表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/147

113話 それぞれの国の状況

 




 エリス王国を出てからは、バラガン公国に来ていた。

 トランスヴァールを襲撃された時に、同しタイミングでここもデスタに襲われていたからずっと心配だった。

 クラウド隊長達でデスタを討伐したはいいが、軽くない被害が出たとも聞いていたから。


 その被害状況を確認したかったのと、復興作業で人手が必要ならちょちょいと魔法で手伝えると思い、ヨーク公がいる宮殿へと移動する。



「あ! タクト君! 無事で良かった。アーロン皇帝から、聞いた時は、心配で堪らなかったよ。もう、身体とかは大丈夫なのかい?」



 執務室の方へ顔を出すと、ヨーク公が笑顔で側まで来てくれて肩を叩いて喜んでくれる。



「ご心配お掛けしました。もう、肉体、精神共に健康です。

 ここに来るまでに、上空から街並みが見えましたけどあちこち破壊されていて、元に戻すまでに結構かかりそうだと感じましたが実際どうなんですか?」



 街の被害の程を聞くと、疲れを浮かべた表情で答えてくれた。



「……そうなんだよ。アルフィン王女の前でこんな事を言ってはいけないんだけど、バラガンもトランスヴァール程ではないにしろ、あちこちの施設を破壊されていておまけに今直ぐ修理を出来る職人や魔法士の数も足りなくてね。バルデルやイン達、ギルドにも要請しているし、ラカンにも力を貸してもらってはいるんだがね……」



 ラカンさん達も、決戦に向けての準備で大忙しだろうから、復興にかかりきりとはいかないんだろう。

 ギルドが協力してくれていても、決戦の準備と復興を両方やるにはどうしたって人員は必要になる。

 それも、結構な数が。


 その為に俺達は来たんだから、役立たせてもらおう。



「俺達にも作業を手伝わせて下さい」



「……いや、しかし。君達こそ今一番忙しいじゃないか。

 四日後に集結するのもだが、ハーディーンに唯一勝てる可能性があるのは、タクト君達だろう? 他にやることが……」



「準備は確かにありますが、それはここが終わってからでも大丈夫ですから。それに、ちょっと試したい事もあるので上手くいけばそんなに時間もかからずに、終わると思うので問題ないです。

 ただその為には、この街の施設の設計図があれば、助かるんですが。ありますか?」



「良くわからないが、タクト君の事だ。何か常識外な事があるんだろう。分かったよそれじゃあ力を貸して欲しい。今すぐ必要な物を用意させるから。追加で必要な物があれば、どんどん言ってほしい」



