衝撃
【???】
「ヴァ....」
「こいつぁ...厄介なのお出ましだ」
「む、知性を失ったか」
「そうか...もう会わせられないな」
「アーク、気を引き締めるのじゃぞ。前回の比ではない」
アーク「知楽が本体持ってこれたら楽だろな」
知楽「なかなか無茶を言う」
姿が消える、と同時にアークと鍔迫り合いになる人型の魔物。お互いの体から魔力があふれ出す
アーク「これ俺より強いんじゃないのか」
知楽「お主が倒せなかったらどうしようもなかろうて。気張れ」
アーク「サポートしてくれよ」
知楽「わしも気を引き締めるかのぅ...」
鍔迫り合っていたが押されていくアーク。両手持ちから左手に持ち替え右側へ受け流し、右手で新たな剣を作り出し切りかかる。それを魔物は屈んでかわす。
かわした姿勢からがら空きになったアークの背中に切り上げていく。
切り上げはじめの勢いが乗る前に背後に剣を数本作り出す。がもともと押し負けしていたほどの力、生成した剣が次々に砕かれ背中に刃が迫っていく。
背中に刃があたる。しかしそこには背中を交差するように白く透明な鞘が2本攻撃を凌いでいた。
足元に剣を生成して背面で受けたまま魔物ごと背後へ跳躍する
両手の剣を手放し、左手で背中の剣を引き抜き、体を左回転に捩じって魔物の剣を受け流して再度攻撃に転ずる
魔物は迫りくる刃を受け流された勢いをそのままに体を右回転させ右足で上に蹴り上げ、剣の峰で鎧をぶったたかれ吹き飛ばされる
姿勢を立て直し、剣を交差させ空中で静止する
アーク「いっつつ、1と2の剣よろしく」
知楽「あいわかった」
またも姿を消す魔物、瞬時に距離の近かった知楽に切りかかっていた
それをアークの1の剣と2の剣で防ぐ知楽
知楽「うーん早い、攻撃も変則的。元が強いだけあるのぅ」
【帝国第三騎士団執務室】
無言でページをめくっていく、そして最後のページに一枚。ページとしてではなく一枚の紙が挟まっていた。その時
ティオ「おっと、なんじゃ地震か?」
エル「む、一瞬大きく揺れたな。珍しい。さて、その一枚はリクシオの覚悟を待ってめくってくれ」
振り向くティオに無言で頷く。ゆっくりとティオがめくる
ティオ「なっ」
リクシオ「これは...もしかして」
そこには男女と幼い二人の男の子が写っていた
エリエル「リクシオ、幼い頃の貴方よ」
リクシオ「二人...?...もしかしなくても、ここに挟んであるということは...」
エル「リクシオ。お前はそのとある魔物が侵略してきている場所から両親と共に出てきたんだ。だからアーク騎士団長の戦闘を知っている」
エリエル「これは団長権限を持つものか、団長による命令でしか持ち出すことのできない情報。魔物の資料は団長以上、団内、一般で3種類あるの」
リクシオ「だからこんな見覚えのない表紙を...」
エル「団長以上の中ではお前は特異な存在として見られている。今この星で知られている情報以上の何かを握る存在として...そしてお前は今急成長を遂げている」
リクシオ「ま、まってください。このもう一人の男の子は...?」
エル「覚えてないだろうがお前の兄弟、弟らしい。今は行方不明になっている」
エリエル「弟君の捜索は千人長クラス以上の機密事項として行われているわ」
リクシオ「らしいというのは?」
エル「アーク騎士団長によると両親が良く教えてくれなかったようだ。名前は呼んでいた、マコトという、恐らく男の子だろう」
ティオ「じゃがどうして弟が行方不明に...?」
エル「ふむ、順を追って話していこう。まずアーク騎士団長のいる場所。その場所はここではない別の場所に繋がっている。通称ポータル。
詳しく言うと、繋がった真っ黒な世界の先から更に各方向へ別の場所へ移動できる場所とされている。
ポータルへの進行は何度か団長格だけで行ったことがあるが魔物の強さと数が段違いだ。別の出口もいまだ見つかってない
そんな中リクシオ、お前の両親はそこにたどり着いた。元の星から逃げてきたと」
リクシオ「元の星?逃げてきただなんてそれまたどうして...」
エル「まぁ待て、順にと言っただろう。正直なところ逃げてきた理由は話してはもらえなかったようだ。
その場にいたのはアーク騎士団長と帝王アイン様だけだからこの先の話も伝聞になるぞ。
逃げてきた際に両親はかなりの深手を負っていたそうだ、それでもお前たちを守りつつ二人とも魔物と戦いながら出てきた。相当な手練れだな。
出てきた時にかなりの数の魔物を引き連れていた。そこで若きアーク騎士団長と帝王アイン様がご両親と共闘し魔物を駆逐していっていたのだが...
