19話 中央大陸②
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中央大陸に上陸した俺達は魔物が通った跡だろうか草が踏み潰され、土が削られた獣道を歩いている。
樹木の根が盛上り足場も悪い道を歩いて大陸西部へと進んだ。
まだ昼間にも関わらず深い闇からなる樹海は一本一本の樹高が200メートルはあり、太い幹からなる木々の数々からは圧迫感を与える。
当初の目的通りここでレベリングに勤しむ。
目標はこの樹海に出る魔物の平均レベルを越えること。
この辺の上級魔物の平均レベルは37~48と言われている。
少なくとも全員が上級魔物を余裕で倒せるぐらいはいきたい。
船を降りてある地点まで歩いた所に一際大きな樹木を見つけた。
この樹木いいな使えそうだ。ここを拠点にして生活スペースにしよう。
ここを中心にして先ずはこの周辺を制圧する。
徐々に行動領域を拡げてこの樹海を探索して把握。それから大陸中部に移動かな。
大陸中央には2個目の石碑があるはずだから状態を確認しないと。
「よし。この大樹を拠点にしよう」
「長いことここに居ることになりそうですね。魔物もいるのでしっかりとした拠点を作りましょう」
「魔物を感知出来るトラップも必要ですよね。まずはこの辺を安全地帯にしないといけませんが」
「この辺の魔物を狩っていこう。周辺一キロは制圧したい。あと、魔物の素材は集められるだけ集めておこう。今後装備を強化していくのに必要になると思うから」
大樹に拠点を作った。
樹木を削り中で寝られる様にスペースを作り、土魔法で樹木周辺に岩と土の簡易的な要塞を築く。
魔物の魔力を感知できるトラップを大量に作成し設置する。これで感知した魔物を対処できるだろう。
ここで地図を取り出して確認する。
中央大陸は西部に魔物が棲む樹海が、東部にはガルカリ村があり人々が住むエリアに分かれている。
大陸のほぼ真ん中が魔物がいるエリア、いないエリアと分かれ目になっていた。
大陸自体が南大陸(トランスヴァールがある大陸)より大きく、樹海もかなりの広さを有している。
東部にあるエリアには魔物が入り込めない様に、ユグドラシル程強力ではないが魔物を遠ざける結界装置が設置されていて、その為東部で人々が住む町が存在出来ているそうだ。
拠点を作った後は、ひたすら上級魔物を相手に戦った。
ひたすら倒して倒して倒して倒して倒した。
「シズク! カイザースコーピオンの防御力を下げました。今です!」
「やあぁぁぁ!!」
アルフィンが魔物の防御力低下のデバフ魔法を使い、シズクが抜刀して縮地で一気に接近した。
あれからシズクに教えた縮地はまだ完全にではないが、ある程度使えるようになった。
カイザースコーピオンは尻尾から毒針を連射で射出するが。
「フッ!!」
キンッキキキンッ!
