聖樹ユグドラシルの実
現在俺は正座で、どこから取り出したかわからないパイプ椅子に鎮座する女性の前に座らされている。屈辱だとは思わない……むしろご褒美じゃねぇか……
「……聞こえてるの!?ホントに反省してるのかなぁ?まぁ……わからなくもないわよ?こんなに可愛い私だもの、手を出したくもなるわよね……そうね、男なら仕方の無いことなのよ……私にも責任があるかもしれない……でもね……貴方がしようとした事は犯罪なの?わかる?は!ん!ざ!い!」
パイプ椅子に内股気味で座る美少女……
身振り手振りで喋るたびに上下に揺れるたわわな果実。
何このプレイ……最高じゃねぇかぁ!!
俺はたわわな果実を見逃さまいと、猫じゃらしを見つめる猫の如く集中していた。
「ちょ……っと!あんた!ど……何処みてんのよっ!」
今更腕で隠そうが意味ないんだよ……ふ。俺の脳裏に焼き付いたたわわな果実を重ねれば……あら不思議。
俺の妄想力ナメんなよ……
「小娘がぁぁぁッ!!……ぶべぁァッ!?」
「ナニヒラキナオッテンノヨォッ!!このヘンタイ!!」
ガハッ……まだだ。まだやれる……男にはやらなきゃ行けない時がある……いつだ?そう……!
「今でし……!?アベッ……!!!」
「イワセネェヨ……」
それから暫く俺は自身の信念に従い好戦したが、力及ばず敗北してしまう。激しい攻撃をわざと全力で体全体で受け止め傷だらけの俺は満身創痍だ。
目の前の聖樹ユグドラシルの実を手にする事が出来なかった……だが、悔いはない、激しい戦いの中でユグドラシルの雫を目にする事ができたのだから。
「ハァハァ……み、認めるわ……貴方のその精神力だけは……
何度打ち込んでも屈しない姿は……まるで不死の王を連想させられたわ……
おかげで汗だくになったじゃないの!?もうヤダァ……」
俺の亡骸は死してなお微笑んでいたと言う。
テッテレー♪
突然脳内に響いた効果音に戸惑ってしまった。な、なんだ今のは?てか、今の効果音ドッキリだろ!?
ユニークスキル【不屈の魂】を獲得しました。
不屈の魂だと……いや、それよりユニークスキルってなんだよ。まるでゲームみたいなんですけど?いやいや、その前に俺死んだんじゃ……あ。
これ……転生とか転移とかお決まりのヤツじゃ……
…………
……
「まったく……チュートリアル説明するのに何時間使わせるのよっ!はぁ〜……先にスキル取得するなんて聞いた事ないわよ……まあいいわ。説明するからちゃんと聞きなさいよね……」
俯きズタボロの体で正座する姿は、生気が感じられない。しかし彼女は気がついていない……ユニークスキル【不屈の魂】の恐ろしさを。
俯く男の表情は前髪で隠され見えない。ちょっと、やりすぎちゃったかな……生気の感じられない男を見下ろしながら、そんな事を考えていた。
ま、まあ変態にはこのぐらいしておかなきゃ何しでかすかわからないからね……それよりも、現状説明を兼ねてチュートリアルを始めなきゃいけないわね。
キュッと表情を引き締めた彼女は、腰に両手を据えて喋り始めた。前髪の奥に光る鋭い男の視線には当然気付くはずもなく……
福眼福眼!ウヒョ〜……不屈の魂によって?彼は最高の時間を満喫するのだった。ローアングル……け、けしからん……
…………
……
「……わかった。要するにやっぱり俺は死んだって事だな?で、ここは6つある世界を繋ぐ中央の世界になると……」
「そうよ、人間界、霊界、神界、魔界、獣界、精霊界を繋ぐ無界になるわね。」
説明は何となくわかったが、直ぐに信じろと言われても俺の脳では処理しきれない内容だった。
俺がいた世界は人間界。これは理解できるが、女性が言うには人間界以外にも5つの世界が存在しているらしい。人間界と変わらずそれぞれの世界に生活する者達が勿論いる。
霊界には人間の俺が知っている存在、簡単に言うと幽霊だろう。他にも神界には伝説で語り継がれている神が、魔界にはゲームなどに描かれるバケモノがいるらしい。
そして、その6つある世界を繋ぐ様に存在している無界……
ここは説明によれば世界としてはまだ未完成だと言う。
「未完成ってどう言う事だ……此処に俺がいる理由に繋がるのか?」
彼女は大きく頷くと話を続けて行くのだった。いや……堂々としてるけど、君ほぼ裸だからね。
俺の脳裏に刻まれて行くほぼ裸体の彼女。
さらなるローアングルを求めた俺は、数秒後意識を失う事になるのだった。
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