シャドウ討滅「弾丸とボス」
日中、夜間と周囲の魔物を片付けつつ魔計石の反応を北に絞った小隊、翌日の日中でケリをつけると意気込むのであった
【???】
「うん?こいつはランクⅦくらいか?ここでも少し珍しいな」
白髪の男性が座りながらそう告げる、対峙するは一般的に巨人といえる10m級のハイシャドウ。
「うん?どれも変わらんじゃろうて」
紫色の長い髪をした女性が寝そべりながらそう告げる
次の瞬間大型のシャドウへ向けてオレンジ色の透明な剣が複数飛び切り刻む、続いての大爆発で木っ端微塵となり魔晶石が出てくる
「それもそうかー」
白髪の男性がそう告げ、一瞬のうちに魔晶石まで間合いを詰め、透明な白い剣で切り裂く
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「もう方角は定まってるから固まって移動、魔晶石を確認次第破壊で今回のクエストは終わりだ」
「そうね、手早く終わらせて帰りましょう。アイテムは持った?」
「隊長許可が下りたので残りアイテムのほとんどを持っていきます。」
ポーション15、マナポーション15、下級包帯7、上級包帯3、弾丸90、白弾丸20、爆裂岩3。これが今回のクエストの所持上限だ
「あ、アイテムの半分と姉さんの弾薬は僕が持ちますね」
宿を出てすぐの場所に置いておいたアイテム箱を仕分けしてる途中で後ろからグレンが話しかけてくる。
グレンはカレンの弟で同じく銃撃士を目指している。その腰には護身用ハンドガンが下げられている。
「おーそれじゃぁ頼むよ、その方がいい。それにしてもティオの奴はどこにいった?」
出会ってから3日目だが一度も側を離れたことのないティオが見当たらず心配になる。
「お主よー!」
宿のほうから声が聞こえるがまだ姿が見えな...
バタン!と木で出来たドアが壊れそうな勢いで開けられる。そこには見事な水色リボンのふわふわのツインテールになったティオがいて。ウイングで飛びついてきた。
魔法を行使していることもあって耳と尻尾が生えてきている。すごく尻尾を振っている
服装も変わっており白の服に水色の大きいリボンの装飾のある、短めの黒いスカートに膝上まである黒ソックスを履いており太ももが少し顔を出している。黒のブーツに水色のリボンが装飾されている。白と水色を基調によく似合ってる。よく考えれば今の今までティオは裸足で主に飛んでいたのかもしれない。
「どうじゃこの格好!今しがた団長達がまた来てのぅ!つくろってもらったんじゃ!」
宿のほうへ目をやると団長が消えていくのが見えた、昨日きたのは採寸の為か...
目線を手前に戻すと既に地面に着地してくるくる回っている。
少しひんやりした気候だが本人は大丈夫そうだ。
「よく似合ってるじゃないか、可愛いな」
「えへへー♪」
素直に褒められたのが恥ずかしいようで手を後ろに組みモジモジしている
「こ、この沢山同じのセットになってあるやつは何なのじゃ?」
ひょいとアイテム箱の中に指を指す
これは弾薬、赤色の魔力がこの尖ってる金属の後ろ側に詰まってて、何かしらのマナを加えることで爆破しその勢いで金属を飛ばすためのものだよ。」
「うわぁ〜痛そうじゃのぅ...」
ひええと言わんばかりの表情で体を強張らせてる。
確かに言葉にすると剣や魔法よりも痛そうに聞こえる不思議。
「赤のマナにさえ干渉できれば基本的には誰でも使えますよ。ただこのような筒状になってる魔動器、銃を使って狙いを定めるので、間違って撃ったりしないかとか、狙った対象に当たらない等ありますね。」
グレンがそう言いながらハンドガンを見せる
「あっちの大きいのと同じものかえ?」
カレンの方へ指をさす、正確にはカレンが背負っているものに。
カレンがこちらに気がついて少し硬い笑顔で小さく手を振ってくれている。
それに対し満面の笑みで手を大きく振り返すティオ。
「あれはライフルと言って一発が強力な銃です。この一般的なハンドガンとの違いは、大きく、遠距離への威力を落とさず精密射撃がしやすいところにあります。ハンドガンと同じところは弾丸に属性が付与できる点です。」
「属性が付与できるということは、身体強化やエンチャントと同じ効果を遠距離に反映できるということじゃな?」
「その通りです。赤込めれば加熱し貫通力か増し、青を込めれば冷却し対象を鈍らせ、緑を込めると爆風を起こし、白と青を込めて空中で爆発させれば回復効果を、黒を込めると各追加色に応じて弱体化がかかるようになります。」
「白だけは難しそうじゃのぅ、要は回復させたい対象の近くで爆発するよう干渉し、かつ狙わないといけないということになるのぅ」
