チュートリアル
現在俺はパイプ椅子に座り、目の前で正座する女性を見下ろしていた。
「あ〜んっ!!許してヨォォ……!!悪気はなかったのよ!!まさかあんな事になるなんて思わないじゃないっ!?」
確かにあれは不運が重なっただけかもしれない……しかし!こいつが歩道橋の手すりから落ちそうにならなければ、そもそも俺が死ぬ事は無かったはずだ。
俺は無表情で女性を観察してみる。
胸でけぇな……それに顔も整っていてありえないぐらい可愛い。黒い艶のある髪はとても綺麗で、まず日本では見る事が出来ない程の美少女だと思う。
身長は俺より低いので165㎝ってとこだろう。更にスタイルも良いとか世の女性に謝りなさい……
「ところで……オマエなんで半裸なんだ?」
「……スキルが付与された装備を着てたのよ。無界にはそう言った有利になる物は持ち込めないの……あ、あんたがイキナリ死んだから……慌てて魂回収したのよ……うぅ……高かったのにぃ……」
こいつなりに罪悪感を感じてたって事だろう。まあ、おかげでこんな美少女の下着姿を拝めたから良しとするか……
「オマ……君の名前は何て言うんだ?」
「……レアルーサ.リリルシャル.ララリフ.リーゼラナンよ」
(΄◉◞౪◟◉`)まじ卍
「レアは俺の事は知ってるのか?」
「ちょ、ちょっと!なにかってに愛称で呼んでんのよ……まあ……いいわ……
太田 陽 20歳 身長170㎝ 体重50㎏ 未婚 彼女いない歴20年 顔は悪くはないわ、もう少し身だしなみを気にして、愛想良くすれば上の下って所かしら……その無造作に伸ばした黒髪も、アッシュグレー系で部分的に染めれば私の好みに少し近くなるわね。
問題は性格ね、捻くれてるし自己利益を求める傾向があるわね。
妹に対する気持ちを他の女性に発揮出来れば、彼女なんてすぐ出来ると思うわ。
身体能力は平均的、ん〜……平均以下かな?バナナの皮で類を見ないダイブキメるぐらいだし……ぷっ……ま、まあ、頭の回転は素晴らしいわ、私から見ても目を見張るものがあるから落ち込まないで……あと……」
彼女……レアは、俺の事をスラスラと答えて行く。うん……激しくけなされている様に思う。
なんでこんなに俺の事知ってんだよ。時折口元に綺麗な指を当て、悩む仕草が可愛いのが余計にはらただしい。
「魂の経験を見る限りざっとこんなものね!サポーターとしては当然よ!」
「お、おう……」
キラキラとした瞳で俺を見つめる姿に、悪気はないのだろう。
「あ!そうそう……無界ではパートナー……陽の事ね?戦闘経験で成長する事ができるわ。
今はクズ……す、少ない能力値でも経験を積めば成長出来るから、頑張りましょうね!」
今サラっととんでもない事言いやがった……
「……おう」
無界は俺の知るゲームに近いシステムだった。パートナーは能力値と言うシステムの元、経験値を獲得して成長して行く。
簡単に言うとレベルアップシステムだ。
サポートのレアにはそのシステムは適応されておらず、パートナーの俺をサポートする役割に徹しなければならない。
レアは戦闘に参加出来ないと言うことだな。
「で、俺にも自分の能力を見る事ができるのか?」
「もちろん可能よ!私も初見だけど……ステータスオープン」
レアがそう呟くと、彼女の手元に画面のような物が現れた。俺はマジマジとそれを見つめる……あ、さわれないのね。
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