掴んでいてくれ更に速度を上げるから落とされない様に」



「は、はい!」



 魔力を高め、先程よりも最速で戻る。今出せる最速で。

 とにかく今はナエ達が心配だった。

 頼む! 無事でいてくれ!



 タクトside

 out


 ――――――――――――――――――――――



 ナエside



 タクトお兄ちゃん達にお父さん達を治してもらって、お別れすることになった。本当はお別れしたくなかった。あたしはお兄ちゃん達ともっと一緒に居たいけど、お兄ちゃんからまた会えるから、お父さん達の言うことをちゃんと聞く様にと、また一緒に遊んでくれると約束もしてくれたから我慢したの。


 お兄ちゃん達を見送ってしばらく寂しかったけど、お昼ご飯を食べる時に、村の外から大きな音が鳴った。

 大きな音にビックリしていると、すぐに戦士隊の皆の悲鳴と、叫び声が聞こえてきた。


 お父さんが村で良くないことが起こったから、村長様の所に確認してくると、あたし達に家から出ては行けないと言って出ていった。

 お母さんはあたしを抱き締めながら、大丈夫だからね。と声を震わせながら言った。


 何が起こっているのか分からなかったけど、何か怖いことが起きているのは分かったの。

 怖くてお母さんにぎゅうっとしがみついている間にも、家の外からは大きな音と、魔物の吠える声が鳴り響いて、皆の悲鳴がずっと続いていた。

 鳴りやまない音と悲鳴にお母さんは、外の様子を確認してくるからとあたしに言った。行かないでと言ったけど、もし今しか逃げられないなら、確認して動かないといけないと、すぐに戻ってくるからね、と言って家を出た。


 怖くて震えていると、村長様と、お父さん達の声が家の前から聞こえてきたの。

 あたしは何が起こっているのか、見たくて外に出たら。



「チッ。弱ぇ奴等しかいねぇのかここにはよぉ。ドレアムからこの村の奴に疫病が聞かねぇ奴がいるって言ってたから、強ぇのがいると思ったら。いねぇじゃねぇか」



 ドガンッ!



「なぁ?どうなってんだ?せっかく俺様がここまで来てやったんだぞ楽しませろや。おい!」



「ひぃ! ギャアァァ!!」



 家の外に出たら、村は燃やされて、あちこちから火の粉が舞っていた。村は原型を留めないほど壊されていて。あちこちの地面に穴が開いて、村の人達の死体が転がっていたの。その死体を大型の魔物が食べていた。


 いつもおやつをくれるおばさん、イタズラをしたら叱るおじさん、あたしに魔法を教えてくれた戦士達が、血だらけになり地面に倒れていたの。

 そして、それをした大きな男が、いつもあたしに優しくしてくれるおばさんを掴んでいた。



「俺様のこの失望感どうしてくれるんだ?あぁ?」



 ドガンッ!



「ギャアァァ!!」



 また一人あたしの知る人が殺された。

 あの人は、何でこんな事をするの?何でこんな酷いことが出来るの?何でこんな簡単に人を殺せるの?何で……?



「お、お願いします。欲しいものがあるのなら、い、いくらでも持っていって構いません! わたしの命でしたら差し上げます! だから、だからどうか! ……これ以上は……これ以上は……どうか!」



 村長様が土下座をして、あの男にお願いしている。

 お父さん達は近くで、腕を押さえて座り込んでいたの。腕と体のあちこちから血を流しているけど、命は大丈夫そうだった。

 良かった。



「だからよぉ。さっきから言ってるけどよぉ。こんなんじゃ俺様の怒りは収まらねぇんだよ!」



 村長様があの男に首を掴まれ、持ち上げられる。



「「村長様 !!」」



 お父さん達の悲鳴が。

 男が首を掴む力を徐々に強めていくと。



「グゥア! アガァ!」



 村長様から悲鳴が漏れた。

 あたしはその光景を見て。



 ドオン!!



