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22話 ご褒美

いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、そしてブクマしてくださる方本当にありがとうございます!


22話、23話は疫病の描写があります。

今の社会情勢にこのような描写を描くことに迷いましたが、これからの展開に必要な為書かせてもらいました。読まれて不快に思われるかもしれませんがお許しください。


少しシリアス続くかもしれませんが、よろしくお願いします!



 





 特級魔物ヘルタイガーを両断したシズクは、一息つき呼吸を整える。 



「フゥ――よし!」



「シズクやりましたね!」



「はい! 何とか形になってきました」



「凄い切れ味だなシズク。アルフィンもサポート魔法素晴らしかった」



「ありがとうございます! タクトさんもナイスフォローでした」



 破魔の力はまだ完全に使いこなせていない。

 まだ成長の余地ありでこの切れ味だ。

 アルフィンもサポート魔法、治癒魔法もまだ成長するだろうし。

 二人とも大したもんだよ。ほんと。




 ヘルタイガーが消えて、後ろの扉が開いたからこれで奥に進める。



 遺跡の中の魔物は樹海のよりも強力だった。

 もしかしてユーリが言っていたのは、ここの事だったのかもしなれない。


 樹海でレベリングしたのは正解だった。もしいきなりここを訪れていれば全滅していたかもな。


 俺も漠然と樹海で魔物を倒せばといいと思っていたからなぁ。

 でも無駄になることはなかった。

 結果としてここまで強くなったし、この遺跡も見つけられたから。



「それにしましてもこんな遺跡に、特級魔物がいるとは思わなかったですね」



「この遺跡は不思議な感じがする場所なので、何かの魔法の作用が働いているのでしょうか?」



「ここもユーリ陛下が遺された場所の一つなのかもしれません。石碑に魔王の称号の事も書かれておりましたし、魔物からは邪な魔力を感じませんでした。

 いずれ現れるタクトさんを鍛え、ハーディーンに対抗する力を得させるために造られたのかもしれませんね」



「これからこういう特級魔物も相手にしていくのでしょうから。今戦えて良かったです」



 魔物といえば気になっていたことがあったな。

 ちょうどいい。



「そういえば魔物の等級はどうやって分けてるんだ? 今まではステータス表示のスキルで判別出来たが」



「タクトさんにはまだ説明しておりませんでしたね。ここで確認しておきましょう」



 アルフィン先生が説明してくれた。

 魔物はレベルで等級が分けられている。

 現在判明している範囲は。


 初級魔物 レベル3~20

 中級魔物 レベル21~33

 上級魔物 レベル36~50

 特級魔物 レベル55~?



 上級、特級魔物は個体で進化するのもいるみたいだ。

 カイザーベアも一段階進化していた。

 魔物はまだ謎が多く、全ての種を把握出来ていない。特級に関しては上限が分からないらしい。



「ありがとうだいたい把握出来た。あと一つ気になっていたんだけど、魔物はどうやって作られているんだ?」



「魔物は邪素を種核にして形成されて、作られていると言われております。この邪素をより多く持つ魔物程、等級が上がる様です」



「邪素をより多く持つ魔物が特級で、少ない魔物が初級で合ってる?」



「はい。その認識で問題ないです」



「邪素はやっぱりハーディーンから出ているのか?」



「そこは世界中の魔法研究者が調べておりますが、完全に解明されていない様です。ただ、400年前にユーリ陛下がハーディーンを封印された時、魔物は存在を確認出来なくなったと聞いております。

