リクシオVSエリエル
前回のあらすじ
ティオちゃんとエミちゃんがきゃっきゃうふふしてた
【帝国寮999号室】
「団長と手合わせがしたい?」
「のじゃ!」
「まだ実戦経験も少なく、白魔導士であるティオちゃんに一人で団長と挑ませるのはどうかと思いまして...」
「なるほど...俺も最近手合わせしてないしちょっと相談してみようか」
【帝国場内第八騎士団執務室】
コンコンッ「リクシオとティオです」
「どうぞー」
扉の奥から柔らかさとどこか色っぽい声が返ってくる、もちろんドアは自分で開ける
正に執務室といった部屋、入って正面には大きなテーブルがあり書物が山積みになっている
いつもながらあまり順調に進んでるとはいい難いようだ、部屋の左右には本棚がある
「いらっしゃい!要件は何かしら?」
「それがこの武器見てください」
二人の所持武器を見せる、リクシオの黒いトリガーセイバー、ティオの白い杖
握った瞬間にトリガーセイバーは淡い黒炎を、ティオの杖は淡い光を纏った
「スペシャルウェポン....ここ数日の成長ぶりは目を見張るものがあるわね...急展開」
「まさにその一言に限りますね、で、このティオの武器なんですけど既にマナの蓄積が最高段階にまでいってると思うんです」
「ちょっと測ってみましょうか」
小型の魔計器を近づける
「これはこれは...そうね、既に強い共鳴を示してレベルⅧに向けての準備ができているわ、マナ量だけでみると私以上ね」
「で、そこで相談なんですけども」
「強化を経費で落としてほしいでしょう?けれど隊長級の武器の強化には費用、実績が足りない、でどうしたいのかしら?」
「手合わせをお願いしたいんです、更なる飛び級による経費の増加狙いですね」
「それもいいけど...どうせならリクシオ、あなたの実力も見たいわ」
「俺ですか?」
「そう、急激な成長、アクセルの取得、スペシャルウェポンとの出会い、十分再度手合わせするに値すると思うわ」
「そんな忙しいでしょうに」
「いいのよ、それに例え疲れてもティオちゃんがいるからね」
エリエルがティオのほうを向いてウィンクをしてみせる
【帝国場内闘技場】
「おお、いつの間にこんなに広がってたんだ...」
場内入るとギャラリーは結構な人数で埋まっていた
「それは帝国最弱騎士、リクシオと団長の久々の手合わせですもの」
横からエミちゃんがにっこりと話しかけてくる、意外と彼女はスピーカーだったのか?
「ティオちゃんにはいっていなかったけど、場内は外部からのマナ干渉を受けないように、正確にはマナは吸収されうようになっているの、だから補助はできないわよ」
「むむ、しかしいたし方あるまい」
「よし、いくか」
待ち受けエリアから出ると既に団長が待ち構えていた
「今回はそれなりに本気で行かせてもらうわ」
これ以上ない笑顔でそう語りかける
盾を地面に突き立て、剣を収める。ギャラリーは見たことのない光景に困惑を見せる
「解放」
静かなエリエルの声だったが凛と闘技場内を木霊した
次の瞬間盾が大きく輝き始め顕現する。団長のウィッシュアームズ
ほとんどの人が見たことのない光景にざわつきが止まらない
「これは第八騎士団団長、エリーゼ・エルノアのウィッシュアームズ、お前らこれを見れるのは稀だそ!しっかり目に焼き付けて置け!」
その声はを解説席に目をやるとなんと第三騎士団団長のエル・サンが来席していた、もっと意外だったのはその隣に座っていたのがエディルだったことだ、スピーカーはあいつだ
「守りはもちろんのこと、マナ放出によるバッシュ、マナブレードによる斬撃を行うこともできる盾だ、油断してると体が欠損してもおかしくないぞ!」
「やべぇ!団長マジで本気じゃん!」「これが団長級の力」「あいつ最弱なんでしょ?そんなもの持ち出して平気なの?」「エリエルさん戦闘になると手加減できないタイプよね」
何と言われようが全力でぶつかるしかない、痛い思いは当然したくない。トリガーセイバーを構え身体強化をかける、これまでにないほど高ぶっている。これが闘争本能か
が、冷静さを失えばスキを突かれるだろう。あくまでも冷静に対応していこう、しかし俺のマナ貯蔵量からして短期決戦以外選択は無いだろう
「それではレディ・・・ファイト!」
足に身体強化をかけ先制を奪いに行く、まずは攻勢に出ることによって立ち回りのスキを見つける戦法をとることにした
ところが予測より圧倒的に早く接敵した。エリエルも踏み出してきていたのだ
とっさにアクセルに切り替える、スムーズなマナの移動が手を取るようにわかる、お陰で先制バッシュを横にトリガーセイバーを向けて砲撃を行い体をひねり左に避けることで受け流すことに成功した
バッシュの空ぶった場所の空気が爆発する、それほどの衝撃を蓄えていたのだろう、ただのバッシュとはいえ食らえばひとたまりもない
これは様子見をしている場合ではない本気で行かなければ死ぬ!完全に手加減をしていないエリエル、絶対の盾で攻勢に出るスタイル。
そのままエリエルが左に盾を振りかぶってくる、マナブレードが付与されてるだけあって生身で受けると切られる!