「あぁ?なんだぁ?誰だ! 俺様に攻撃したのは!」



「そ、村長様から離れて! この、ば、化物!」



 あのひとの腕に向けて、力一杯魔法をぶつけた。

 その衝撃で、村長様は地面に落ちた。



「ウウッ……」



 村長様から声が聞こえたの。良かった生きてる。



「お前か?チビ。俺様に攻撃したのは」



 あのひとが、あたしを睨みつけてきた。

 ううっ……怖い……



「ナエ!! 逃げなさい!! ここから早く離れて!! タクトさんの方へ! まだそんなに遠くへは行っていないはず。早く!!」



「ナエーー!! クソッ!! 体が動かない! 我が子が殺されそうな時に! 動け!! 動け!! このままじゃナエが殺される!!」



 お父さん達が必死に逃げるように叫んで、体を動かそうとしているけど傷が酷くて動けない。



「お前らバカか?俺様が逃がすわけねぇだろう?」



 男の人があたしの方へゆっくり、ゆっくりと歩いてくる。この叫び声を心地良さそうにしながら、新しいオモチャを見つけた様な顔で。


 だけど、その足を村長様が掴んで男の人の足を止めた。



「……ウウッ……ナエ逃げなさい。……今のうちに早く逃げなさい!

 このままここにいては……殺されてしまう……早く!」



 村長様が必死に男の人の足を掴んでこちらに来ない様にしてくれているけど……あたしは……足が震えて動けなかった。



「あぁ?ゴミが俺に触るんじゃねぇよ!」



 村長様が何度も蹴られるけど、腕を離さない。体が血だらけになっても決して離そうとはしなかった。



「……ナエ……逃げなさい……早く……」



「うぜぇって言ってんだろうが!!」



 男の人が村長様の頭を踏み抜いた。



「村長様!!」



「イヤァァァァ!!」



 村長様があたしを逃がそうとして殺されてしまった……。

 いつも優しい村長様が……大好きな村長様が……。



「何で……何で……こんな酷いことするの?……村長様も、村の人達も……お父さん達も……なにも悪いことしてないのに……」



「そんなの俺様が、ムシャクシャしてるからに決まってんだろうが。せっかく俺様が来てやったのに、雑魚ばかりだしよ。せめて俺様のオモチャになって俺様が楽しめるようにするのが、弱ぇお前達が役立てることだろうが」



「そ、そんな……理由で……村長様達を……」



「それより、お前弱ぇのに中々面白いことをするな。コイツらは叫ぶしか出来ねぇで俺様に殺されるしかなかったのによ」



「そ、そんな理由で村長様を……。 この村を……皆をめちゃくちゃにして! 許さない!!」



「弱ぇ奴が悪いんだろうが。それにこんなんじゃまだ最前線にいた方が良かったぜ。結局ドレアムの毒を弾いたのが、どいつか分からなかったしよ。居たら俺様が殺してやろうと思って来たのに無駄足だったぜ」



 え?…………

 このひとはあたしを殺す為に来たの?

 それじゃあ、あたしのせいで村長様が……皆が……。



「もういいか。飽きたしコイツら全員殺して、さっさと最前線に戻るか。あそこも、そろそろ崩せそうだからな。強ぇ奴も何人かいるが、人間てのは雑魚ばかりだからな。数だけは多いから群れたらうぜぇんだよ」



 このひとがあたしを殺しに来たのなら……あたしが犠牲になれば、お父さん達は見逃してくれるかも知れない。あたしが犠牲になれば……。



「あ……あたしが。その毒を弾いたんだよ!」



「あぁ?チビ何て言った?」



「ナエ!! やめなさい! 何を言ってるんだ!!」



「そうよ! ナエ! そんな事、そんな事言ってはダメよ!!」



「あたしが毒を弾いたの! あたしを殺してもいいから……お父さん達を見逃して!!」



「そうかぁ。お前がそうなのか!そうか。そうか。よしお前を殺してあいつらも殺してやるよ。まずはお前からだ」



 え?……お父さん達を見逃してくれないの?



「この子の命だけは!! 助けてください!! 私たちはどうなってもいいですから!!」



「イヤァァァァ!! ナエーー!! 誰か! 誰か! あの子を!! 助けてーー!!」




 男がにやつきながらこちらに近づき、その腕を振り上げた。



 

 ナエside

 out



お読みいただきありがとうございます( ゜∀゜)ノ


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