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17話 中央大陸へ

いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、そしてブクマして下さっている方。

本当にありがとうございます!

よろしくお願いします!

 


 翌朝。

 俺達は城のエントランスに集まっていた。

 陛下を始め、クリスタの重鎮らが出発を見送ってくれるのと、クリスタにある専用装備を渡してくれる為に。


 昨日も説明をうけたけど、クリスタはユーリの弟が建国した国。

 ユーリがハーディーンに対抗するために準備をしていた期間に、このクリスタにも専用装備を保管していたのだ。



「これを。魔王殿なら装備できるはずだ」


「これは?」


 シーゲル陛下に手渡されたのは、深い黒色の真ん中に銀色の線が入った鉄でもなく、金属でもなさそうな不思議な材質で出来たのだった。


 重量はあまり感じないけど、凄く硬い。


「魔王の称号を持つ者だけが扱える専用装備だ。格闘戦の攻撃力を上げる。格闘の腕が上がれば上がるほど威力が増す様な造りになっているそうだ。名は魔王の手甲と魔王の足甲だ」


 魔王の……またこのネーミングセンス。

 やっぱりトランスヴァールの血族って……。


「ありがとうございます。活用させてもらいます」


 名前はあれだけど、これは正直ありがたい。

 魔法だけではなく、体術や近接戦闘も強化しなければと思っていたからな。

 これで修行にも身が入りそうだ。



「それから、中央大陸だが。出航の準備に1時間程かかる。まだクリスタを観ていないなら観光でもして時間を潰してくれ」



 昨日は露店に少し寄ったぐらいで、直ぐ城に向かったからクリスタはまだ良く知らない。ギルドにも顔を出しておきたかったし、丁度いいかな。

 何か新着情報とかもあるかも。



「中央大陸まではどれぐらいかかるんですか?」


「船で5日程の距離だ。海には魔物もいるから邪魔されなければそれぐらいで着くだろう。しかし本当に中央大陸で待ってなくていいのか?」


「はい。中央大陸にどれぐらい居ることになるのか分からないので」


 石碑の確認に、石碑の素材の確保に、俺達のレベル上げ。

 やることは多い。

 中央大陸に滞在する期間も長くなるかもしれない。

 その為陛下には行きだけをお願いした。


 船は、中央大陸で調達しよう。

 無かったら、最悪作ればいい。

 行きの船で構造を把握すれば、魔法で作れるだろう。

 深い樹海だと聞いているから、材料には困らないだろうし。



「わかった。また寄ることがあれば顔を出してくれ。その時は、酒を飲もう。あと、これも渡しておく」



 陛下から、ギルドカードと同じサイズの金属プレートを渡された。


「これは?」


「特定の者と念話ができる物だ。

 ギルドカードと違い念話だけしかできないが。

 流石に世界の端までは無理だが、中央大陸ぐらいまでなら念話も届くだろう。もし何か困ったことがあれば使え。こちらも何かあれば連絡する」



 本当に困ったら使わせてもらおう。


「お心遣いありがとうございます」


「色々背負わせてしまってるが。死ぬなよ」


 シーゲル陛下は気の良い親分の雰囲気のまま、憂いを少し含んだ顔をしている。

 ……少し気負ってしまっていたのは、バレてたか。


 焦らない様になるだけプレッシャーを感じない様にしているつもりだけど、どうしても自分のやるべき事を考えてしまうとな。


 それが、顔に出ていたらしい。


「死にません。俺には、大事なものが出来ましたから」


 そうして、シーゲル陛下に挨拶をして城を出た。

 出航までの時間で旅の準備をしておくか。


「まだ時間が掛かるらしいから、出航まで街を観てみないか。ギルドにも行きたいし、必要な物があれば揃えておこう」


「はい。わたくしも見て回りたいです。どこからいきましょうか?」


「私ゴンドラに乗ってみたいのですがいいでしょうか? 昨日から興味がありまして」



 ゴンドラか。

 いいな。

 俺も乗ってみたいと思っていたから調度いい。


「それじゃあ、ゴンドラ乗り場まで行きつつ、ショップを見ようか。ギルドは最後に寄ろう」


 ゴンドラは街の入口付近から乗れたはず。

 移動しながらショップを覗いてみる。


 道具屋では状態異常を治す薬草を数個買った。

 武器屋ではシズクが魔力付与されている短刀を買っていた。


 それと中央大陸がどんな場所か分からないので、食料品は大量に買っておく。


 さっそく作ったばかりの収納魔法で購入したものを入れていくのをアルフィンとシズクはビックリした顔で見ていた。

 どういう仕組みなのかと聞かれ説明すると「そんな魔法も使えるんですね」と誉められた。別に特別凄いものではないのだが。

 この辺もユーリ以降失なわれた魔法なのかもしれない。


 街の奥には、旅の商人がよろず屋を開いていた。

 アルフィンとシズクは何か目に留まる物があったのか、商品をみている。女の子がおしゃれで使うリボンや香水等だ。

 やっぱり女の子達だな。こういう小物系は気になるんだろう。


 ちなみに、ユルゲン陛下から貰った旅のお金は少しずつそれぞれの小遣いとして配っている。

 特別欲しいものはないが買いたい物ができたときは必要だろう。


「せっかくだから、プレゼントしてみよう」

 

