夜景
【???】
「最近やけに気にかけてる奴がいるそうじゃないか」
宙に座り透明な剣を絶えず飛ばしシャドウを切り刻みながら白髪の男性が話しかける
「お?気づいておったのか?」
宙に寝そべり欠伸をしている知楽がいる
「俺にだってマナの流れは見える、そうちょいちょい外へ飛ばしていたら気にかかるさ、面白い奴なのか?」
「ふふ、そうじゃのう、なかなか面白い奴じゃ。いつかまみえることがあるかもしれんのぅ」
【日没:訓練場】
「さて!これでお前たちの武器探しと基礎鍛錬は終わりだ!肩慣らしにクエストでもいってこい」
「近いうちに簡単なの請け負って行ってきます。お世話になりました」
「またのーおじいちゃん!」
ティオが大きく手を振り教官がそれに答える
「はっはっは!またな!」
日は完全に落ち、城内に点々と設置されている明かり以外光源がなくなった頃に訓練場を抜ける
「これからどうするのじゃ?」
「この前展望台から帝都を見渡す約束をしたのを覚えているか?」
「すっかり忘れていたのじゃ!」
北門テレポーターへ向かって歩き出す
「その背負ってる杖は重くないのか?」
「これか?それがまったく重さを感じないのじゃ」
「俺もこの剣は普段腰に下げてるには少し重さを感じるけど、手に取った時は重さを感じない」
「すぺしゃるうぇぽんと言ってたのぅ」
「帝国装備は白と青が基調だから目立つが俺は結構気に入ってる」
「そういえば魔力放出がⅢになっていたと言ってたのぅ、申請しなくてよいのか?」
「実力が伴ってないだろうからね、もう少しクエストをこなしてこの武器をある程度使いこなせるようになってからにしよう」
「ふむ、ならそれがよかろう。私もな~~~経験積んで早く階級上がりたいのぅ~~~~」
「一等兵の次は十人長、つまり十人の部下を持ち面倒を見る必要が出てくる」
「それはそれで面倒じゃのぅ」
「ティオならできないことはないと思うぞ、ウィングと回復で後方支援しつつ回りを見ることはできるだろう」
「面倒なのじゃ!」
「お、そうか」
ティオの一等兵からの脱却は無理そうだ
「そういえばお主防具はどうするんじゃ」
「うーん動きやすさのほうが欲しいかなって、身体強化で防御する癖もついけたいしね」
「よく見る皆はフルプレートってやつかの」
「そう、身体強化していなくても致命傷にならないように」
「でもお主身体強化は得意なんじゃろう?」
「一応ね、下手に防具着て防具エンチャントするより、無意識でも軽装のまま身体強化できるほうが動きやすくてよかったりする。
第四騎士団団長はハンマー振り回しておきながら軽装で、身体強化により鋼の如く肉体を維持していると言われてるよ」
「パティキュラー倉庫にあったあのでっかい槌のやつか」
「そう、見るからに重そうだったろう」
「そうじゃのう」
「あれを扱えるのは身体強化緑をⅣ以上を維持できる人くらいだ」
「身体強化緑は軽量化じゃったのぅ」
「そう、赤が活性化、青が癒し」
「赤がその肉体強化になるのか?」
「そうだよ、鎧がなくとも身体強化赤を使いこなせればそれなりに防御力がある」
「ほほう、ならわたしもそこそこイケる口じゃのぅ」
「身体強化白がⅦはいけるんだっけね、他の色も見ておけばよかったね」
「白の身体強化はどんな効果があるんじゃ?」
「白魔法と黒魔法は放出は単体でも作用するけど、身体強化とエンチャントは他の属性の複合しないと作用しないよ」
「なんじゃぁ...」
「というか色として種別されてるけど、想像すれば形になるでしょ。そうだなぁ....そこの木に向かって細い光のレーザーをイメージしてみて」
「こうじゃな」
ビシュっという音と共にティオの左上から一瞬細い光のレーザーが木を貫通した
「お...貫通したか...流石の魔力だ」
「お主はどうなんじゃ?」
「俺はなぁ...」
細い光のレーザーをイメージして木に向かって放出する
一瞬細い光のレーザーが俺の前方に出現し、ジュッという音がして木に焦げ跡が残る