 数年前からまた魔物が現れた事により、ハーディーンの復活が近いのではと御父様が仰っていました」



 数年前からまた魔物が……多分ドレアムが何かしたんだろう。



「そして、1年前にハーディーンが復活をした時、魔物が爆発的に増えたのです」



「やっぱりハーディーンを倒さない限り本当の平和はこないんだな」



「はい。わたくし達は力を得ました。そしてこの力を世界の為に奮わせていただきましょう」



「私も全力で頑張らせてもらいます」



「レベルアップの成果も試せたし意味があった。さぁ先に進んでみよう」



 扉から奥へと進むと同じくホールがあり、そこにも特級魔物が現れた。

 先程同様に俺はサポートに周り、二人に活躍してもらう。

 順調にレベルを上げながら扉を3つ通過した後、遺跡の造りが変わった。



 さっき戦ったあのホールよりも広大な空間になっていて、クリスタルも今までの部屋の比較にならない量だ。

 そして、扉には紋章が刻まれていない。


 ただ、間違いなく言えることはらこの扉の奥にはとてつもない強さを持った魔物がいると言うこと。

 今までの三体とは違い、空間に現れる訳ではなく、堂々と訪れた者を待っているかのように。



 ……今の俺達では勝てないな。あの奥のは別格だ。

 まだあれを相手にするには力が足りない。

 今はまだ挑むべきではない。



「この奥に……恐ろしい魔物がおりますね……」



「はい。今の私達では相手にもならない存在だと思います……」



 二人もこの奥の存在に気づいた様だ。

 相手の力が分かると云うことは成長したということ。

 冷や汗をかきながらもしっかりと把握出来ている。



「今は挑む時ではない。これ以上は危険だ引き返そう」



「「はい」」




 遺跡を出た俺達は、最初の目的だったレベリングを終え大陸中央へ動き出した。

 この遺跡がある地点でこの樹海の探索もあらかた完了したので、この場を離れることにした。



 次の目的は、ハーディーンを封印する際に使用した石碑を確認すること。

 恐らく破壊されているとは思うが。


 この大陸ではレベリングをする必要がなくなったので戦闘をせずに進んでいる。

 今更上級魔物を倒しても経験値効率も悪いし、試練の遺跡でもレベルを上げることが出来たしな。


 あらかた魔物は狩ったのでそんなに残っていないが、生き残りはいる。だが魔物達は俺達に襲いかかってくることはなかった。

 強い魔物ほど相手の力量がわかるのだろう。

 俺達が近付けば全力で逃げていく。こういうのは生き残るのに必要な野生の勘なんだろうな。



 約三週間をかけてこの樹海を探索したが、今は戦闘をしていないのと、身体能力強化を使っているので移動速度は速い。


 樹海の半分ほど進んだ所で夜になり、ここの近くの拠点で休み明日の朝に出発することにした。


 夕飯を食べて今は皆で寛いでいる。



「今日も色々あって濃い1日だったな。流石に二人とも疲れたろう?」



「そうですわね……ちょっと疲れを感じます」



「アルフィン様は私たちのサポート魔法を使いながら、攻撃魔法も使われていましたから、やることが多かったですから」



 確かにな。シズクも金星だったし、アルフィンはフル活動だったからな。

 二人に何か……俺から出来るご褒美みたいなものはないかな。

 何が喜ばれるか分からないから、俺にして欲しいことを聞いてみるか。



「二人とも今日はお疲れ様。頑張ったね。

 何か二人にご褒美というか、俺に出来る範囲でなら何でもするから言ってくれ。料理は……ごめん。それ以外でなら」



 二人とも一瞬目をパチクリして目線を合わせると全力で頷いた。

 な、何だ?



