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15話 400年前

いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、本当にありがとうございます。

よろしくお願いします!

 


 暫く振りに(正確には昨日振りだが)、ユーリが目覚めたようだ。


(起きたんだ。魔力とか、色々と大丈夫なのか?)


【とりあえずだな。少し眠ってぶっぱなした分ののは回復したな。もっとも、肉体が無い魂だけの存在だからこうして起きていられるのは短いんだけどな】


(良かった。呼び掛けてもうんともすんとも言わないから心配してたんだよ)


【そんな簡単には消えたりはしないから、心配しなくてもいいぞ。それより、この世界の事とか姫さんから聞けたか?】


(トランスヴァール城に行って色々聞いたよ)



 ユーリが眠ってから何があったのか話した。

 城に行って、マギア・フロンティアの事、ハーディーンや四天王の事、ユーリが旅していたときの事、ユグドラシルに行ったこと、始まりの洞窟の石盤の事を色々と。


(それで、ユーリに聞きたいことが出来たんだ)


 何でハーディーンを封印することにしたのか。

 ユーリはステータスを見たところ、とてつもなく強い。

 そんなユーリとラクス前皇后、仲間二人がいて何でハーディーンを封印する事にしたのか気になっていた。


(何で封印なんてしたんだ? ユーリぐらい強かったなら、わざわざ封印なんてしないで、ハーディーンを倒せたんじゃないのか?)


【……俺も奴を倒すまでそう思っていたよ。

 俺と奴は互角だった。俺にはラクスを始め、ルーデウス、バラガンと竜王国の奴等、その他にも各国の精鋭達がいた。

 対するハーディーンにも四天王を始め、特級、上級魔物で実力も拮抗していた。

 世界を巻き込んでの壮絶な戦いは半年にも及び、途方もない被害も、犠牲者も出たが、奴を倒す所までいった】


 ルーデウス、バラガンは国の名前だったはず。

 ユーリの仲間の国だったのか。

 半年にも及ぶ戦い……世界にどれだけの被害が出たか想像したくないな。


【……だがな。俺にも奴を殺しきれなかった……。

 奴は最強のシールドを纏っていて、攻撃は通じねぇわで手を焼かされたが、ラクスの治癒の魔法の消滅効果でバリアを取り払い、俺が奴をぶっ飛ばしてトドメを刺せたように思った。

 だがな……奴は何度殺しても直ぐに甦った】


 倒しても甦る能力。

 不死身とかだろうか。


【奴を殺しきるには、あと一枚力が足りなかったんだ。

 色々と手を尽くしたりしたんだが、駄目だった。仕切り直して、態勢を整えて再度とも考えたが、もう世界にはそこまでの力が残っていなくてな】


 かなりの被害が出たんだろうし、世界にもハーディーンと戦う力は残されていなかったんだろう。

 しかし、不死身の力とかどうしたら倒せるんだろう。



(大体状況は分かったよ。でもさ、そのハーディーンの不死身? 能力とか完全に消し去るには、どうすりゃいいんだ?)


【……正直分からねぇ。分からねぇが、タクトお前なら何とか出来るかもしれないと、思っている。

 俺にはどうすることも出来なかった。その事から、マギア・フロンティアの俺等にはない力が必要なんだろう】


(……マギア・フロンティア以外の力……)


【だからこそ、俺はユグドラシルを介して女神にハーディーンが復活する際には力を持つ者を送れと言った。

 ユグドラシルには、ここだけじゃない他の世界とを繋げる力があることは分かっていたからな。当然、そこを管理するやつがいることも】


 ここに来て、俺の転生に関わるのか。


(それじゃあ、ユーリの遺言にあった『後の世に魔王の称号を持つ者に力を貸すように』と遺したのは)


【情けねぇ話だが、その時代に現れた者に託すしかなかったからだ。俺には、ハーディーンを完全に倒せる力を持つ者が現れるまで時間稼ぎをするしか出来なかった】


 女神が前世から俺を見ていたと言っていた意味は、そういうことか。

 女神はユーリの言葉を聞いて、ハーディーンが復活した時には力を持つ者を送れる様に俺を見ていたんだ。


 でもそうなってくると、話が変わってくるぞ。

 俺の死は、予め決められていた可能性が出てきた。


 それに、俺にもハーディーンを完全に倒す力が何なのか分からない。

 女神に貰ったギフトでまだ判明していない力が一個あるけど。


 ……なんだか分からない事だらけだ。



(だけど、俺にもハーディーンを倒す力なんて分かんないぞ?)


【それは、これから強くなるうちに目覚めるかも知れねぇな】


 確かにレベルが上がるにつれ、スキルも習得したり出来るからそうかもしれないけど。

 何か頼りない話しだ。


(それで、その後はどうなったんだ?)


【奴を殺しきれないと分かったから。五つの石碑に俺の命を使い封印した】



(あれ? でもその後ハーディーン復活に備えて色々手を打ったんだろう? 遺言とか装備品とか魔法義務教育とか。それだけ準備するんなら時間が必要なんじゃ)



【まぁな。お前が言うように色々と備えた。

 奴の力を五等分に分けて、奴の本体は俺の魂に閉じ込めた。

 封印をしたからと言って直ぐに死ぬわけではない。

 奴はどんどんと俺の命を蝕み、大戦後2年後に俺は死んだ。

 その時に俺の魂と奴の本体は眠りにつくことになった】


(ハーディーンの配下、四天王は倒したんだよな?)