魔物の数と一体一体の強さが深部から引き連れてきた分更に段違いだったらしい。中にはランクⅩ相当も記録されていた。
ティオ「ランクⅩとはどれくらいなのじゃ?」
エリエル「今のアーク騎士団長相当。星に一人二人、ランクⅩ相当の戦力を確認できるかどうかのレベルよ。一人で国を圧倒できるわ」
リクシオ「そんな魔物がいるのか...それを父さんと母さんが...」
エル「その戦闘は俺たちが想像しているよりも遥かに壮絶だろう。
恐らくだがそんな戦いを幼い頃に目撃している分リクシオ、お前は大抵の戦闘にことおいては冷静に対処できるはずだ。
その場所は外に強力な魔物が出ないよう、各国と協力して作り出したこの星最大のコアが置かれていて、それを帝国が管理している。
ここまでで察しがついているかもしれないがコアこそがポータルだ。魔物があふれ出す元凶と言ってもいい。
そんな戦闘が繰り広げられていたにも関わらず弟君は産後間もない。母君がテレポートで外へ連れ出したんだ」
リクシオ「それで行方不明に...つまり母さんも...?」
エル「ああ、この星のどこかに行方不明になっている」
リクシオ「父さんはどうなったんですか?」
エル「魔物を引き連れてまたポータルへ戻っていったそうだ、お前と弟君、そして母君を俺たちに任せて」
リクシオ「そう...ですか...」
エル「お前とその家族、特に母親はポータルの先の世界を知る最重要人物として捜索をしている
そこでだ、今度の大会の成績次第で数人の仲間を率いて両親の捜索に移ってほしい。
ティオの実力は外を一人で歩いていくのにも十分だ、お前の成長も実に目を見張るものがある」
リクシオ「とするとティオを加えた所属小隊で向かいたいのですがよろしいでしょうか」
エル「帝国騎士団なら小隊で大会に挑む者が多いだろう、そこで実力を示してくれ」
リクシオ「まぁそうですよね...もし好成績でなければ...?」
エル「その時は別の策をとるさ」
エリエル「今のリクならいいところまでいけるわよ!クリフ小隊も特定のメンバーなら連携とれる人で集まってることだし!」
リクシオ「ところで普通に戦うともちろん負傷者が出ることになると思うのですが。
何かしら対策があるのですか?」
エル「うむ、いい着眼点だ。実は此度の大会は新技術の試運転でもあるんだ。
白魔法の錬金術で開発した魔装イージスギア。
使用者の魔力を鎧として身に纏い、実害を防ぐことができる」
イル「はい!これが最新の試作品!」
リクシオ「首輪ですか、確かに体内で最も魔力に影響する部位ですね」
ティオ「そうなのか?」
"リクシオ「最も魔力が集まるのは心臓なのは分かると思うけど。
発現するには首を介して脳へ伝ってから各部位に発現する、だから首が最も魔力が厚いところ」"
イル「はい!ティオちゃんの分もあるよ」
首に装備してみる、特に異常はない
エル「何度も動作確認はしてるけどもまだ試作品であることには変わりない。
そして魔力を基にしてるからもちろん使い切るようなことがあれば気を失うことになる。
それでも痛みや身体の欠如に比べれば安いもんだ」
イル「その首の右側にあるスイッチを入れたら起動するよ。
ただ起動中は常に魔力を放出することになるから気を付けてね」
早速カチっと
体を魔力が包み自分でも確認できる
隣にいるティオは魔力が放出されているからか耳としっぽが生えてきた
イル「あ!本当に魔力を使うと耳としっぽが生えてくるのね!」
リクシオ「おお、これは凄い」
イル「えい!」
リクシオ「え」
後ろからイルの片手剣でサっと深く切られる
リクシオ「お、なんとも...無くはないな。急に疲労感が」
エル「そらそうだ、体の魔力をそのままぶった切られたからな」
リクシオ「なるほど...」
ティオ「これもしかしてなんじゃが首輪から魔力供給しやすくなっとるのか?」
エリエル「凄いわね、そんなことまでわかっちゃうのねぇ」
エル「マナのエキスパートだなティオちゃんは。
