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最終話「これが僕の夢物語」

静寂に包まれた玄関で、僕は茫然と立ち尽くす。魔理沙は帰ってしまった。こんなあっさり終わりが来るなんて……。もっと魔理沙と思い出を作りたかった、あんなもんじゃ足りない……。そんなことを考えてると、思わず涙が出てきそうになる。


「……魔理沙、帰ってきてくれ……。」


静かにつぶやく。もしかしたら、あと少しここに立っていたらドアが開いて、魔理沙が帰ってくるのではないか、そんな気がする。でもそれは”そんな気がする”だけで、実際にそんなことは起きない。


「……ふふっ、いまさら何を言ってるんだ僕は。もう魔理沙とは、さよならしたじゃないか。それに、これで魔理沙たちは消えずに済んだんだ、これが魔理沙たちの幸せ。それが叶ったんだからいいじゃないか。」


まるで自分に言い聞かせるように、独り言をつぶやく。作り笑いで、強がって、無理やり自分の中の負の感情を、心の中に押し込める。そうしながら、ゆっくりとリビングに戻ってきた。……さっきので少し、元気になった気がする。でもそれはやっぱり”気がする”だけで、顔は作り笑顔だが、心はどんどん悲しみに蝕まれていっていた。そしてソファーに座ると、近くのテーブルに手紙が置いてあるのに気付いた。


「こんなのあったっけ?」


見るとそこには「翔兎へ」の文字があった。


「……魔理沙が、書いたのか?」


開けて中身を見ると、こう書いてあった。



「翔兎へ。直接言うのは気恥ずかしいから、手紙に書くぜ。まずはお礼からだな。短い間だったけど、いままで本当にありがとうな。買い物行ったり、プールに行ったり、遊園地行ったり、本当に楽しかったぜ。まぁこれは前にも言ったけど、最後だし改めて言わせてもらったぜ。……ここからが本題だ。私がこうして手紙を書いたのは、最後にお前に、私の本当の気持ちを知ってもらうためだ。ここから先を見ると心残りを与えてしまうかもしれないから、見るのやめるなら今のうちだぜ?」


一度手紙から目を離す。……何を言われるか、分かっているようで分かっていない。心の準備をして、再び手紙に目を向ける。


「それじゃ言うぜ?……私本当は……翔兎のことが好きだった……!最初は面白いやつだなと思っていただけだったんだが、お前が私を楽しませようとしてくれてることに気づいて、お前の優しさを知ってから、どんどんお前に惹かれていった。それから恋に落ちるのなんて、まさに一瞬だった。もう本当に、好きで好きでたまらなかった。だからお前にキスしようって言われたとき、すごく嬉しくて、すごく幸せで、でもちょっぴり切なくて……涙があふれた。もうその時に私の気持ちを伝えてしまおうとも思った、でもできなかった。お前に無駄な心残り残すのも嫌だから、このままずっと言わないでおこうとも思った。でもな、もう我慢できなかったんだ……。だから私も、お前と一緒だ。たとえ付き合うことが出来ないとしても、気持ちだけでも知ってもらおうと思った。だからこうして手紙を書いたんだ。悪いな、心残り作っちまって。だがもう、これで本当にお別れなんだ。この手紙は読み終わると消えてしまう。だから、最後にもう一度言うぞ……?私はあなたのことを愛しています。……これからもずっと……。じゃあな!」


涙が溢れた。魔理沙が僕のことをこんな風に思ってくれていたなんて、好きな人に愛してもらえることが、こんなにも嬉しくて、幸せなことだったなんて。手紙が綺麗な光となって消えていく。涙が頬を伝っていく。確かに、心残りは出来た。でも、不思議と気分は晴れやかだ。だって僕には、僕を愛してくれる人がいるから。涙を拭い空を見上げる。そして一人、静かにつぶやく……。


「また会えるといいね、魔理沙。」


そう言うと魔理沙が照れ笑いした、そんな気がした。


もうすぐ、夏休みが終わる。


翔兎は自分の幸せより、魔理沙の幸せを選びました。これで幻想郷は救われ、そして、今までの幸せな思い出も、二人の心の中に、永遠に残ることになりました。


It`s a Happy end

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