刀で毒針を弾く。体を捻り下段から斜めに切り上げ魔物の左足を切り飛ばした。
「風属性の中級魔法を放ちます!左に跳んでください!」
アルフィンから斜線上から待避するように指示がくる。
シズクは指示通り左に跳ぶと、シズクがいた場所をエアークラッシュが通り抜けた。
魔法はカイザースコーピオンに当り、前足と胴体を破壊する。魔物はあと少しで倒せるほどHPが減らされている。
「ハァァァ! 桜月花!!」
シズクが刃を桜色に染めて丸型の衝撃波を出しトドメをさした。
魔物は光の粒子に変わった。
「やりましたね最後の攻撃凄かったです」
「いえ。アルフィン様こそサポート魔法と攻撃魔法お見事でした」
お互いに健闘を讃えていた。
この戦闘俺は加わっていない。
二人が自分達で戦ってみたいと言ったのと、実際二人がどれぐらいまで強くなったか観るためだ。
もちろん何かあれば助けられる様にしてだが。
心配要らなかったな。二人共しっかりと成長している。
最初こそシズクもアルフィンもぎこちなかったが、戦闘を重ねていく内に徐々に上級魔物の動きに対応出来る様になっていった。
シズクはまだ手こずるが単独で上級を倒すまで成長した。
アルフィンはシズクのサポートと治癒で回復と支援、遠距離魔法で攻撃と、魔法をフル活用していく内にレベルも上がりスキルも強化されている。
樹海に棲む魔物は上級魔物ばかりで、経験値もデカイ。
俺は経験値ブーストのスキルもあるので、レベルアップ音が煩わしいぐらいだった。
そして今も現在絶賛レベリングの真っ最中だ。
「シズク! 右2歩後ろに回避しろ。カイザーメンティス(カマキリ型)の攻撃が来るぞ!」
「は、はい! クッ!」
シズクがカイザーメンティスの両腕からの鎌攻撃を避ける。
続いて左、右と立て続けに繰り出される攻撃を刀で防ぐが、そのパワーに弾き飛ばされた。
「クゥッ」
3メートル程飛ばされたシズクは身体能力を更に強化させ、刃に魔力と破邪を付与し上段に刀を構え振り下ろす。
「ハアァァァ! 桜列斬!!」
シズクから繰り出される斬擊を腕を交差させたカイザーメンティスの鎌が受け止めようとするが。
ザンッ
ブシュウウ!
魔力と破邪が籠められた刃は桜色に煌めき、魔力の雫が辺りに舞うようにみえた。
シズクの斬擊に両鎌と胴体を真っ二つに切り離されたカイザーメンティスは光の粒子となり消えていった。
シズクもだいぶ上級魔物に対応出来る様になったな。
皆ここまでは順調に成長している。後は油断なく奇襲に対応出来るようになれば……。
ん?シズクの後ろから魔力反応が……。
「シズク! 後ろから来るぞ!」
「あっ!」
シズクは魔物の気配に気付いたが、回避も防御も間に合いそうにない。このままでは危ない。
「どけぇ!! 獄炎!!」
俺は対峙していたカイザーウルフに火系の魔法で焼き払う。
魔物は炎に呑み込まれ粒子になったのを魔力で感知して、シズクの前へと両足に魔力を籠め縮地で一気に移動する。
俺は咄嗟にシズクの身体を抱きしめ、突進してきたカイザーコングの剛腕から後ろへ回避した。
「あっ……」
シズクが抱きしめられたことで声をあげる。
シズクを狙ったカイザーコングがこちらへと駆けてきた。
俺はシズクを左腕に抱えたまま全身に魔力を纏い相手取る。
「ガアアアアアア」
ブオンッブオンッ
右腕と左腕からの攻撃を見極め手の甲で軌道を反らし、右腕と左腕に手刀を叩き込み両腕をもぎ取る。
懐に潜り込んで右腕に高魔力を籠め、正拳突きでカイザーコングの腹を打ち抜いた。
ドパンっ!
カイザーコングの胴体が弾け飛んだ。
「グオオオオオっ」
そのまま光の粒子になり魔物は消える。
「フゥ――よし」
危なかった。強くなっているがまだこうした不意打ちの対処は鍛える必要がある。
油断も大敵だ。
「シズク大丈夫か?」
「…………」
左腕に抱えたままのシズクに声をかけるが反応がない。
シズクは腕の中から俺の顔を見つめていた。何か目が潤んでいる気がする……。
「シズク?」
「はっ……す、すいません。油断しました。も、もう大丈夫です。ありがとうございますっ」
シズクが真っ赤になりながら俺の腕から離れ後ろへと下がった。
胸に手を当て、乱れた息を整えている。
ひとまずシズクが怪我をしなくて良かった。
「あら。これは」
アルフィンが何か気付いたような反応をしていた。
「無事で良かったよ」
「あ……ありがとうございます……」
うーん?
「シズク大丈夫でしたか?怪我はないですか?」
アルフィンがシズクの元へ駆けつけ、治癒魔法を使い傷を癒す。
「アルフィン様……ありがとうございます……」
シズクの回復が終わればまた続きだ。シズクの様子が少しおかしいのが気になるけど大丈夫かな。
俺達が中央大陸に来て6日が経とうとしていた。
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