106話 転生の真実
よろしくお願いします!
「貴方ならば、アレースローンに打ち勝ち……もう一度、人間の善を信じる心を取り戻させてくれるかもしれないと、希望を賭けてみることにしたのです。
それで私は……貴方を事故に合わせて……死なせました。ここにその魂を喚ぶために」
女神から、俺が転生した時の真実を聞いた。
これも、もしかしたらとは思っていたけど。
こうして、事実として聞くとやっぱり辛いものがある……。
女神は、膝を折ると土下座に近い姿勢になって頭を下げた。
「申し訳ありませんでした。貴方の命を私の都合で奪っておいて、あまつさえ、あの時に嘘までついてしまいました。貴方が私を許せないと思うのも、承知しています。この話を聞いて、貴方が見限ったとしてもおかしくありません。
マギア・フロンティアを救って頂いた後でなら、私を……殺して頂いても構いません。ですから……どうか。どうかマギア・フロンティアを救うために、お力をお貸しください」
地面に額を着けて、お願いされる。
「正直凄くショックだし、そっちの都合で俺の命を奪っておいて、何言ってんだと、思うけど……だけど」
緊張して渇いた唇を舐めて、俺が今、思っていることを話した。
「俺は、転生してマギア・フロンティアに行けて良かったと思ってる。いや。良かったってレベルじゃなくて、感謝してる部分もあるんだ。
アルフィン、シズク、ナエやアリサ女王、シーゲル陛下、ユルゲン陛下、ヨーク公、アーロン皇帝。その他のたくさんの人達に会えて、仲良くなってさ。決して前世じゃ味わえなかった体験や、出会いを俺はたくさん貰った。そして、これからも彼女達と、一緒に味わって生きたいと思う。だから、もう頭を上げてくれ。その事はもう。いい」
額を上げて女神は、俺の顔を見つめた。
「……貴方は……本当にお人好しですね。フフ。だからこそ」
今度は本当の微笑みを浮かべながら、立ち上がり、もう一度真剣な表情でお願いしてきた。
「どうか。改めてマギア・フロンティアを救ってください。お願いいたします」
「ああ。俺の全身全霊を賭けて、必ず良い結果になる様に頑張るよ。ああ。そうだこれも聞きたかったんだけど、俺のあのスキルは、どんな能力なんだ?」
「あの能力は、ハーディーンに対抗する為の専用の力です。
ドレアムにも使用出来たのは、ハーディーンから特別に力を与えられていたからでしょう。本当は、貴方が転生する際にギフトの事をお話ししようと、思ったのですが……変に情報を与え貴方が疑心を抱く結果になるかもしれないとの、打算も正直ありましたが、貴方には、順当に力を付けていって頂きたかったのです。こちらの説明不足で、危険な目に合わせてしまいましたが」
「女神がいうように……知らないで死にかけた事もあるから、教えといて欲しかったけどな。まぁ、それは今更か。
あの能力は、俺のイメージした結果になる能力でいいんだよな?」
「概ねはそうです。付け加えるならば、ハーディーンにのみ貴方の思い描いたとおりに、結果を作用する能力。ただし、純粋な戦闘力をあげるものではなく、あくまでもサポート能力に近いものです」
「でも、何で俺はそんな素質を持ってたんだ? ユーリの方が色々と優秀なのに、使えなかったんだよな?」
「はい。ユーリ陛下は使えません。その力を使うには、生まれながらに特別な因子を持ち、相手の善を信じられる心を持つ者。
そして、マギア・フロンティア以外の他世界から来た事も条件になっています。これ等、全ての条件を満たす方が、今までいなかったのです。その条件がなければ扱えないほどに、その力は強力。
ハーディーンもまた、神としてチート能力を使えるので、それを埋めるものと考えてください」
確かに。
ハーディーンはシールドもだけど、ズルい能力が多々あったからなぁ。
一回戦って分かったけど純粋な強さも、向こうの方が強い。
ユーリが今、戦っているみたいだけどどうなったか。
女神なら、二人の戦いが見えているんだろうか。
聞いてみるかと、女神を見ると遠くを見据えるように一点を見つめていた。
「……今。ハーディーンをユーリ陛下が倒しました。貴方の残してきた物も役に立ったと、彼が言っていますよ」
「良かった。無駄にならずにすんだか。それで、ハーディーンは?」
「かなりの損傷を追いましたので、一週間は復活するまでかかると思います。その間に、勝つための準備をしておくといいでしょう」
「そもそも、俺は仮死状態みたいだけど、これからどうなるんだ? その辺のことをまだ教えてもらってなかったけど」
「あ……そうですね。すいません。伝え忘れていました」
女神もそう言えばみたいな顔をしているけど。
……神とはいえ、うっかりすることもあるのか。
「貴方の傷ついた肉体は、アルフィン女王が治してくれました。魔力核も、治癒されています。
あとは、問題だった精神。貴方の存在を構成している部分を回復すれば、貴方は助かります。
そして、その方法ですが――――丁度、その鍵を握る人が来てくれました」
そう言うと女神が俺の後ろを見る。
視線につられて俺も後ろを振り向いた。
「よう。やっぱりここだったか」
そこには、初めて対面するユーリが立っていた。
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