「タクトさんに出来る範囲でなら何でもいいんですね?」



「わ、私もいいんですよね?」



 思っていたよりがっついてきたので一瞬焦った。



「あ、ああ。俺に出来る範囲でなら大丈夫だ」



 二人とも下を向いて真剣に考え出した。

 やがてして欲しいことを思い付いたのか顔をあげる。



「わたくしは膝枕をして頭を撫でて欲しいです。その後タクトさんを膝枕したいです」



 アルフィンは少し照れながら。



「わ、私は……もう一度抱き締めて欲しい……です」



 シズクは顔を真っ赤にして照れまくっていた。



「あー! それならわたくしもそれを追加でお願いします!」



 アルフィンから追加が。



「そろそろ、それぐらいにしといてくれ。俺も恥ずかしいんだ」



 俺だって恥ずかしい。

 二人とも超美少女なんだぞ?前世ではもちろんこんな経験なんてなかったんだ。女性の免疫なんてものなんかない。


 だけど、こんな彼女達にここまで想ってもらえるのは嬉しかった。

 アルフィンは俺に好意を持ってくれているのは知っているから分かるけど、シズクは。

 ……俺の勘違いでなければやっぱりそういうことなのか?シズクからの熱のこもった目線も仕草も。

 もちろん俺はシズクが嫌いではない。シズクは外見も内面もとても綺麗だ。

 そんなシズクに想いを寄せられるのは正直いってもの凄く嬉しい。


 ただ、俺はアルフィンが好きだ。恋愛には紳士にとは思っているし、不真面目にしたくない。

 そう思う一方シズクの事も気になってきている自分がいるのに気づいた。シズクはもう俺の大切な存在といってもいい。

 世界の平和の為に戦って、レベルを上げて頑張っているが。

 俺は彼女達を全力で護りたい。何があっても絶対に。

 彼女達はもう俺の宝物になっていた。



 その後彼女達からの追加も沢山あったミッションは、コンプリートしました。

 凄い喜んでくれたし、照れまくっていたけど。

 内容は恥ずかしいから割愛しておく。




 朝になり、樹海の入口に向けて出発した。

 半日程歩き、樹海の入口に到達する頃、魔物の気配と、人間の気配に気付いた。


 まだ両方とも少し距離が離れているけど接触したら大変だ。



「樹海の入口に魔物と……人間の気配がするな」



「入口にですか?わたくしは……すみません感じられなかったです」



「私もです。タクトさんの気配察知は、広範囲まで行き届きますから気付けたんですね流石です」



 シズクがニコリと笑顔で誉めてくれた。

 可愛いな。シズクの笑顔も。うん。



「人が襲われているかもしれない。飛ばすぞ」



 俺の言葉で全員で最速で気配の元へ向かった。

 そこには、二体の魔物が一人の10歳ぐらいの女の子を襲う所だった。



 ――――――――――――――――――――――――――




 side ??




「ううぅ。怖いよ……こんな化物どうしたらいいの……」



 お父さんとお母さん、村長様や村のみんなの病気を治したくてこの樹海の薬草を採りにきただけなのに。

 あたしは魔物に襲われている。


 二ヶ月前ぐらいからガルカリ村で突然病気が流行ったの。

 誰も知らない病気に薬もないしどうしようもなかった。

 村のみんなが次々と苦しみながら亡くなっていった。

 一ヶ月前に病気の進行を遅らせる霊草を見つけて、暫くは落ち着いたけど。

 だけど、村の霊草が無くなって補充をしないと駄目だけど、村の戦士達も病気にかかっちゃった。

 病気が軽い人もいたけど村を守る人もいないと魔物にやられちゃうから樹海に来れない。

 それで採りに来れる人がいなかった。


 あたしだけはどういうわけか、病気にかからなかったの。

 だからあたしは皆に内緒で村を抜け出して、この樹海へと薬草を採りにきた。


 お父さん達に、この樹海には化物がいるから絶対に来ちゃいけないと言われていたけど、このままじゃお父さん達は死んじゃうと思い一人でここまできたの。


 村の戦士の人達に魔法を教えてもらって少し覚えたけどこの魔物達には意味がなかった。

 あっという間に囲まれて、このままあたしは殺されちゃうのかな。



 怖い……お父さん、お母さん助けて!!

 魔物が目の前まで来てその腕を振り上げている。

 もう駄目だと諦めた時。



 ヒュンッ

 ドォン!


 何かが近づく音がして。

 目の前にいた魔物は光の粒子になって消えた。



 side ??

 out


 

お読みいただきありがとうございますヾ(о-ω・)ノ⌒★


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