ティオの引っ越し
【リクシオ宅】
「お隣さん楽しみじゃのう!どんな人じゃろうか!」
「お隣さん、エミさんは秀才だよ、本来どんなに早くても1年はかかる帝国の座学を半年でトップ卒業した人で
しかもブラックスミスとして有名な家の出でもあるんだ」
「ブラックスミスとは鍛冶士じゃったかのぅ、それまた凄い人がお隣さんなんじゃのぅ」
「本来ブラックスミスは前線兵ではないんだけど、本人の強い希望で二等兵としてアイテム士兼白魔導士としても活動してる」
「お?白魔法が使えるのかえ?」
晩飯の準備を始める
「正確には白魔法と青魔法による怪我の回復だよ、ティオがやったときもそうだったろ?」
「いや、私はとにかく怪我を治すことしか意識しとらんかったが」
(そういえば願いの力が魔法の証なんだっけ、なるほどな)
「そうか、そういえば対象の体内のマナを自然と読み取れるんだったな(この子は天才中の天才だ)」
(願いの力が本来の魔法の正体とあれば教えられてきた3大属性や2対属性の存在は...? もしかして意識しやすいものが自然とそう呼ばれるようになったのかな)
「そうじゃのう、確かに意識すれば対象のマナの流れを見ることができるのぅ」
(とすれば今まで俺が成長しなかったのは願いが弱かったから...?確かに身近に守るべき人ができたという切っ掛けもあるけど...)
「おーいお主よ?聞いとるのかえ?」
机に座っていたティオがいつの間にか隣に来ている
「あ、ああ聞いてるよ、本来体内や物質に流れているマナは微量で一定以上のマナ感応力を持つ人しか見られないんだからティオは凄いよ」
「うんうん、もっと褒めるがよいぞ」
腕を組んでうんうんと頷いている、料理の手を止めて少し頭を撫でてやる
「もう少しでできるから座ってな」
「はーいなのじゃ」
机にてててーと戻っていく
今日は乾燥させたニンニクとトウガラシを油でいためて、茹でたパスタを混ぜるペペロンチーノだ、どうしてこの名前なのかは過去の人に聞いてみたいが安くておいしくてとても良いものだ
「はい、できたよ」
「わぁ!おいしそうなのじゃ!いただきますなのじゃ!...ん?」
「ん?どうした?」
「これはどうやって食べるのじゃ?フォークの隙間から落ちてしまうのじゃ」
「ほらこうやってくるくるーって」
「なるほどのぅ!お主は頭が良いのぅ!」
「ティオは魔法以外に関してはからっきしだなぁ」
ふふふと笑いながらご飯を済ませる
「さぁ食器を片付けるから先にお風呂に入っておいで、それにしても制服以外の他の服も欲しいね。」
「うん?私はかまわんぞ」
「まぁ確かに帝国制服も綺麗で2セットもらえるし、その団長からもらった服も可愛いけどね、せっかく女の子なんだからもっとおしゃれしないと」
「そういうもんかえ?」
「そういうもんだよ、明日エミさんにも頼んでみよう」
「そうじゃのぉ」
あまり興味なさそうに風呂場に入っていく
そんな中簡単に食器を片付け考えに耽る
(あの知楽という人が本当のことを言っているのだとしたらもう一度話しを聞きたい。まだまだ知りたいことはたくさんある)
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「さて、そろそろ良い時間じゃの」
ティオが目を軽くこすりながらそう言ってくる
「そうだね、そろそろ寝ようか、おやすみ」
「今日はソファなのかえ?」
「まぁそうだねぇ」
「その,,,一緒の部屋最後なんじゃし一緒に寝んか?」
「しょうがないにゃぁ...」
ティオが抱き着いてくる、甘えん坊だなぁ
昨日と同じように背中合わせになるように二人で就寝した...
.....................................
「...ら...よ.....か....」
「こら!はよおきんか!」
「うわぁ!あれ?知楽?」
「呼んだのはそなたじゃろうに」
「え、そんな簡単に出てきてもらえるんですか?」
「気が向いたらのぅ」
真っ白な世界で知楽は寝そべりながら浮いている
「で?なんのようじゃ?」
「知楽はどこまで知ってるんだ?」
「どこまで...か、願いの丘で起きたこと以外全てじゃ」
(全て、膨大な知識量を前に唾をのむ)
「よほど知識が欲しいと見える」
「そりゃぁ知りたいことはたくさんある、でもまずはティオについて知りたい」
「それはティオの記憶が消える前のことじゃな?」
「そう」
「まだ出会って間もない相手じゃろ。もっとゆっくり考えていけばよい」
「でも,,,」
「前も言ったようにすべての人の記憶、記録からも消えるような出来事じゃ、それに対して今のお前で向き合えるかえ?」
「それは,,,」
「焦る必要はない、今のティオを見てやれ」
「知楽はどうしてそこまでティオにこだわるんだ?」
「元々弟子じゃからの」
(全てを知るような人、恐らく離れているのに人の夢に入り込めるような人の弟子、そのうえ先祖返りか...)
「その通りじゃ、じゃからこれからのティオを良くしてやってくれ」
「思考まで読めるのか....それは承知している。」
「はい、飽きたからここまでじゃ。ま、このくらいはしても良かろうて」
そう言い額をつんとつついてくる
「え!?割とマジでまだ何も聞いてな,,,」
「またの~」
...............................................
朝一引越しの準備を済ませる
「ほら、お引越しの準備できた?」
「ばっちりなのじゃ!」
そう言って白い服だけ持ったティオがどや顔でふんぞり返っている
いやまぁ確かにティオの物はそれしかない
「よし、じゃぁお隣さんに挨拶にいくぞ」
(知楽は「また」といった、つまり次の機会があるということだ、とりあえずは今のティオを見守っていこう)
「はーいなのじゃ」
右手を挙げて笑顔で返してくる
自室の戸を開けて隣へ向かい、ノックする
「はぁい」
へんじ返事から少ししてから出てくる
見るからに令嬢で制服を着ている。ドワーフなので背は低く髪の長さはミディアムの銀髪碧眼の子だ
「今日からお世話になるティオです。ほら挨拶して」
「ティオじゃ、よろしくのぅ、昨日も思ったが私より小さいんじゃのう」
「あら、あなたが聞いてたティオちゃんね、ドワーフですからね、二人とも遠慮なくエミって呼んでね」
「それじゃぁエミ、ティオをよろしくな」
「ええ、ところでエディル様とはどんな関係なんですか」
エディル様?
「エディルとは友人かつ同僚なのじゃ!」
「そう....さぁ上がって、持ち物はそれだけかしら?」
「そうなのじゃ」
胸を張っているが給与も出たことだし服を買ってもいいと思う...あ。そうだ
「服が帝国支給の制服とこれしかないので、機会を見て一緒に買い物に行ってもらえないかな?」
「いいですよぉ、ティオちゃん、後でお買い物に行きましょう」
「お、いきなりいいのか?」
「今日は空いてるからいいですよぉ」
「わーいなのじゃ!」
二人ともニコニコしている、いいことだ
「それじゃぁよろしく頼みますね」
「ええ、これからは同僚ですから」
エミもニッコリと笑っているがどことなく目が笑っていない
彼女、エミはブラックスミスとしての活動がメインなため、隊での行動時以外の主な仕事は夕方皆が返ってきてからの武器の修理になる
そのため日中は基本空いているようだ
「パタンと戸が閉じる」
俺は...適当にクエストでも行くか
ティオと出会い5日目