 それから。

 壊された箇所を回りながらクリエイト魔法全開で直していくことにした。アルフィン達にも、それぞれに担当を分けて動いてもらうことにした。

 まずは、この街の被害状況一覧を作ってもらい場所を把握する。

 各箇所の担当責任者と、軽くどう直すかを打ち合わせする。

 あとは、設計図と材料さえあれば何とでもなる。


 修復箇所が思ったよりも多いから、時間かかると思ったけど。



「やっぱり。これも強化されてたのか。魔力操作も、魔力も、クリエイト魔法自体がパワーアップしてるから、修復スピードがヤバいことになってるな……」



 スキャナーの様に超広範囲に魔力を張り巡らせ、設計図を元に完成形をイメージすると。

 材料を消費しながら幾つもの建物を同時に、オートで直していく。



「おいおい。タクト……お前。またとんでもなくなってんじゃねぇかよ……。最前線から帰ってから化物になったのかよ……」



 この場所を担当していたバルデルさんが、驚きの声をあげる。



「……本当だな……強さも、恐ろしい物を感じるぞ……。いやはや……」



 インさんは隣の担当責任者だったが、そこも同時に修復されていくのを見て、同じく驚きの声をあげていた。



「役に立てて良かったですよ。せっかくの力も使わないと意味がないですし」



 どんどんと直し、次の場所に移動してまた直す。



「凄いね! どんどんと街が元通りになってくの」



 公園周辺を直しながら、ナエのお気に入りのアイス屋さんの屋台も一緒に修復する。



「美しい構造のコロシアムも、すっかり元通りですね。流石です」



 立派なコロシアムも、ボロボロにされていたけどそれも元通りに。



「おお! わたしの店が……ありがたいですなぁ」



 ワポルさんが経営する、フロンティア商会の店も、この辺りの商店街も修復する。


 バラガン公国を隅々まで確認し、襲撃され破壊された箇所を全て直した。半日は覚悟してたんだけど、まだ二時間たっていない。

 時間は有限だから、浮いた時間は他に使えるし良かったな。



「タクト。作業終わったらよ。また皆でパーッといかねぇか? 街の修復の方は、お前にほとんどやらせちまったから俺達で最高の酒奢るぜ」



 バルデルさんから、非常に魅力的な提案を受けた。

 良いなぁ。めっちゃいきたい。

 いきたいけど。



「バルデルさん。めっちゃいきたいけどすいません。今日はお断りします。この後、他に行かなきゃ行けない所もあるんです」



「そうかぁ。そりゃしょうがねぇか。こんな時だもんな……。じゃあよ。この大戦を無事に生き残ったら祝い酒ガッツリといこうぜ!」



「それはいいですね。絶対に生き残りましょう」



 断腸の思いでお誘いを断ってしまったけど、でも次の約束も取れたから良かった。

 此のためにも、頑張らないとな。



 ヨーク公の所へと戻り、作業が終了した報告をする。



「本当に助かったよ! ありがとう! それに、ものすごいスピードだね。流石だ!」



 ヨーク公がすごく嬉しそうな顔をして喜んでくれる。

 この顔を見れただけで、協力を申し出て良かったと思う。

 


「破壊された所は全て直したので、前の状態まで戻ったと思います」



「ありがとう。これで、決戦に向けて集中出来るよ。この恩に報いるためにも、最高の隊を編成することを約束する。それで、作業で疲れただろうしお礼として、また最高級ホテルを用意するからゆっくりしていかないかい?」



「せっかくのご厚意ですが、この後はクリスタに行こうと思います。どうしても、寄りたい用事がありまして」



「分かったよ。また立ち寄ってくれた時は、是非お誘いを受けてくれると嬉しいな」



「ありがとうございます。その時は、是非に」



 挨拶をして宮殿を出た。



「お兄ちゃんクリスタに行くの? お父さんと、お母さんに会えるの?」



「そうですよ。ナエちゃん良かったですわね」



「うん! えへへ」



 ナエがはち切れんばかりの笑顔を浮かべた。

 暫く振りの親との対面だからな。

 本来ナエの年齢なら親に甘えたい年頃なのに、その時期に親元を離れ、俺達と旅をしている。

 言葉には出さないけど、寂しいに決まっている。

 それに、ナエは普段から我が儘をあまり言わない。


 だから、今夜は思い切り甘えさせてあげたかった。



 リューガにクリスタまで飛んでもらい、シーゲル陛下と合う。




「魔王殿ちゃんと帰って来たな。女をあまり心配させるもんじゃねぇぞ。惚れさせた女は、ちゃんと安心させてやるのが男の甲斐性ってもんだ」



 再開してすぐに、男としての説教とアドバイスを頂いた。

 それを真っ赤な顔をして、聞くアルフィンとシズク。



「そうですね。今回は本当に身に染みましたよ。これからはしっかりします」



「いよいよ。腹をくくれ魔王殿。押して、押して、押し倒せ!」



 男とはのアドバイスを熱く頂く。

 それが済むと、話は部隊の編成へと移行する。

 その前に。



「シーゲル陛下少し待ってもらっていいですか?」



「ああ」



 話が長くなるから、アルフィン達にナエをご両親の元へと送ってもらうことにした。



「ナエ。朝までたっぷり甘えてこいよ」



「うん! お兄ちゃんありがとう!」



「アルフィンも、ユルゲン陛下によろしく伝えてほしい。たまにはゆっくりしてきてくれ」



「はい。お心遣いありがとうございます」



 三人で、街の方へと歩いていった。

 実はクリスタには、ユルゲン陛下も避難している。

 トランスヴァールが崩壊した為に、街の別邸で静養されている。ドレアムに洗脳された後遺症が残っているのかまだ、本調子ではないのだ。

 だからアルフィンは、ナエを送った後ユルゲン陛下の所で今日は一泊する。シズクも付き添いで一緒に泊まることにしたらしい。



「まだまだ語り足りんから、酒を飲みながら話そう。今日こそ、男としての経験値を上げるためのコツを伝授してやる」



 目が逃がさねぇと、訴えかけてくる。

 こういう時の迫力は、本当にユーリにそっくりだ。



「あはは……。お手柔らかにお願いします」



 クリスタ城で一泊させてもらい男とは講座を受け、結局この日は、次の日に帰ってきたアルフィンに怒られる程に飲んでしまった。


お読み頂きありがとうございました

(*- -)(*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=123401350&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