「そうですね、白は回復させたい対象の上あたりで爆発するように調整されるのが一般的ですし、白魔法が使える時点でまず十人長クラスです。」
目の前で解説役を取られて少しモヤモヤしている自分がいるのが分かる。
「ん?どうしたお主よ怖い顔をして」
ティオに気づかれ控えめに問いかけてくる
「いや、なんでも無いさ。この白い弾丸が今説明してもらった白魔法の弾丸と同じ効果があって、白魔法を使えなくとも対象に当てるだけで回復してくれる。」
「便利な世の中じゃのぅ」
ティオが目を瞑って腕を組みふんふんと頷く、これもクセだろうか
それを見て俺とグレンは顔を合わせ肩をすくめる
「白魔法についてこんなに身近に便利になったのはつい最近のことですよ。ある人が全面協力し...て...あれ、どなたでしたっけ」
「座学で学んだだろ...あれ...誰だ?」
名前が思い出せない、学んだ気がするがそもそもそんな人がいたかも怪しい。
最近は魔導の研究もかなり進んでいる為そんな人がいてもおかしくはないだろう。
「ま、そんな研究者と協力者、開発者がいたのさ。大分長くなったし今回の勉強会はここまでだ。そろそろ出発するだろう。」
手をぱんっと叩き終わりの合図をする
はーいという言うグレンの声と、はーいなのじゃと言うティオの声が聞こえる。
「勉強会は済みましたか?そろそろ行きますよ。」
どうやら待たせていたようだ
今回の日中組のリーダーは後方支援、攻撃、指示に学のあるカレンさんだ。
「コアになってたら少し面倒だからおっこちてて欲しいなぁ」
合流に向かうとエディルがそう呟いているのが聞こえた。
「でもコアになってたら戦闘経験になるだろ、あるように対処していこう。」
左肩を小突いて隊列へ向かうよう促す。
一等兵4名二等兵2名とティオの編成になる
全方位に大剣一等兵2名その後にカレンさん、次にアイテム班、ティオ、その斜め後ろからエディルともう1人の片手剣一等兵の隊列になった。
村人達の見送りを背に魔晶石探しへ北の森へ踏み出した。
...............
少し歩くと早速シャドウがいた、単体だ。
すかさずカレンさんが弾丸を胴体に打ち込む、シャドウの胴体に大きな風穴が空いて消滅していった。
見た限り今のは緑魔法を込めた弾丸だろう。
カレンさんはリロードし少し構えたまま隊列は奥へ進む。
魔動機にはわざと発砲音が大きくなるロアーと呼ばれる物が装着されており、付近の魔物を呼び寄せ、動物を遠ざける効果がある。
早速ウルフが前方から飛び出してきた。これを一等兵の先輩の片方がガードしわざと剣に噛みつかせ体制を崩し、横からもう1人が切り裂く、俺たちもよくやるが堅実で合理的な手段だ。
と考えていると右からもウルフが飛び出してきた。右後ろで待機していたエディルがそのまま斬りかかるが少し浅い。
即座に頭から真っ直ぐカレンさんが打ち抜き、こちらも塵となっていく。
「おおー凄いのう!熟練の手さばきというやつじゃ」
俺とグレンの間を飛んでいるティオがうんうんと頷いている。
がこれでも帝国内では最低戦力であり、ヘレンさんと団長を除きそこまで実践経験があるとは言えない。
ここで右から出てきたので進行方向を北北東へ軌道修正する。
ここまでくると人の出入りが無いためか草の背が高くなってきている。こうなると魔晶石が落ちてると見つけづらくなる為魔計石に頼るしかない。
魔計石は常に強い白い光と薄い虹色を放ち、それでいて北北東へ向いてる部分が少し薄暗い、魔物がまだいる証拠でもあり方角が合っている証拠でもある。
そのまま無言で突き進んで行く、油断が怪我や命取りにもなる為自然と警戒する。
が、予想を上回る呆気なさを覚えた、ポツンと魔晶石が落ちていたのだ。
「あ、ありましたね。さっさと破壊して帰りましょう。」
カレンさんが弾丸を白に入れ替え魔晶石を撃ち抜く。基本的に魔晶石には白魔法をぶつけないと壊し切ることができない為だ。
次の瞬間背後からハイシャドウが飛び出してきた。サイズを見るに2〜3体が合体した程度だろう。
が手元の魔計を見ると北北東にも薄暗いもやがかかっているままだ。
ハイシャドウ相手なので少し気を引き締める、まずはエディルがガードに入り。もう1人の後方担当兵が斬りつける、がハイシャドウは真上に飛びそれを避ける。
すかさずカレンさんが浮いたところを風属性で撃ち抜く、が貫通しなかった。
先頭にいた2人も後方へフォローへ駆け出した瞬間、北北東の方向から今対峙しているハイシャドウより3回りも大きいハイシャドウが襲いかかってきた!
