シャドウ討滅「初めての戦闘」
主人公は不穏な朝を迎えながらも、ビーストマンという種族と最弱級の魔物についての説明をティオに行った。
彼女にとって初めてのクエスト受注を受けた主人公達は早速対象の村へ向かうことになった。
城内中央西寄りに設置されているテレポーターから順次帝都西側へテレポートする。
西関門を出る手続きを済ませる。最寄りの村ともあり往復は徒歩になる、乗り物の支給が無いのは非常に残念。
大きな整備された道は今日も今日とて人通りが多く、昨日通過した南門に劣らない通行量である。
ここの担当になると戦闘はなくて良いが大変そうだ...
現在の各門の担当は第四騎士団が担っている。
2列のまま黙々と門を出て大通りの右側を進み、そのまま大型馬車一台が通れるほどの道へ進んで行く。
帝都内を城から門まで歩くよりも近い距離に村はある。
最寄りの村へ向かう途中も安心はできない
歩道は整備されてはいるがいつどこから魔物が出現してもおかしくない世界なのである
帝都等内に魔物が滅多に出現しないのは人が多いほど出現しにくくなる...らしい
正式な研究書物を目にしてみたいところだ。
「なーなーお主よー道中はいつもこんなに暇なのかえ?」
ティオが我慢ならず話しかけてくる
「いつ魔物が飛び出してきてもおかしくないからね、それにこんなこというのもなんだけど俺ら...アイテム班はそこまで強いメンバーではないから...」
最弱の魔物であるシャドウを3体相手にするのがいいところだろう、少し強い動物や武器を持った魔物に絡まれたら逃げるしかない。
いつになったら強くなれるのだろう、そう思いながら道を歩いてゆく
村が近づいてきた。
「止まれ」
十人長クリフの合図で一斉に足を停め陣形を取る
魔計石が一部黒を示している、魔物か闇魔法を使えるものが近くにいる証だ。
クリフもガントレットを装備し各々武器を構えた。
突如ウルフがリクシオの後ろから飛び出してきた。
一番側にいたエディルが剣で庇う
牙と刃の擦れる音がする。
その時陣形の反対からウルフとシャドウの混成が複数飛び込んできた。
エディルの剣に噛みついてる横からリクシオがウルフの顎を殴りあげる
ウルフの下あごが取れ消滅していった。
今度は前に出てるリクシオがガントレットを縦に並べそのまま盾になる
爪と金属が擦れる音がする
金属をこすり不安定な着地を取ったウルフに対して、リクシオは体を屈めガントレットで頭を叩き抑え、背と背を合わせ入れ替わるようにエディルが胴体に剣を突き立てる。
これでこちらは決着がついただろうと前線に目をやる
前線は既に決着がついており消えていく影が10ほど見える既に消えた物も数えると恐らく13は相手にしていただろう、負傷者も無し。
こちらが2体1で相手をしている間に片付けたというのだ。流石戦闘班
ティオにとっては初めての戦闘になったことだろう。
「凄いのじゃ!二人とも息がぴったりじゃったのぅ!」
これでもエディルとは二人で何度も訓練をしている、一番息の合う相手と言っても過言ではない
「ティオちゃんこっちも見てた~?あっという間に片付けちゃったよ~?」
「こっちも凄かったのう!誰もケガすることなくあっという間じゃった!」
ティオが低空飛行をしながらクリフに頭を撫でられている。
「ふむ、この様子では村には少しでも早く着かねばな、要請があったことじゃ、まだ数がおるじゃろうて」
アイテム班かつ戦えないと自称しているリクシオが帝国の最下位に位置する
一般人がどれだけ魔物相手に手も足も出ないかが賢いティオには伝わったようだ。
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村に着く直前にティオは飛行をやめた。
その時団員は初めて耳と尻尾がなくなるのを見た
「あれ?ティオちゃんはビーストマンじゃなかったんだ?」
「ビーストマンとな?私は...私は?」
「そういえば記憶喪失なんだったな、ゴメンよ。けれど耳と尻尾が消えるなんて初めて見たぜ」
クリフ含め他の団員も初めての現象に驚いている様子せっかくだから確かめてみよう。
「ティオ、その蝋燭の火に向かって人差し指を向けて、火を受け取るように離れてみてくれ」
「うむ」
ティオは俺の説明通りにやって見せようとした。
火を受け取る瞬間に耳と尻尾が生えてきた。
「どうやらマナを操作する際に耳と尻尾が生えるようです。ビーストマンとヒューマンのヒュマ寄りのクォーターかもしれません」
「クォーターやハーフってこんな風になるものなのか?てっきり耳と尻尾は常にあるものだと思ってたぜ」
「もしくはビーストマンの血を引いてる『先祖返り』の可能性もあります。膨大な魔力からしてその線も無しとは言えません。」
「先祖返りと言えばこれまた伝説級の話になったもんだ」
「まぁ可愛いからいいんじゃないですかね」
せっかくの憶測をエディルのその一言に他の団員も声を上げる
当の本人は「えへへーありがとうなのじゃー」とアイドル気分だ
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村に着いたリクシオ達は歓迎を受ける
黒の魔計石の反応を頼りにしている村の見張りから、既に数体魔物を討伐しているところを目にしていたようだ。
軍には一小隊に1つ支給されている全属性感応タイプの魔計石は割と高いので、一般的には魔物と黒魔法に反応する黒のみの魔計石を所持されている。
約15の魔物をものの数秒で全滅させた11人を前に村人達は興奮収まらぬ様子だ。
「帝国に一番安い値段で依頼をさせてもらったのにこんな強い人たちが来てくれるなんて!」
「ありがとうございます。いつ襲われるか分からず作物の世話に行くに行けなかったのです」
「手厚い歓迎ありがたいのですがどうぞ普段と同じように生活してください。周辺警戒は私たちと村の見張り役で行いますので」
「しかしもうお昼時ですぞ。まだお昼は口にしていないでしょう。どうぞ食べて行ってください」
「わぁ!ごちそうだぞ!お主よ!たくさんあるぞ!」
「なんとこんな小さな子まで帝国軍人なのですか?」
「彼女はこう見えて飛行魔法と回復魔法を使える白魔法のエキスパートです。」
と言って対人用小型の魔計石を彼女に近づけると強い白い光と淡い虹の光を見せる。
「おお...こんな強い光は見たこともない...そのうえ飛行魔法ですか...世界でも希少と言われる...」
「おかげで対魔物用に持ってきているはずのこの魔計石まで基本的には白く光ってしまっているのが難点です。逆に少しでも黒が混ざれば魔物が付近にいると考えてよいでしょう」
クリフは淡々と彼女紹介しながら警戒の仕方を説明する。
「これ食べてよいのか!?」
「いつもはおとなしいんだから空気読んで!」
「問題は夜の警戒ですね。夜になると奴らは知っての通り融合してしまう場合がありそうなると特に危険です。今後しばらくは私たちに夜間の警戒はお任せください」
クリフが丁寧に続けた。
それにしてもこの食への関心と言い記憶を失う前は相当食いしん坊...いや、今でも十分食いしん坊だ。
昨晩の食い散らかしが脳裏に浮かぶ。
クリフと村長が丁寧に会話を続ける中
他の村民と団員たちはそれぞれ打ち解け合いティオを先頭にお昼ご飯を頂いていた。
もちろん後で勝手に食べ始めたことをクリフに怒られることになるのは言うまでもない。




