ダンジョンを育てよう
ゴブリンとの死闘を終えた俺は、何とかモンスターと遭遇する事なくホームへと帰還する事ができた。
ホームに帰れた安心感と、ゴブリンとの戦闘での疲労により倒れ込むように俺は眠ってしまった。
ボロボロの俺を見たレアがかなり焦っていたが、半裸の美少女を前にエロい想像しかしなかった俺はダメな奴だろうか……男なら仕方ないよね。
「本当にびっくりしたのよ!颯爽とレベリングするってホーム飛び出してさぁ……
たった20分ぐらいでボロ雑巾みたいになって帰ってくるんだもん」
ふ……女にはわからない事情があるのさ。時間は関係ない、そこにどれ程の経験をしたかってことが重要なのさ……
「何カッコつけて遠く見つめてんのよ……まあいいわ……で、何か収穫はあったの?」
「ふふ……聞いて驚け!俺は死闘の末に魔王ゴブリンを駆逐した!」
レアは眉間に手を添え溜息を吐いた。
「ハァ……その魔王様と戦ってそんなにボロボロなのね。一応言うけど、その魔王ゴブリン様は無界でも1、2を争うぐらいの最弱モンスターよ。」
……なんだ……と。あの凶悪かつ鬼を具現化した様な魔王ゴブリンが最弱だと……
ふざけるなよ!確かにゲームなら雑魚モンスターポジションだが、ここで戦ったゴブリ……魔王ゴブリンは恐ろしく強かった。
あれが最弱なら俺は……俺は……弱い。
「認めたくないものだな」
「やかましいわっ!」
てか、俺やって行けるのだろうか。ステータスは低いし、戦闘スキルもない。
唯一戦闘で使えるのは、バナナの皮って悲惨だろ。
あ、俺確かレベルアップしたんだった!
「レア……俺レベルアップしたんだった!悪いけどステータス画面見せてくれるか?」
「え、凄いわ!そのクズ……低いステータスで良く頑張れたわね。どれどれ、ステータスオープン」
「……ありがと」
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太田 陽 Level 2 【DP 10】→20
職業 挑戦者【563068番目】
HP 100/100 →110
MP 50/50 →90
筋力 3
耐久力 2
知力 9→12
器用さ 5 →7
素早さ 4
運 2
SP 5 →7
固有スキル 【交渉】【弱者の特権】
ユニークスキル 【不屈の魂】
スキル 【バナナの皮】
レアはまじまじと俺のステータス画面を見ていた。俺もステータス画面を見てますよ的な行動をしつつも、レアの胸へと俺の腕をゆっくりと……ゆっくりと接近させて行く。
この僅かな距離が永遠に感じる!が……目的地は目の前だ。
今こそネバーランドへ行こうぞ!
「……おかしいわね」
「お、おかしくなんて決してないぞ!!俺はネバーランドへ行こうとしただけだっ!」
「何訳わかんない事言ってんのよ?陽のステータスの上昇がおかしいって言ってるのよ」
焦ったぁ!?急に喋るな小娘がぁぁ!
冗談はさておき、俺のステータス上昇がおかしいらしい。ネバーランドに夢中で全然見てなかったぜ。
「普通人間は平均的にステータスが上昇するはずなのよ。前回の無界争いで検証されてたはずなんだけど……
陽のステータス見る限り該当しなさそうね。
それにDPの上がり方が謎だわ?普通はSPとDPはレベルアップ時に2ポイント獲得するはずなのよね……DPが10ポイントも増えるなんておかしいわ。」
ふむ、まあ深く考えなくてもいいだろ……
考えた所で分かんないだけだしな。
それに貰えるもんは貰っておくのが俺の流儀だしな!
「せっかく多くポイント貰えたし、DPを使ってみようか?
流石にこのホームだと安心出来ないよな」
「まあ、それもそうね……じゃあ、ホームメニュー出すわね!」
レアが画面を手早く操作していくと、ホームメニュー欄が写し出された。
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ホーム Level 1 【ダンジョンコア】
ホーム/ダンジョンコア拡張
ホーム/ダンジョンコア強化
ホーム内アイテム
ホーム内スキル
その他
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目の前の画面には各ホームメニューが表示されていた。何となくだが想像できる項目に、少しホッとしてしまう。
「大体は想像できるが、ホームとダンジョンコアがあるって事は別物だよな。
もしかして、この部屋がダンジョンコアになるのか?」
レアに一応視線を向けると、可愛く頷いてくれる。
「よし!一通り弄ってホーム強化するぞー!」
「いいわねっ!早くやりましょう!」
俺の……俺達の愛の巣を強化すべく、陽は各項目に目を通すのだった。
「レア……もう一回早くヤリましょうって言ってみて?」
不屈の魂は健在だ……