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99話 邂逅

よろしくお願いします!

 



 ハーディーンが暗黒大陸から動き出すのを感知した。

 ドレアムよりも恐ろしくて、巨大な魔力反応がここに向かって来ている。



 アーロンさんに再度連絡を取り、ハーディーンが動き出した事、ここに向かってくる途中に、街や村にも攻撃するかもしれない事を伝え、各国に避難指示を出してもらった。



 アルフィンは、一度トランスヴァールに戻り救援に来てくれたシーゲル陛下と、一緒に国民を避難している。

 ユグドラシルは、シズクとシャトヤーンさんに任せるとして俺とナエは、ここの復興の手伝いと新しく結界の張り直しをした。



 こちらはドタバタとしているが、ハーディーンは転移魔法も使わずに、ノンビリと歩いて移動している様だ。

 今はまだ、暗黒大陸を出たばかりの所にいる。

 このスピードならここまで来るのにまだ時間はかかるけど、それだっていつどうなるかは分からない。


 ユーリからは、ハーディーンとの戦い方や特性も聞いたけど、非常に厄介な奴だと言っていた。

 当然強さもドレアム以上だし、あのユーリですら死にかけた相手。

 どのみちそんな奴に、俺一人で勝てるとは思っていない。

 皆に力を貸してもらわないと勝てないと思う。



 それからは、慌ただしい中で少しでも有利になるように準備していった。

 アルフィンも、トランスヴァールの避難を終わらせこちらに戻って来て、シーゲル陛下には民と一緒に聖堂の守りを固めてもらう。シズクはユグドラシルの残りの調整をシャトヤーンさんに任せてこちらに来てもらった。



 大方の準備は終わり、次は戦う場所はドレアムと戦った平野に決めた。

 トランスヴァールと、ユグドラシルの間にあるここならどれだけ暴れても被害は出ないし、ハーディーンが何かしたとしても、大丈夫だろう。




 ただ。

 予想通りというか、当たってほしくなかったけど、遠くの空に黒煙が登るのが見えた。

 一個や二個ではなくて、奴がここに近づいてくるにしたがって、その数が増えていく。

 まるで、今この辺にいるよと教えているかの様だ。

 やっぱ、大人しく真っ直ぐに来るなんてことはないよな。

 避難が間に合ってくれてたらいいんだけど……。



 そして、諸々の準備が終わりこちらの、用意が整った頃。



 遂にハーディーンは俺達の元まで辿り着いた。

 赤色と金色で彩られた玉座を空中に浮かべ、そこに腰を降ろしてゆっくりと近づいてくる。

 体から溢れ出る魔力圧力は、この場を重苦しいものに変えていく。


「ビリビリ」と空気が痺れているような感覚を、体に受けながら俺はゆっくりとゆっくりと近づいてくるハーディーンを見ていた。



「……似てる……」



 ハーディーンを初めて見た感想が口からこぼれる。



 邪神は。

 俺が転生する際に、出会った女神によく似ていた。

 似ているだけであの女神とは別人だけど、邪神なのに神々しい雰囲気を纏う事も、女神が来ていた白を基調としたローブを来ている事も俺にそう思わせたのかもしれない。



 ただ、あの女神と圧倒的に違うのは。



「……あの穢れきった魔力は……何なのでしょうか……」



 アルフィンがいうように、ハーディーンの魔力は穢れに穢れきっていた。

 ドレアムなんか比較にならない程に異質で、あの魔力を放出するだけで生物を殺してしまいそうだ。

 現に、漏れだした魔力に触れた草木や、花々もまるで生気を吸われているかのように萎れていく。




「……そして。……強いですね。私達四人で勝てるか……」



 シズクがハーディーンの力量を計り、思わず呟く。

 強くなればなるほどに、相手の力量は分かるものだが……コイツは、規格外の強さを感じる。



「……顔はドレアムの方が怖かったけど、この人の方が怖いの……」



 ナエは、杖を「ギュッ」と握りしめた。

 俺達が思い思いに印象を語るのを、黙って聞いていたハーディーンが口を開いた。



「そなたらとは、はじめましてだ。そなたが魔王だな。なるほど」



 男か女か分からない中性的な声で、俺達を上から見下ろしながら確認してきた。

 目線はこっちの本意を見定める様に、見据えてくる。


 そして、たった一言。

 言葉を発しただけで、体に圧がかかったかのように重くなった錯覚を受ける。



「……そうだ。お前がハーディーン……イカれた邪神か。この世界に不幸をもたらす存在」



「まさしく余が邪神ハーディーンだが。フム……」



 ハーディーンは、顎に手を当て考える仕草をすると。



「無礼だな」



「ブオン」と風を切り裂く音が聞こえたと思うと、気付いた時には拳圧が目の前に迫ってきていた。



「―――っな! ぐうっ!」



 咄嗟に腕を交差して、ガードをしたが。

 いつ腕を動かしたのか分からなかった。

 視線を外さずに、コイツの出方を伺っていたのに。



「タクトさん!」



 アルフィンが、治癒魔法を直ぐかけてくれた。



「大丈夫だ。何とかガードしたから」



 とはいえ、いまのはギリギリだった。

 速さも打撃力もドレアムとは段違いだ。



「……恐ろしく速いですね。はぁっ!」



 シズクは抜刀して破魔を発動する。



「ご挨拶の途中に、攻撃しちゃダメなの!」



 ナエも、収束スキルで魔力を高めていく。

 全員が臨戦態勢になった。



「そなた頭が高いぞ。聞かれた事以外を勝手に話すでない。

 そなたらは、神の御前にいるというのにそれが分かっておらぬようだ。

 それに、神に向かってその口の聞き方……失礼だとは思わんのか?」



「うるせーよ。そっちこそいきなり殴りかかるなんて、常識ないんじゃねーのか?」



「ハァ。これだから人間は駄目なのだ。身の程を弁えていない。やはり、滅ばさなくてはいけないな」


お読み頂きありがとうございました

(*- -)(*_ _)ペコリ

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