「なんじゃぁ貧弱じゃのぅ」
「白魔法、光魔法はマナ干渉が難しいんだよ、全属性の複合魔法だから」
「黒魔法はどうなんじゃ?」
「放出による基本的な作用はほとんど白魔法と同じなんだけど、位置としては光と対比にあるね
例えば白を複合付与すると強化になるけど、黒を複合付与すると弱体効果がある」
「ん?ということは身体強化は自然と白魔法を複合していることになるのか?」
「その通り、メリットになるものは白魔法、デメリットになるものは黒魔法と分類される」
「デメリット?」
「さっき話したようにエンチャント等と弱体効果が主になる」
「具体的には?」
「溶けろ!ってイメージにも赤と黒による加熱で溶けるものと、水と黒による酸毒による溶けるものがある」
「なるほど、しかしそうなると悪意を持って魔力を向けられたらたまったものじゃないんじゃ?」
「人の体にはそもそもマナが流れてるだろ?それが魔力への耐性となってる」
「お、あれは自然と体を守ってくれていたんじゃな」
「だからこそ全属性に対して耐性のある白魔法、全属性に属さない黒魔法は作用するのが難しい」
「ということは白と黒は同時に使えないんじゃな」
「ところが存在はあったらしい」
「ほう?」
「エレメンタルロスト、全属性の複合魔法で術者以外のすべての人がマナ干渉ができなくなる失われた魔法」
「魔法が使えなくなるだけなのか?」
「つまり体内のマナの流れも止まる」
「うわ、それは一大事じゃ。術者の思うがままじゃな」
「もう使える人はいないし、確認もされてないけどね」
「そんな魔法ないほうがよかろうて」
ティオが少し険しい表情になる
「そうだね」
「ところでなんで北門テレポーターへ向かっておるんじゃ?」
「展望台にもテレポーターがあるよ、城の4つ角上部と城壁の面上部4つ、城壁に計8つに配置されてる」
「便利なもんじゃのう」
「ほら話してるうちについたよ、いこうか」
「うむ!」
【北門屋上階】
テレポーターに触れ北門上部に出る、他にもちらほらと人がいる
「わあああ!」
町中に光が灯されている夜景が見える、特に正面大通りは真っ直ぐ綺麗な光が4本並んでいて絶景で
北西に見える海側も海沿いに沿って光りが灯されているのが見える
「街が寝る前でよかったな」
「綺麗じゃのぅ!あっちのほうはなんじゃ!?」
前に出て北西を指さす
「あっちは海だよ、最初はあっち方面には街は大きくなかったんだけど、戦争が無くなってすぐに海側へ発展したらしい」
「海!海かぁ!いってみたいのぅ!だからあっちには城壁が無いんじゃな!」
「今度の休日時間が合うとき皆でいこうね」
ティオがくるんと振り返る、満面の笑みだ
「うん!」
「わああ!城もすごいのぅ!」
「城のライトが増えたのも戦後らしいよ」
「どの方角を見ても綺麗なのじゃ!」
「そうだね、俺も久々に来たよ」
「また近いうちに見に来ようぞ!」
「そんなに気に入った?じゃぁまた来ようか。今日は遅いしもう帰ろう」
「うんなのじゃ!」
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【帝国寮999号室前】
「よし、それじゃぁな」
「また明日なのじゃ~」
自室に入ると同時に後ろからただいまなのじゃ~と聞こえてくる
「さて...」
新しい武器、トリガーセイバーを構える
基本的に身体強化を使用して持つこと、属性一致とやらのおかげで重さを感じない
1日中試し切りをして分かったが言われていたように斬る際に力を入れるのが難しい、身体強化無しではまともに斬れなかった
身体強化赤を付与していたが過去より随分と身体強化維持を持続できるようになっている
左手は伸ばしていないストックを握り、抑え込むように力を入れる、形状と力の入れ具合の関係上、左上からの袈裟斬りや縦斬りが強い
もっとも身体強化が強くなればそれもあまり関係なくなるんだろうけれど...
