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125話 連合軍の総力

よろしくお願いします!

 



「やっぱり魔物の数が元に戻ってたか」



 ルーデウスで号令を掛けて、俺達も暗黒大陸にワープした。

 数時間前に下見に来た時に結構な数の魔物を倒したんだけど、その数は元に戻って……いや、それ以上に増えている気がする。



「やっぱりそう簡単にはいかなさそうですわね」



「いっぱいなの。さっきよりも」



「空と大地をびっしりと覆いつくしていますね。これだけの数がいるとなると、ハーディーンにたどり着くまでに骨が折れそうです」



 シズクの言うとおりこの大量の魔物の相手をするとなると、余力が無い状態でハーディーンと戦わないといけない。

 でも。

 それは想定済みだ



「アーロンさん!」



「分かっている。魔法隊! 戦士隊も作戦通りに魔物の対処を!」



 雑魚の担当は、各隊長達、副隊長がそれぞれに隊を指揮して魔物を掃討する事にしていた。

 先陣を切ったのは。



「オラァァ! いくぞお前らー! 暴れろここが見せ場だ! 今までやられた分、倍返しでやってやろうぜーー!!」



「「「了解!!」」」



 ジェクトさんが豪快な声で自身の部隊に指揮をしつつ「ブオンブオン」と、鉄球を振り回して魔物を蹴散らす。

 その顔は獰猛な猛獣が如きに、眼を血走らせていて正直怖い。

 ジェクト隊の戦士達も隊長に続けと、大小様々な魔物を相手取る。



「上空の敵はワレ等に任せろ。いくぞ竜王国の戦士の力を示せ!!」



「「「オオオウ」」」



 バハムートが同じく部隊に声をかけながら、高度を上げていき空高く舞い上がる。

 綺麗な等間隔で翼をはためかせながら横一列になると、口元に魔力が集められ、強力なブレス攻撃が何本ものレーザーになって魔物を消し炭にしていった。



「二人に先を越されたか。ラカン! お前達もついてこい! 俺達はあの大型の魔物の群れを殲滅する!」



「了解です隊長! 皆いくぞ! バルデルとインも頼むぞ!」



「おう! 任せておけや! 俺も今までのストレス溜まりまくってんだ。ここで暴れて勝って旨い酒を死ぬほど飲むぜー!」



「バルデルと言うとおりだ。全力で戦った時の酒は最高なんだ。それによ、ここで暴れなきゃ男じゃねぇいくぜー!」



 バルデルさんは、赤い巨大なブレードを魔物に切りつけ爆発させる。

 インさんも、魔法を撃ち込み魔物を吹き飛ばした。



 クラウド隊は通常よりも明らかに巨大な魔物の群れに突っ込んでいく。

 今までたくさんの魔物を倒してきたけど、あそこまで巨大なのは、初めてかもしれない。

 だが、大きさなど関係ないとばかりに、ズバンッと、魔物を両断する音を響かせ魔法剣で切り伏せるクラウドさん。

 ラカンさん達もそれぞれの剣に魔力を付与して、鋭さを増した得物で魔物の胴体を切断していく。



 隊長達とバルデルさん達の奮闘のお陰で魔物がいないルートが出来つつあった。

 もうちょっとでハーディーンがいる所まで道が出来上がる。



「それじゃあ。道の完成はわたし達が受け持つわよ。見てなさい今までの鬱憤。そして、タクトを傷つけた恨みそれもたっぷり込めてあげる! グラビティーロック!!」



 アリサ女王の特級魔法が魔物を引き寄せ、押し潰した。

 あの魔法は、重力系でも強力な部類のだ。

 前に見た時よりも、魔力操作も凄いレベルアップしている。

 エリス王国の魔法士達は、女王の鬼神の如き戦い振りに鼓舞される様に上級魔法を連射していく。



「まだまだいくわよ! わたしのタクトにどれだけの事をしたのか、思い知らせてあげるわ!」



 そしてまた魔法を連発する度に、魔物がゴッソリと消えていく。



「アリサお姉ちゃん凄いの。あんな怖い魔法を何回も使えるなんて」



「悔しいですが、砲台タイプの魔法使いとしては最高レベルですわね。タクトさんを想うお気持ちも、本物」



「あはは……。ものすごい形相で戦われていて怖いですね……」



 アルフィン達もアリサ女王の戦う姿にそれぞれの感想を漏らした。



「おお。怖いな女のヒステリーは。それでは俺達もやるか。レスター! 戦闘を走れ! 皆のもの魔法を準備せよ!」



「ハッ! 志半ば(こころざしなかば)で倒れたクルーゼの分も暴れてやる!」



 今度はトランスヴァールとクリスタの二国軍が、全面に出てきた。

 レスターさんが剣に魔力を付与して切りつけ、片手に魔法を造り出し放つ。

 その攻撃で、魔法を撃ち込むポイントが浮き彫りになった。



「今だ! 撃てぇー!」



 前衛にいる大きめな魔物を倒し指示を出した。

 それを合図に魔法の矢が降り注ぐ。

 レスターさんも俺が転生した日に戦った時に比べて、様々な点でレベルアップしているし、この隊は連携が凄い。

 急遽組まれた隊の筈なのに、昔から訓練されているかの様に、一切の無駄がない。



「レスターもまた、強くなりましたね。クルーゼの無念を晴らす為に血の滲む鍛練をしたのでしょう……。クルーゼ見ていますか? わたくし達は遂にここまで来ましたよ」



「……アルフィン」



 一瞬寂しそうな顔をしたアルフィンの肩を抱き締めた。



「大丈夫です。今は、感傷に浸る前にこの戦いに勝つことを考えなくては」



「そうだね。でも、皆のお陰で」



「はい。道が出来ました」



 十万人が機能的に効率的に動き、隊長達と王達の中でも戦闘力の高いアリサ女王とシーゲル陛下達のお陰で、ハーディーンがいる所まで道が出来上がった。



「よし! タクト達。先に中に行ってくれ。わたし達もここを落ち着かせたら後を追いかける」



 アーロンさんも、特級魔法で魔物の数をガッツリと減らしながら先に行くように言ってくれた。



 ありがたい。これで消耗しないで中に乗り込める。



「分かりました。ここはお願いします。皆! 中に乗り込もう!」



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