ティオ、帝国兵になる
申請以上の戦力を持ったコア持ちのハイシャドウが襲ってくるも、ティオの魔法による補助の成果もあって負傷者無しでクエストを終えた日中組は村へ帰還するのだった。
時間にして早く、日が真上に来る頃には村に到着した。
「おかえりなさい。どうでしたか?」
村の娘さんが問い掛けてくる
「魔晶石の2個破壊も終わり魔計石の反応も無くなりました。これで周辺の魔物はいなくなったと思います。」
カレンが下手な作り笑顔でそう答える
「よかった!これでまた安心して生活できるわ!」
村人たちも気丈にふるまっていたのか笑顔が戻ってくる、今までどことなく不安で作り笑顔ばかりだったようだ
寝ていた夜間組を起こし事の顛末を報告をする。
「ティオちゃんお手柄だな!それにしても飛び上がってからを確認してから氷の壁の生成か、とんでもない速さだな」
「ドヤァァ」
クリフに撫でられて満面の笑みでどや顔を披露する。それもよいだろう
皆に褒められて有頂天になっている。しかしそれだけのことをやってのけたのだ。
「今回のはMVPはティオちゃんだな、俺のほうからお小遣いを出そう」
「お小遣いとな!」
「おう、十人長の俺は少し報酬が多いからな、多い分をお小遣いとして渡そう」
「わーいなのじゃー!」
嬉しそうにくるくる回っている、やはりこの子には笑顔が似合う。
契約金のこともあり村の人達との挨拶も早々に撤退することになった。
「それでは私たちは引き揚げますね」
「ありがとうございました。暇な時は遊びに来てくださいな」
クリフと村長の挨拶も終わり。帝都に向けて進みだした。
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夕日になる前に帝都まで到着し。クエスト管理課へ向かう
「第八騎士団十人長クリフ・ライア、クエストから戻りました。」
「クエストお疲れ様でした。魔計石をお預かりします。」
魔計石を魔力測定器、魔測器にセットする
「これはなんじゃ?」
隊列の後ろにいる俺の更に後ろにいたはずのティオがいつのまにか受付の前にいる
「これは魔測器と言います。ここにおいてあるものは魔計石が最近記録した魔力の履歴を読み取って数値化するものですよ。」
「ほー石より便利じゃのぅ」
「比較的最近の魔法研究と錬金術により作られたもので、大きなものになると人の魔力を数値化するものもありますよ。」
「こら、受付の人の邪魔をしない、後でまた説明してあげるから」
「はーいなのじゃ」
てててーと後ろに戻ってくる
「これはランクⅢを1体、ランクⅡを5以上、ランクⅠを20以上相手にしてますね。申告より戦力がありますね。」
「村人の様子を見るに虚偽申告というわけでもなさそうでした。」
クリフが少し考え込みながら答える
「実は昨日から今日にかけての報告は全て申告より高戦力を相手にして帰ってきています。ですので中にはポーションで間に合わない負傷者も出ています」
「脅威の前兆でしょうか?遠征組が心配になりますね」
「そうですね...」
「脅威とはなんじゃ?」
ティオが背中からボソボソと聞いてくる
「昨日戦力のランクについて説明したろ?それのランクⅩにあたる魔物のこと脅威って呼ぶ」
「おっかないものじゃ...」
「それとは別の話になるのですがこの白魔法の異常な数値ってもしかしてなんですけれど」
「そう、この子のものだよ」
そう言ってクリフがティオに指をさす、こそこそ話していたティオははっとする
「この数値...今何もしてませんよね?それなのに白だけで魔力ランクⅣ相当を指してます...これは百人長でも数少ないレベルです。この歳で...」
話を聞いていた周りの全員が驚きを隠せずザワついている
「わ、私なにかしたかのぅ」
不安そうにティオがこそこそ話しかけてくる
「褒められてるんだよ、前魔法のランクと帝国の階級について説明したろ?それがその見た目、つまり15歳前後で百人長レベルの反応を示してるから皆驚いてるんだよ」
「ティオちゃんだったかな?本来帝国で前線に出られるのは16歳からなんだけど...」
「すまんのぅ、記憶が無くてな...」
「それなら16歳として正式に申請してみませんか?それならば今後も一緒にクエストへ行けますよ。」
「本当か!?」
「ええ、私と隊長とその方からの推薦として出しますよ、すぐに登録できると思います。」
「やるのじゃやるのじゃ!今日から16歳じゃ!」
どう見てもせいぜい15歳。
