第3話「魔理沙とごはんと家族の物語」
「へぇー、ここがお前の家かー。結構広いじゃないか。」
「……どうもっす……。」
……おかしい。絶対におかしい。なんで魔理沙が僕の家にいるんだ。ただ家に入らせてくれならまだしも、いやそれだけでもおかしいけど、しばらくの間泊めてくれだって?一体どんな奇跡が起きたんだ。
「はぁ~、しばらく泊めてくれる家が見つかって安心したら、何か腹がすいたな~。」
おどろいてばっかで気づかなかったが、もうお昼の時間になっていた。
「じゃあ僕がなんか作るよ。簡単なものしか作れないけど。」
「お、じゃあ頼もうかな。つかお前料理できるんだな。」
「毎日ご飯は僕が作ってるからね。僕一人暮らしだし。」
「そういえば確かに私たちしかいないな。お母さんとかお父さんはどうしてるんだ。」
「……二人とも、つい最近死んじゃったんだ……。」
「え……?」
そう、僕の両親は死んでいる。つい最近のことだ。家族そろって買い物に行ったとき、歩いていると後ろから叫び声が聞こえた。何かが迫ってきたその瞬間、僕の両側から血しぶきが飛んできた。僕の両親の血だった。僕の両親は通り魔にやられたのだ。どうしようもないようなあほ面の男に殺されたのだ。なんで、あんな男に殺されなきゃいけなかったのか、それ以前に、なんで僕の両親が殺されなくちゃいけなかったのか、考えるだけでどうしようもない怒りにかられる。
「なんだその、悪かったな、変なこと聞いて……。」
「いや、大丈夫。」
「実は私も家出しててな。両親と喧嘩したんだ……。幻想郷では一人暮らしで、よく霊夢んとこ行って話し相手になってもらってるんだぜ。」
「なんで喧嘩したの?」
出来上がった料理を魔理沙さんの前において、僕は話を続けた。
「いや、ほんとにくだらないことなんだよ。」
「だったら仲直りした方がいいんじゃない?」
「いやなんか、タイミングを逃してな……お前料理上手いな。」
「まぁね」
「よし!じゃあ泊めてもらうお礼に、今日の夜ご飯は私が作ってやる!」
「魔理沙さん料理できるの?」
「私だって乙女だぜ?得意料理の一つや二つあるっての。」
「じゃあお願いしようかな。」
「おう!任せとけ!」
そして夜、魔理沙さんの作った料理を食べた僕は、数時間意識を失っていたという。