トリガーセイバーの面で受け流し、そのまま切り上げるように団長に攻撃を加える
団長はその攻撃を盾を回転させることにより下から上に力点をずらす、お陰で生身ががら空きになる
恐らく盾の面がこっちに向いているからこのままバッシュが飛んでくる、弾き上げられた剣を盾を支点にしつつ高く飛び上がり面から回避する
予測通りバッシュが空気を大きく爆発させる、しかしこちらは空中、姿勢としては悪手な状態にある
空中で射撃を行い反動で空中方向転換と移動を行う、それだけの威力がこの今装填している衝撃弾にはある
横に着地する寸前に団長が体を回転させた盾を振りかぶってきた、こんなん食らったら死ぬでしょと咄嗟に剣で防御態勢を取る
斬撃とは思えないほどの重みのある衝撃が空中にあったリクシオを襲う
「聞いた話だとアクセル使用中は他のエンチャントはまだできないそうだから、今のガードは単純に反応速度がまた上がったのかしら」
地面を転がりながら起き上がり態勢を立て直す
「いつも手加減感じませんけど、ウィッシュアーツで強化されてる"それ"斬撃ですよね。死ぬかと思いました」
「あら、これは"死合"よ」
「手合わせっていつも言ってるじゃないですか!」
団長から直線状に足元の砂がはじけてる!何か迫ってくる!
横にトリガーセイバーを向けて衝撃弾を発砲しその反動で移動する
「なんだあいつ何やってるんだ?」
「あれはエリエルから放たれたマナ放出による遠距離バッシュだ、それを足での回避が間に合わないと判断し衝撃弾での回避をしたのだろう。あれの範囲は盾の見た目よりも大きい」
エル・サンの解説の直後エリエルとリクシオがいた直線状の先にある壁が大きな音を立てて2メートルほどのへこみとヒビが入る
「うお、やべぇ」「なんだ何も見えなかったぞ」「ビビった」
「よく使いこなせてるわ」
再度追撃の遠距離バッシュと共に団長が突っ込んでくる
「厄介な移動方の一つだ、このタイプは正に攻防一体で、見えない2メートル四方ほどある壁が突進しながらその後ろから迫ってきてるんだ」
剣と銃が一体では攻防が困難だと判断、ブレイド形態とガン形態に切り替え、即座に先ほどとは反対外に向かって衝撃弾を発砲し進路を変える
「マナ放出による攻撃を行いながら、その後ろを追いかけていく移動法の一つですよね」
「そうだ、中でも盾特融の"ストレートバッシュ"と呼ばれるあれは範囲が面になってるだけあって距離感がつかみにくい。エリエルの場合ウィッシュアーツによる珍しい"無属性"だ、だから壁そのものが見えない」
「本来マナの色に応じて衝撃が見えますもんね」
「よく避けたものだ、それにしてもあの武器珍しいな、切り離しができる上にハンドガンなのか、これは負担が大きいぞ」
団長も避けられたのを見て即座に進路変更、体を回転させ盾を振りかぶってくる
「リクシオは身体強化は最低限できるヤツだったんですけど、つい先日ランクⅡを一、二か所程度だったんです」
「衝撃弾は身体強化ランクⅡ程度で軽減できるほど甘くはない、なんせ体が反対方向に吹き飛ぶほどの衝撃だ。具体的には土による硬化と赤による活性で体を守らないといけない」
「ということはつまり...?」
「あの武器、スペシャルウェポンだ、俺が見る限りでもあいつの全身にはランクⅢ、もしくはⅣのマナが流れている」
「ランクⅣ?最弱どころか十人長級じゃないか」「スペシャルウェポンって?」
「まだスペシャルウェポンについて座学で習ってない者もいるようだがきちんと教えてもらえるから楽しみにしてな」
「そんなこと言わずに教えてほしいのじゃぁ~」
