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129話 邪神との再戦

 



 アルフィンと二人で、ハーディーンの元までたどり着いた。

 女神から様々な話を聞いて、俺なりに思うところもあり説得をしたけど。

 だけど、予想はしていたが話は平行線をたどるだけ。

 こうなったら戦って分からせないといけない。



「仕方ない……やるしかないか。すぅ~はぁ~。よし!」



 深呼吸を一つして気持ちの切り替えをする。

 どのみち俺達は絶対に負けられない。

 この戦いは何がなんでも勝たせてもらう。



「タクトさん。まずはハーディーンのシールドを破壊します!」



 アルフィンの治癒魔法がハーディーンにかかり、曼陀羅のシールドを破壊した。



「ありがとう。アルフィンは少し、離れていて。この戦いはかなり激しくなると思うから。それとシズク達が来たら、その時の状況でアーロンさん達と動いてほしい」



「分かりました。わたくしの力が必要になりましたら、仰ってください。タクトさんお気をつけて必ず無事に帰ってきてください」



 アルフィンは俺の手を握ると走って距離を取った。




「そなたもかなりの強化をしたのは分かっている。出し惜しみは無しだ。余も最初から力を解放しよう」



 そう言うと、前回戦ったとき以上の強烈な魔力を解き放った。



「前回は力不足で皆を殺されそうになったけど、俺は強くなった。もう負けない」



 俺も魔力を高め力を解放した。

 お互いの魔力の波長がそれぞれに力の高まりを伝える。

 相手の力量を図りながら構えを取り、相手の出方を伺う。



「……」



「……」



 ここで、ハーディーンのステータスを確認した。

 前の時には、正確に計れなかったが。



 アレースローン(邪神ハーディーン)

 邪神

 レベル 測定不能

 スキル 魔力操作(EX)、遠距離魔法(EX)、近接戦闘(EX)、ステータス表示(完全)、縮地、魔物生成、全ての魔力行使、気配察知、戦神の力、戦神の身体能力、戦神のスキル



 やっぱり俺と同じでレベルはカンストしているのか。

 そして、スキルもチート。

 女神も言ってたけど、神としての能力は一度失われた筈なんだが、また鍛え直したんだろうか。


 やっぱり邪神は強い。

 トランスヴァールで戦った時は、復活して直ぐに攻め込んで来たからまだ力は完全には戻っていなかった。

 今は傷を癒しながらでも、復活してから一週間は経過している。

 そして。

 この場所は、コイツにとっては有利な場所の筈だ。

 俺もパワーアップしたけど、それがどこまで有利になるかは分からない。



 仕掛けるタイミングを伺いながら、目の前の相手を見据える。

 ハーディーンもまた、俺を見据える。

 ただ、前回の時に見せた余裕の表情は消えていることから、俺の力量も把握したのだろう。

 油断なく目の前の敵に勝つ為の算段を考える俺達は、遠くで激突音が鳴った事で戦いのゴングとなり、同時に地面を蹴った。



「ハァッ!」



「フッ!」



 ガゴゴアァァァッ!!


 第一撃目は、両者の魔力装填された右拳がぶつかり合う。

 派手な音を鳴らしながら、ぶつかる巨大な魔力は空気をビリビリと震わせる。

 互いに拳に力を込め押し合いになったが、この勝負は俺が勝った。



「ハアアアッ!」



「なにっ!」



 俺は更に力を込め魔力を増して、ハーディーンを拳ごと吹き飛ばす。

 猛烈な勢いで、この広い空間を飛んでいくハーディーンにぴったりと張り付きそのまま空中で殴り続ける。



「ぐうううっっ!」



 腕を交差し必死に防御する中でひたすらその上から拳と一緒に魔力も叩き込む。



「爆発しろ!」



 最後に一発特大の魔力を拳と共に打ち下ろし、それが大爆発をおこした。



「ぐふうあああっーー!」



 邪神は、ド派手な音を鳴らし背中から地面に突っ込んだ。

 そこから俺は追撃として更に莫大な魔力を溜めると。



「クラウプスユニバース!」



 神級魔法を地面に向けて放った。



「……さぁ。どうする」



 この程度で倒せる相手ではないことは分かっている。

 だからここからどう切り抜けるのか、ハーディーンに向かって飛んでいく魔法を見守る。


 魔法が直撃する瞬間、暗黒の魔力は膨れ上がりそこからハーディーンが抜け出すのが見えた。

 標的が消えた地点で神級魔法が激突し、周囲を吹き飛ばす。



 爆発の余波が来ないように爆心地から離れて様子を伺っていると。

 爆発の影響を受けないように薄い結界を張ったハーディーンが、空中に浮かびながら近づいてきた。



「……今のは、危なかったぞ。()にここまでの手傷を負わせるとは。万死に値する」



 怨みと怒りがたっぷりと含まれた目で睨んできた。



「この前やられた分を返しただけだ。それに、そうは言ってもまだまだ余裕そうじゃないか」



「たかが人間にここまで抵抗されるとはな。

 よもや、更に力を解放せねばならぬとは思いもしなかったぞ。完全に遺憾だ」



 目論見が外れ悔しそうな顔をする。

 眼を閉じ間を作った後、ハーディーンが放出する力が変わった事に気づいた。



「ここから先の領域()は、トランスヴァールも知らぬ。

 この力を使うのは、()()()()()は、()そなたが初となる。光栄に思うが良い」



 両手を突き出し、力を込めるポーズをするとハーディーンの体からはより一層に暗く異質な魔力が流れ出てきた。

 それは、どんどんと高まりを見せこの広い空間を満たしていく。



 戦いはまだこれからだと言わんばかりに。

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