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それだけでいい。  作者: ユイ
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現実で夢をみる



恋愛ソングが響かない。

ふと。そんなことを思った。


もちろん、それもそのはずで。

私の恋愛は私だけのものなのだから人が作った歌を聞いたところで全てが同じなわけではない。


なんとも言えない。

虚無感。怠慢感。


もういっそのこと全てを投げ出して。

何もかもなくていいから、彼だけが欲しい。



「いらっしゃいませ!」


仕事とプライベートは割り切らなきゃいけない。

そう分かってても考えてしまう。


営業の笑顔を貼り付けた私はちゃんといつも通りにできているだろうか?



早く終わって欲しいって思うのに仕事が終わればまた1人で考えてしまうのだろう。


24歳にもなって恋愛でこんなに悩むなんて考えても見なかった。


ため息が思わず溢れそうになるのをぐっと堪えて仕事に集中する。それだけが今を生きる理由なのだ。







「だから、やめなって言ったじゃんそんな男。」


仕事が終わった後で同期が怖い顔をしながら私に言う。


「でもさー。そんな風に見えなかったし」


「私には見えてた。」


なんとも言えないサッパリした性格の彼女は私のすぐに人を信用するところが良く理解できないらしい。


それでも、私は彼がそんなに悪い人には見えないのだ。


「あのさぁー。グダグダ悩んで中で早くブロックして」


「え?ブロックはちょっと、」


ブロックなんてしたらもう会えないも同然じゃないか。


「それだけ傷ついてまだ会いたいとか思うわけ?」


私の反応をみて更に怖い顔をする彼女に内心ビクビクしながらも分かんないと小さく呟く。


「分かんないじゃなくて、貸して!」


「えっ、ちょっと!」


私のスマホを奪って「私がブロックする」そう言い張る彼女は本気で消そうとしてる。


私と彼の思い出を。

そう思った瞬間とてつもない恐怖が一気に溢れ出したように心がざわざわと揺れた。


「大丈夫!自分でできるよ!」


そう言ったところでできるわけないのは明白だった。


スマホを奪い返した私を睨むように見つめる彼女にビクビクしながらも、大丈夫だからって同じことを口にする。


彼女が怒りたくて怒ってる訳ではないのも理解しているし私を思ってくれてるのも痛いくらい伝わる。


なのになんで私は彼を切ることができないのだろう。


もう恋愛なんてしないで仕事だけして生きていきたいなんて思うのに結婚したいし幸せになりたいなんて考えてしまう。人間とは矛盾の中でもがきながら生きていくものなのだ。




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