「確かに普通の剣より力の入れ方が難しい...が、重さを感じない分気楽に扱える...斬撃時に重さを感じないのはどうかと思っていたけど、どうやら対象にはしっかり重さが威力に乗ってるみたいだ」
黒魔法...基本的に呪術となるあまりいいイメージのない魔法
すると昼間のように剣から赤黒い炎が揺らめき出した
「おおお、室内はまずい」
咄嗟にイメージを止める
剣から炎は消え大人しくなる
「少しイメージしただけでこれか、目視できたあたり今のはランクⅡ以上のエンチャントだな」
黒炎、白魔法の直接付与以外では治せない火傷を負わせる炎
とても人相手には使いたくない代物だが、魔物に対しては動きを鈍らせるらしい
「まさか7日前までまともにエンチャントできなかったなんて嘘みたいだ」
これもティオに出会ってから...と予測する
想い当たるものがそれしかない
「知楽なら何か知ってるかも...」
「呼んだかえ?」
「うわ!現実に出てきた!」
知楽が椅子に座って...座って?無い、座っている格好ではあるが浮いている
「そりゃ夢に干渉できるんじゃ、現界するほうが楽じゃて」
「そうだったのか...ん?現界?知楽は現実にはいないのか?」
「ほう、頭が回るようじゃな、揚げ足取りとも言うが。半分正解じゃ」
「半分か」
「そう、わしは帝国から東にある願いの丘におる」
「戦時一人で他国からの侵略を退けたというあの...」
「そんなこともあったのぅ」
「本当に一人で退けたのか...いったい何歳なんだ...」
「はっはっは、それより聞きたいことがあるんじゃろう?」
「そうだ、6日前から急に魔法が使えるようになったんだけども、何か知ってることはないか?」
「気づいておるじゃろうがティオとの出会いがターニングポイントじゃろう。ただ恐らくそれだけでは無い」
「それだけではない...?」
「お主から強い星の力を感じる」
「星の力?」
「そう、この惑星はホド、他にも9の惑星がある、日中日になっている恒星はティファレトと呼ばれる」
「その惑星たちとの関連性....」
「もう伝わってない伝承...というか真実なのじゃが、星への願いが魔力の源じゃ。特にこの惑星ホドでは栄光を願うものへの魔力影響が強く出る傾向にある」
「栄光...!」
これでも王位という栄光を目指す身、気持ちは負けていなかったはずだ
「他にも王冠、知恵、理解、慈悲、峻厳、美、勝利、基礎、王国、知識と惑星の数だけ願いの対象がある」
「そんなにあるのか...」
「気づいてないようだがお主は全ての願いの対象になっている」
「え?」
「だからこそ魔力が分散し魔力が使えなかったと言えよう、が、ティオと出会い何かしらがあったことによりその枷が外れたのじゃろう
恐らく、星の英雄としてお主が強くなることを歪んだ形で願った」
「ティオが...歪んだ形で?」
「本来星の英雄が願いの丘で願いを叶えた場合は...いや、これは今は関係ない、いずれ分かるじゃろう
ゆがんだ歪んだ形でというのはその本来の結果が出おらず、幼体化していることにある」
「幼体化!?じゃぁ本当のティオは...」
「あ~あんまり女性の年齢を詮索するものじゃないぞ」
「そ、そうだな...」
「とりあえず、さっき言ったことからお主はこれからも急成長していくじゃろう」
「俺が急成長を...確かにここ6日間だけでスペシャルウェポンともめぐり合い魔法ランクもランク外からⅢまで上がった」
「上がれば上がるほど、上がりにくいことはお主も知っておろう、星の願いの力もあるがあとはお主次第じゃ」
「ティオは今魔力ランクⅧまで出ているけど昔はどこまで上がってたんだ?」
「ティオはⅨ以上Ⅹに及ばずじゃな」
「ランクⅨ!?Ⅰランク上がるごとに次まで今までの分の経験を再度積む必要があるとされているのに!?」
「うむ、今の技術じゃ数値化できてるじゃろ?大体400くらいの魔力じゃ」
「星の英雄と呼ばれるのも納得の魔力だ」
「よし、今回の授業はここまでじゃ」
「わかった、毎回毎回ありがとうな」
「ほう、引きが良いのはいいことじゃ」
「ティオには会っていかないのか?」
「ふふふ、いつか会う日が来る、それまでおあずけじゃな、じゃ」
それだけ言い残すと消えていった
「そうか...ランクⅢか...改めて考えると既に十人長並の戦力は持ってるのか....俺...アクセル...できるかな」
コンロの火をつけて集中する、赤属性で思考速度を活性化させる
前の戦闘中ほどではないが火の揺れが遅くなるのが分かる
「お、少しならイケるな、ただまだこれの間他の魔法は使え無さそうだ。
今日は疲れたしもう寝よう...今週は残り3日休みあるからまとめて休みにして、適当にティオと出かけたりしてまた来週からクエスト頑張ろう」
飯、風呂を明日にまわしベッドに倒れこんだ。