明らかに見たことがないくらいデカイ、この森の木の高さは平均的だが、ギリギリ木の葉から頭が出ない程度までサイズがある。恐らくは2m半...巨体であるクリフより一回り大きい。ランクⅢ相当かもしれない。
明らかに一番弱そうなティオを狙った奇襲だ。
「っ聞いてないですよ!」
言うや否や一歩前に出て防御体制を取る、既に前方担当2人が後方処理へ走り出していた為できることはそれしかない。
両腕を上に構えると同時に重たい衝撃が体にのしかかる。
「団長の一撃に比べれば大したことないなっ!」
沈むようにワンクッション置き攻撃してきた腕を跳ね上げる。
少し止まっていたがグレンが俺とランクⅢ相当に距離が出来たのを確認し爆裂岩を投げつける
前方のハイシャドウにぶつかると同時に爆発する。胴体の胸あたりにぽっかりと穴ができる。中心部に魔晶石が見える。
「前方目測ランクⅢ相当のメガシャドウ!魔晶石持ちです!」
端的に情報を伝えて再度防御に専念する。アイテムはグレンのほうが少し多めに持っている。後方部隊が片付くまでの時間稼ぎをする必要がある
「後方のハイシャドウの即時排除に専念します。それまでの耐久、できますね?」
銃声と共にカレンの声が聞こえる
「勿論です。団長に比べればどうということはありません。」
第八騎士団は防御に強い部隊として主に訓練されている、これは生き残ることに専念してほしい団長からの思考である。
「爆裂岩で体制を崩しているところにもう一個爆裂岩を投げ込む、がコアが硬くあまり削れない。
「足を!」
グレンにそう伝え最後の爆裂岩を足に向かって投げてもらう。
もちろん体制を崩し、時間を稼ぎ、かつ次の攻撃へ繋ぐ為である。
飛んで避けられた!そもそもなんでかわす知恵があるんだよと悪態をつきたくなる。
と思ったら次の瞬間何かに頭をぶつけたかのように落ちてきた。
よく見ると上空すぐの高さに氷の天井が出来ている。結果的に落ちてきたハイシャドウの左足先に爆裂岩が当たりうつ伏せになると共に足を片方持っていくことが出来た。
後ろを見るとティオが片手を上空に挙げていた。これは空気中の水分に青魔法で干渉しかき集め氷の天井を作ったということでよろしいだろうか。
「ドヤァァ」
口に出してまで今までにないくらいのドヤ顔を見せつけてきた。どんな余裕だ
後ろを見て分かったことだが後方のハイシャドウは処理済みのようで、前方へ向かって駆け出していた。
前を向くとハイシャドウが起き上がり始めていた。
が、よく見ると爆裂岩で作ったコアへの空洞は氷で埋まっている。
両手を使い起き上がり始めていたハイシャドウ
「そのままコアを打つのじゃ!」
カレンはこの声に従い即座に白弾丸をリロードし氷ごとコアに向かって白弾丸を打ち込んだ。
パリンパリンという気持ち良い音を立て弾は氷を難なく貫通し、速度を落とさないままガキっという固い音と共にコアに直撃した。
同時に後方応援に向かっていた2人が前に駆けつけてくると同時にそれぞれ腕を切り離す。
それを確認したカレンはそのまま4発コアに打ち込み、見事コアは消滅し、残った不安定なハイシャドウは大剣を振り下ろした状態の2人にクロスに切り上げられる形になり、残りの大きい部位がシャドウ化しないようにカレンが打ち抜き、塵となっていった。
「氷の塊を弾が貫通した...? これは...」
「そう!あれは氷の塊に見えた氷の膜じゃ!修復を妨げる壁としてかつそのまま攻撃できるように作ったのじゃ!」
ティオがこれでもかといわんばかりに踏ん反り返っている。
そんなティオに俺は抱きつきこれでもかといわんばかりに頭を撫でる
「よくやったぞ!大手柄だ!」
「や、やめるのじゃ〜皆の前じゃて〜」
口ではそう言うが離れる様子は無い。事実上の初戦でサポーターとして最高の功績をした。
結果的に負傷者を無くし、攻撃の隙をつくり、トドメのサポートまでこなした。
「詳しい事は戻ってから報告し合いましょう。この場は取り敢えずお疲れ様でした。」
そう言いカレン一等兵が魔計石を見せてくる。黒い影りは無くなっており白く輝いている。
任務達成だが帰るまでがクエストだ。