【ああ倒した。……今の四天王はどんな奴等だ?】


(ゲラルド、ジャキ、デスタ、ドレアム……だったかな)



【ドレアム? ……ドレアムと言ったか?】



 ユーリがドレアムの名前に反応した。


(ドレアムだ。名前以外分からなみたいだけど)



【………………】



 ユーリが沈黙する。


(ドレアムが、どうかしたのか?)



【ハーディーンの四天王は倒した。今の四天王は奴が復活した際に、新たに作ったんだろう。俺達が倒した四天王は】


 ユーリから400年前の四天王の名前が言われていく。

 だが一人だけ今と同じ名前があった。


(ドレアム……昔と、今の四天王は別の筈だよな)


【……ずっと気になっていた事があった。

 俺の死後、世界には大戦の悲惨さと、ハーディーンの力を教え、絶対に忘れない様に文献にも残した。

 各国に魔法力を向上させ、いざというときに備えさせた。

 だから、世界の奴等がハーディーンの封印を解く事はしない筈だ。それに、石碑を破壊するなど普通の奴では出来ない】


 石碑には強力な結界が施されている。

 壊すにしても、封印を解除するにしても、強大な力が必要になる。

 俺もやろうと思えば出来たかもしれないけど、トランスヴァールの石碑は普通ではなかった。


(……それじゃあ、ハーディーンを復活させたのは)


【……おそらくドレアムだろう。あいつは四天王最強だった。

 純粋な戦闘力も高く、魔力も秀でていて、転移魔法で魔物を送る事も出来る。

 だがあいつの一番恐ろしいのは、策略だ。

 性格は残虐で、人を陥れるのが快感の狂った野郎だ。カイザーベアに姫さんを狙わせたのもあいつだろう】


 俺がマギア・フロンティアに転生したときにアルフィンが狙われていた。

 トランスヴァールには上級魔物はいない。

 ユーリは誰か黒幕がいると言っていたけど。

 ここで、また一つ繋がった。


(それじゃあ、ドレアムは400年前から存在してたのか)


【いや。……あいつは完全に倒した筈だ。確認もしている。

 あいつはハーディーンの右腕として暗躍していた。

 もしかしたら、ハーディーンの野郎が封印される前に何かしたのかもしれねぇ。

 ただ、ドレアムが甦るにも、ハーディーンは俺が押さえ込んでいたから、直ぐにとはいかなかったのかもな。いつ頃復活したのかは分からないが】


 じゃあドレアムは、ハーディーンが封印される前に、力を貰い、その後復活。


 その後で各国の石碑を無効化して、封印を解いたのか。



【タクト。ドレアムには気をつけろ。あいつは既にお前がこの世界に来たことを知っている】


 俺がカイザーベアを倒してアルフィンを助けたから、そこからバレているとユーリが言う。


【だが、まだ状況は絶望的じゃねぇ。

 ハーディーンも力を完全に取り戻していない。

 その証拠に暗黒大陸から出てこれないのはそういう事だ。

 それと、エデンとルーデウスが最前線で持ちこたえられるうちは、ここまで戦線が拡大することもないだろう。

 いいか、これから重要な事は、お前達の成長と各国の連携の強化と万が一に備えて石碑の再作成だ。

 それに、トランスヴァールの石碑はまだ無事なんだろう?】


(ああ。まだユーリの魔力で抑え込めていたよ)


【なら、それを何がなんでも護れ。奴が完全に復活したら世界は終わりだ。今のお前だと、相手にもならない】



 俺はまだまだ弱い。

 少しずつ出来ることも増えているし、魔力操作も上がっているけど、今戦っても瞬殺だろう。

 力を着けないと。


(分かってるよ俺はもっと強くなる。全てを護れる様に)


【それなら、中央大陸には行っておけ。

 大陸西側にはレベルの高い魔物が、うじゃうじゃいるからレベル上げには最適だ。

 大陸東側には壊されているとは思うが石碑がある。

 それに中央大陸には石碑の材料の一つがあるから、石碑に着いたら起こしてくれ。

 多分そのぐらいまでまた寝ちまうからな】



(分かった。その時は頼むよ)


【ああ。それじゃ俺は寝る】



 ユーリの声が聴こえなくなった。

 色々と気になる事が聞けて良かった。

 同時に気になる事も増えたけど。


 ハーディーンの不死身の力。

 ドレアム……。

 そして俺の成長と存在意義か。

 状況は厳しいけどやるしかない……。

 絶対に。


 テントの方から足音が聞こえてきた。アルフィン達が起きたか。交代の時間だな。



「タクトさん。見張りお疲れ様です」



「後は私達が見張りますのでゆっくり休んでください。リラックス効果のあるお茶を淹れましたので眠る前に飲めば、安眠できますよ。どうぞ」



「ありがとう。テントで飲んでから寝るよ」



 シズクから受け取る。



「タクトさん。おやすみなさい」



「あぁ。おやすみ」



 その後、もらったお茶を飲み眠りに着いた。

 早朝に起きて夜営を撤収し、クリスタに向けて動き出す。

 半日程進んだ先で、クリスタ王国に到着した。



お読みいただきありがとうございますm(。-ω-。)m


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