「ではそのように申請しておきますね、直ぐに返事が来ると思いますよ」
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クエスト報告も終わり報酬を受け取り、今日の残り時間は自由となりその場で解散となった。
「よう、お前エンチャント箇所増えてたろ?魔測器にいってみようぜ」
エディルが振り返って話しかけてくる
「そうじゃそうじゃ、人用の魔測器について教えてほしいのじゃ」
「じゃぁ測定所までいこうか」
クエスト管理課を離れて城内南中庭にむかって歩き出す
「魔計石みたいに配布はされておらんのか?」
「結構コストがかかる物らしく千人長以上じゃないと配布してもらえないんだよ。城の南側中庭に測定所があって百人長以下はそこで測定しているよ。」
「軍人以外は使えんのか?」
「城内南側がそもそも一般開放されてる場所で、国への手続き等で出入りされていて、測定所も一般開放されてる場所に有料で一般人でも使えるよ。もちろん軍人は無料で使える」
「太っ腹じゃな!」
「他にも帝国領内にある軍支部に同じように配置してあったりするよ。ギルドのほうにも販売してギルドハウスに何個か設置されてるけど、ものがものだからちょっと利用料がお高い」
「太っ腹じゃな!!」
さっきより強く言っておなかを叩く
「そういえばそろそろお前もアイテム士以外のクラスになってもいいんじゃないか?格闘士とか」
クリフが後ろから追いついてきてそう言ってきた。共に南へ歩きながら会話は続く。
「なんでも今回身体強化が三か所になったんだろう?ランクⅠの格闘士の最低基準は二か所にランクE強化だし十分戦えるだろう」
「クラスとはなんぞな?」
なんぞな?
「クラスとは戦闘における主武器と役割を指すものさ。かなり種類があるから詳細は割愛させてもらうぜ。
格闘はその名の通り体術をメインに戦闘をするクラスで身体強化魔法をある程度使いこなせるのが条件になる」
「それがさっき言ってた2か所にランクⅠなんじゃな?」
「そう、俺のような十人長の格闘士はランクⅢを2か所が最低条件になる、そこまでいくと全身に両手足にランクⅠを分散もできるからな」
「お?となるとランクⅠ強化を既に3か所使って戦えるということは...」
「皆が言うように賢い子だな、おめでとうリクシオ、一等兵だ、これで正式にアイテム士以外にもなれるし、そのまま上位の錬金術師を目指しても良い」
そう言ってクリフが昇格の証を手渡してくる、Ⅰと書いてあるバッヂだ
「あ、ありがとうございます!」
思わず笑顔になるがその場で礼をし、顔を上げて受け取る。
この帝国では強さの指標であるランクがそのまま位の高さを表す。現状エディルもランクⅠ、十人長のクリフ兄貴はランクⅢのバッヂをしている
「そしてティオちゃんはなんとこっちだ」
そう言ってティオにランクⅡと書いてあるバッヂを差し出す。
基本的に飛び級できるようなものではないが、現状確認できているティオの魔力と判断力を考えると妥当なところだ
「なんと!私にももうくれるのか!」
「そうだぞ~しかも二人よりもランクが上のいきなりⅡだぞ~、昨日団長からも申請があったそうだ。
報告の直ぐ後に魔法行使中は魔力が更に上がりⅤまで数値が示していた。だから特別の特別にいきなりⅡだ。
後は実践と知識を積む、思い出すことだな。」
「わーいわーい!」
耳と尻尾と白い魔力の羽を生やしてバッヂを手に飛び回っている。周りの視線が集まる、確かにウィングをここまで自在に操るのは珍しいからな...あ
「パンツ見えてるぞ」
「おっと...」
顔を赤くしてスカートを抑えながらゆっくり着地してきた。頭上の耳と尻尾が消え、代わりに人の耳がぽんっと出てきた。その耳まで赤くしてうつむいている。
「はっはっは!白かったな!」
クリフが面白そうに口に出す
「~!!」
また人の耳が消えて頭上に耳とお尻に尻尾が生えてくる、毛が逆立っていて明らかに怒っている。
フワっとクリフが2mほど浮かされ、そのままうつ伏せにし地面に叩きつける、痛そう。
「今のは兄貴が悪いわ」
「わかる」
「ふんっ、痛そうじゃのう」
「わかる」
冷静になって考えると魔法を行使して動物の耳が生えてきてる間は人の耳が消えて、終わると耳が戻るのか...
ティオは叩きつけられたクリフを置いて南へ向かって大きく手を振り歩き出す
「今のはクリフ隊長が悪いです。」
「わかる」
大の字に寝たままのクリフを置いて計測所へ向かう。微妙に笑ってるのが分かる