 世界の命運を賭けて共に戦う仲間にと、さっき二人が手に持って観ていた物と同じものを買ってそれぞれにプレゼントする。


「二人とも。これ良かったら受け取ってくれ」


「これは……わたくし達が先程観ていたものですね」


「私達にですか?」


「ああ。これから一緒に戦う仲間として、俺からの気持ちだ」


「タクトさん……ありがとうございます大切に致しますね」


「私にもすいません。ありがとうございます」



 二人とも嬉しそうな笑顔で受け取ってくれた。

 美少女達の笑顔は最高だな。 

 喜んでもらえたようで良かった。

 

 ショップを離れた後は、お待ちかねのゴンドラ乗りである。

 10人程が乗れそうな大きさのゴンドラは、涼しい潮風を受けながらゆったりと進む。

 川の美しさと、クリスタの綺麗な建造物を眺めていると、時間がゆっくりと経過しているように感じる。

 乗り心地は、素晴らしかった。



 最後にギルドに寄って新着情報を確認する。

 いまだ、エデン王国、ルーデウス帝国は闘いの最前線として邪心軍と壮絶な戦いを繰り広げている。

 被害は増えているけど、戦況は膠着しているらしい。


 ただ、最近四天王のゲラルドの姿が見えないらしい。

 北大陸(エデンとルーデウスがある大陸)から出たとの情報はないみたいだけど。

 もし、ゲラルドが好き放題に暴れたら凄まじい被害が出る事になる。

 何処にいるのか分からないけど、今はまだ遭遇したくない。

 今の俺達では倒す事も厳しいだろう。


 依頼掲示板を確認すると、中央大陸東にある『ガルカリ村』の村長に届け物をするクエストがあった。

 ちょうどいいから中央大陸に行くついでにクエストを受けた。

 ギルド職員から依頼の品物を預かる。

 四角い箱だ。何が入っているんだろうか。



 おおかた見たい所は周ったし、欲しい物は買った。

 大体準備はこんなものかな。


 時刻を確認すると出航の時間少し前だった。

 港まで向かえばちょうどいいか。


「そろそろ時間みたいだけど、最後に二人とも寄りたいところある?」


「わたくしは大丈夫です。直ぐに必要になる物もないですし」


「私も大丈夫です。必要な物は揃ったので」


「俺も欲しいものは無いし。港に向かうか」



 港に向かうことにした。



「そういえばシズク」


「はい。何ですか?」


「さっき武器屋で短刀買っていたけど、どんな刀なの?」


「これは投げつけて攻撃する短刀なのですが、装備者と魔力で繋がりこちらに引き戻せる魔力付与が施されています。主に中距離戦で使えると思って」



「あぁ。奇襲にも使えそうだね間合いの外から攻撃できる」


「そうなりますね。私はタクトさんと違って遠距離は出来ませんので、近距離と中距離で戦っていくことになります」



 三人それぞれで、得意な間合いは違う。

 俺はオールラウンドでアルフィンは遠距離でシズクは近距離と中距離。


 あと一人遠距離の得意な人がパーティーに入れば、バランス良くなるかな。



 シズクが近距離、中距離。

 俺も近距離かつ状況で中距離、遠距離。

 アルフィンが遠距離かつ回復サポート。

 もう一人が遠距離。


 うん。いいと思う。

 RPGなら戦士、魔法拳士、賢者、魔法使いこんな感じか。

 バランス取れていて安定性もある。



「そういえば、シズクが装備しているのは、専用装備になるのか?」


「私のはこちらの籠手が専用になります。

 リアンヌ様が仰っていましたが破邪の力を強める効果があります。

 後は聖樹教会の騎士が使うものですね。魔力付与が施されているので、通常の物より強力ですが」


 シズクのは籠手が専用装備なのか。

 これからいろんな所に行くから、まだまだ装備は増えるだろう。


 アルフィンのはラクス皇后が使っていたネックレスと、ドレスが専用装備だと言っていた。

 ネックレスはアルフィンの治癒魔法とサポート魔法の強化。

 ドレスは魔法耐性と回避率上昇の魔力付与が付いている。




 港に着いた。

 乗せてもらえる客船前には執事さんがいると言ってたな。

 港には何隻もの船が停まっている。

 執事さんを探しながら歩いていくと一際大きな客船の前に待っていてくれた。


 デカイ客船だ。

 前世ではフェリーに乗ったこともあるけど、外装は比べ物にならないほどおしゃれで、大きさも数倍は大きい。

 流石、王室の専用客船だな。

 魔物に襲われる事も想定しての作りなんだろうか。魔力を使用して打ち払う砲台も完備されていた。



「タクト様アルフィン様シズク様。お待たせ致しました。いつでも出航出来ます。もう出航なさいますか?」



「お願いします」


「かしこまりました。旅の御無事を祈っております」


「ありがとうございます。改めてシーゲル陛下によろしくお伝えください」



「かしこまりました。いってらっしゃいませ」



 執事さんに見送られながら客船に乗り込んだ。

 しばらくこの大陸には帰ってこれないかもしれない。

 次に帰って来たときは何倍にも成長していられればいいな。



 さあ。中央大陸に向け出発だ。

お読みいただきありがとうございますヽ(〃´∀`〃)ノ

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よろしくお願いいたします!

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