「うお、ティオちゃんいつの間に」
こちとら防戦一方だというのに解説席はやたらと賑やかだな
「キミが噂のティオちゃんか...スペシャルウェポンはめぐり合う武器、使い手を選ぶ武器、属性一致武器だ」
「というと?」
「めぐり合う武器、気が付くといつの間にか使い手の元へ渡っている不思議な武器、そして使い手を選ぶ、その使い手とは武器に込められているマナと持ち主のマナが一致していることだ」
「なんかそんな話おじいちゃんから聞いたのじゃ」
「おじいちゃん...?マクア教官のことかな」
「しかし人のマナは変わりゆくこともあろう?その場合はどうなってしまうんじゃ?」
「属性一致でなくなった時点で次の持ち主の元へと向かってしまう、急に無くなるんだ」
「はえ~不思議なものじゃのう」
「詳しくはまたどこかでな、今は二人の戦いを見よう」
解説がこちらに戻ってきたようだが既にリクシオはところどころ打撃痕と切り傷があり息が上がっている
一方エリエルは無傷だ
再度団長の放つバッシュを空中へ避けた際に気づく、何度かバッシュを放っている影響か盾表面のマナ濃度が薄くなっている
先ほどは様子見だったが力を加えるには最大のチャンスでもある、トリガーセイバーを一体化させ最大のエンチャントを施し、上空から団長に切りかかる
トリガーセイバーが赤黒い炎につつまれ腕に身体化を同時に施す
流石団長というべきか、あれだけの威力のバッシュを放っておきながら既に盾の面を上部に向けている
が、マナの放出直後なのもあって盾の面のマナ濃度は薄くなっている、攻勢に出るなら今だ!
ガキイィィンという大きな音と共に盾とトリガーセイバーが交わる
「おおおおぉぉぉぉ!!!!」
ここぞとばかりにトリガーを引く、すると刀身のマナが更に大きくなった、引きノコギリのようなマナブレードが見える
盾に接触した部分から引くようにトリガーを引きながら引き裂く、ガインガインガインガイン!という音と共に盾に傷が入るのが見える
「もう一発!!」
空中で盾回転を加えもう一度盾の同じ部分に強撃を加える、トリガーは引きっぱなしだ
ガイン!ガイン!ガイン!ガイン!と盾に攻撃を加える、さっきより深く盾に傷が入った、何度もバッシュを繰り出したことで修復に時間が掛かっているのだろう
「もう...一発!!」
盾を蹴り上げてもう一度空中で回転を加え同じ場所に切りかかる、どうやら団長のほうからは損傷が確認できていないようだ
ガイン!ガイン!と攻撃を加える
ガキッ
「刃が砕けた!」「エンチャントが足りてない!」
「まだまだぁ!」
左手のガントレット型パイルバンカーに残りありったけのエンチャントを施し盾の一番傷が深いところにナックルを叩き込み、パイルバンカーを同時に発動する
そこで団長の盾にピシっと一段と深い傷が入る
パイルバンカーの反動で後ろへ飛び少し距離を取る
「そこまでだ」
リクシオとエリエルが次の一手を行う前に...いやエリエルは既に次の一手に移った直後の待っただった
「どうして止めるの?エル」
リクシオが態勢を立て直すとエリエル団長が不自然に左手を盾の後ろ側へ構えているのが見える
「これ以上続けると剣を抜くだろう」
「ふぅ、そうね、リクシオの武器も折れちゃったし....私の盾にもこんなに負傷が出るなんて思わなかったわ。ここまでにしましょう」
エリエルがそう言った直後俺は気が抜けて膝を折った。次の瞬間
「リク~!大丈夫?怪我してない?痛くなかった?」
エリエルは盾を投げ出してこちらへ駆け寄ってきた
「見ての通りいくつかの打撲と切り傷ですよ...うっぷ」