その通りだ。もし魔力切れや不足になってもこの首輪を通すことで通常よりも遥かに魔力供給がしやすくなってる」
ティオ「ふーなんだか一度に大量の情報を得たのぅ」
エリエル「そうね、要件は終わったしこのあたりでお開きにしましょうか」
エル「分かっていると思うがここでの話は他言厳禁だ。その試作品ももちろん回収させてもらうぞ」
ティオ「なーんじゃくれるんじゃないのか...」
耳まで垂らししょんぼりしたティオがしぶしぶと首輪を外す
イル「はいはい回収回収~」
エル「ほらほら話は終わりだ、帰った帰った。これでも他にも仕事があるんだ」
ティオ「なんじゃそそっかしいのぅ」
イル千人長に背を押され、押し出される俺とティオ
ティオ「深刻ではないとはなんじゃったのか」
リクシオ「それ俺のセリフ」
ティオが正面にしゃがみのぞき込んでくる
ティオ「それにしてもお主も大変じゃの」
リクシオ「お前もな」
ティオ「?」
首をかしげるティオ
ズン
ティオ「なんじゃまた地震か?」
【???】
人型の魔物と攻防を続けるアークと知楽。
いくつもの剣で魔物を切りつけていくアークに対し、知楽はただでさえ目で追えない速度にある飛び掛かる剣の軌跡上から外れた位置に
超高圧縮された空気の爆弾を魔物に投げつける
知楽「もっとスピード上げんか。相手の対応速度に追いついておらんぞ」
アーク「なかなか無茶を言う」
知楽は当たった空気圧の爆弾で相手の体制を妨害しながら攻撃を続ける。
常に空間の中で爆発が生じており、剣を交え飛び交う二人に衝撃が襲い掛かる
アーク「俺の障壁もうちょっと強くできない!?」
知楽「これ以上威力を削いだらこやつにとってはそよ風になるぞ」
アーク「なかなかいいフレンドリーファイアじゃないか!」
アーク自身の魔力障壁の内側に白い障壁があり、知楽によるこの障壁のおかげで衝撃はかなり緩和されている
実際対面している魔物は爆発に当たる度に剣はブレ、防御は弾かれ、体制を崩し、鈍い音を鳴らしながら魔物の鎧を砕いており
それと同時にポータルから湧いて出てくる低級の魔物は、爆発と飛び交う剣で木っ端微塵になっている。
しかし砕けた端からどんどん再生し直接的なダメージには至っていない。
知楽「再生しながらこの猛攻とはどこまで魔力があるのやら...おっと」
知楽のいた空中を攻防を続ける二人が通り抜ける
知楽「こっちくんな」
アーク「なかなか無茶を言う!...グッ!」
軽口を叩いた瞬間に魔物からの一撃がアークに通る
なんとか複数ある剣の一つで太刀筋を防ぎ、魔力の鎧で衝撃を緩和したもののその衝撃は重い
が、当たった剣の形状が変化し大きな鎌となりアークを捕まえ
空中で横になっていた二人、魔物が体を一回転させ地面に向かって投げつける
勢いを静止しようと剣を横に並べるがそれを突き破り地面に向かっていく
そこを知楽の空気圧の壁で勢いを受け止める
アーク「ナイ...」
知楽「馬鹿者!!」
上に目をやった瞬間は既に遅く、回転を加え勢いの増した大鎌の刃が首に迫る
それを知楽の爆発で軌道をずらす
しかし勢いの増した鎌は体から逸れることはなく。腹部を貫いた
アーク「がっ...」
刃に捕まったアークは再度地面に向かって投げられ、衝突する。
バウンドしたアークに対して更に追撃を加えようと迫る魔物
ズシンと剣が突き立つ
突き刺さった剣の先にアークの姿は無く
少し離れた場所で知楽の肩を借りている
アーク「死ぬかと思った」
知楽「軽口叩ける間は平気じゃろう」
「ヴヴ...」
アーク「な、いつのまにもう一人!」
知楽「第一惑星の英雄二人か...」
アーク「ケテル...」
黒い光を纏い同時に姿を消す二体
知楽「外に抜けおった!」
アーク「力押しされていた時点でまずいと思っていたが...まさかこの星最大と思われるここの障壁を抜け出るとは...俺含めて歴代で死ぬほど魔力を注ぎ込んだってのに」
知楽「わしの魔力がほとんどじゃろうが。戯言はそこまでじゃ、はよいってこんかい。ここは任せるのじゃ」