「まぁ!」「ママだ」「うぉ!」「なんだあれ!けしからん!」「ママだ」
余談だがエリエル団長の胸部装甲は下半分が鎧で上半分の中央部は...つまりちょうど顔が埋まる程度に空いている
「ふぐ、ふぐむぃ、むふぐ」
「大丈夫?痛いところは?あらここ痣になってるじゃない、ティオちゃん!」
「ここにおるぞ」
「えっあれっあの子解説席にいなかった?」「あれ?あの子さっきまで上にいたのに」
ティオを呼ぶと同時に開放してもらえた
既にティオによる治療は始まっている
「団長!第八騎士団以外の人も多く来てるんですからやめて!」
「普段からこうなのか...?」「えっエリエル団長ってあの人とどういう関係なの?」「なんだぁ...てめぇ....」
「終わったぞ」
「流石の速さね!一級だわ!」
「え、もう治療終わったのか?」「えっ結構ボッコボコだったろアイツ」「何女の子に挟まれてんだアイツ...」
「あの子はティオちゃんだ、記憶喪失で座学を通さずに前線兵として出てもらっている女の子だが、白魔導士としてみての通り一級だ、これから世話になる奴も出るかもしれん」
「あ、俺この前訓練所で治療してもらったわ」「あの子テレポートまで使えるのか」「ちっちゃいな本当に16歳超えてるのか」「可愛いな、APPいくつだろ」
「さて、一戦終わったわけだが...彼を帝国兵最弱と言えるだろうか」
「前線兵の人って皆あれ以上の動きができるの?」「いや、あれは十人長級だろ、一等兵でも最高クラスだ」「あれは強いわ」
「そもそも最弱と呼ばれていた理由なんだが、彼は殺傷性の高い武器を好まなかったんだ。それにより対魔物戦において戦力を発揮できないことから最弱の名を背負っていた」
「ならそもそも最弱って言えないんじゃ?」「第八騎士団だよな?団単位では比較的帝都近辺の対魔物なところだな」
「そこでだ、後日、闘技大会を開催する!」
「ありそうでなかった闘技大会」「闘技大会ってことは対人かな?」「魔物や動物しか相手にしないだろうに」
「内容は対人団体戦、10人以下一組でパーティを組んでもら。小隊で申請してもらっても構わないが、この大会には帝国軍未所属の参加も許可する。
つまりこの大会はギルドとの協力の元行われる、後日正式発表があるから各自目を通しておくように」
「エルさん、これにてお開きみたいな雰囲気出てますけど一応本番はこれからですよ」
「そうだったな!さて...本来はそこにいるティオちゃんとエリーゼとの手合わせがメインだったのだが、エリーゼの盾に負傷が出てしまった」
「最近戦力ランクⅡに昇格したそうだがこれは更なる昇格が必要になるわね...」
スっとエル・サンが立ち上がる
「なにやらそのティオちゃんの担いでる杖、それもスペシャルウェポンでしかもマナランクⅧの準備ができていると聞いた」
「マナランクⅧ!?」「騎士団長級の魔力だぞ!」「エリエルさんがランクⅦだというのに凄いな...」
「それを手合わせの結果による飛び級も飛び級で強化費用を出してもらおうという話だ」
「こすい」「可愛いから許せる」「それなりの勝負ができればだろ、それに白魔導士だぞ」「記憶喪失なんだろ?戦えんのか?」
「ティオちゃんはその魔力にふさわしく、一度前線での内臓、骨の損傷を30秒足らずで治し、切断された右腕をその場で動かせるまでに治療したそうだ」
「あの子さっき見たけどランクⅤのバッチしてたわよ?」「あのバッチランクⅤだろ?どう考えてもそれ以上の技じゃないか?」
「そこで、だ」
エル・サンが飛び背負っていた武器を展開させ大きな鎌になり。闘技場内へ着地してみせる
「俺とティオちゃんで戦う」




