帝都西部警備「暴徒鎮圧」
朝食も終え、風呂も入り髪を乾かしたティオが、髪を結いながら話しかけてくる
「今日はどうするのかえ?」
「下町の警備にいこうと思ってるよ、いつも一定数は最低限人が割り当てられるんだけど、残念ながら見落とし犯罪も起きることがあるから...」
「そうなんじゃのぅ...」
「クエストとしては国家クエストになるね、帝国軍人だし一定量の給与は貰えるし」
「給与!そこ!大事じゃな!」
ティオが腕を組んでうんうんと頷いている
「ははっ、じゃぁ準備できた?」
「いつでも大丈夫なのじゃ!」
合図と共に戸を開けるティオが戸を開ける
「よっ、待ってたぜ!」
「うにゃぁ!?」
急に顔を出したエディルに対してティオが驚き尻もちをつく
「な、なんじゃぁ!?」
「ははっ驚かせちまったな」
エディルがご機嫌そうに笑うがティオは当然、怒っているようだ
起き上がりエディルにぽかぽかと殴りかかる
「ははっ悪かったって、今日も白かったな」
おっと
次の一撃ティオの右ストレート左回転に対して右回転の風属性が加わる
「グォっ」
変な声を出してエディルが廊下を吹っ飛ぶ
家は建物一番上の一番奥な部屋の為かなりの距離を飛んだ
ティオの悲鳴を聞き状況を見ていたお隣の女性が顔を出していた。
「今のはエディルが悪いわ」
「わかるわ」
「ふん!ほら行くぞ!」
ティオが大きく手を振り歩き出す
.......................
【帝国城クエスト管理課】
「おはようございます、第八騎士団、一等兵のリクシオ・ケテラーと同じく一等兵のティオです」
「おはようございます、リクシオさんにはこれを、ティオさんにはこちらを預かっていますよ」
そう言って俺にⅡと書かれたバッヂを、ティオにⅤと書かれたバッヂを差し出す
周りにいた人たちがざわめき出す、無理もない、この見た目でランクVつまり百人長レベルなのだから
「おお!これが昨日話してたランクⅤかえ!」
「昨日の記録を元に魔道士のランクⅤとして正式に任命されました。ただし知識、実践経験共に少ないので一等兵のままですよ。」
受付のお姉さんが人差し指を出して言う
と、そこで受付に夜勤帰りの兵士がやってきた。
「第六騎士団一等兵、アグニア・ハーム、クエストより帰還しました。」
後ろを振り返ると擦り傷切り傷、裂傷とかなりの負傷した兵士がそこにいた。
「大丈夫ですか!?すぐに白魔道士を!」
「私が治すのじゃ」
そう言ってティオが負傷兵に白魔法を掲げる
もう慣れ始めたが耳と尻尾が生えてきた。これが先祖返りの証...
「確かこうじゃったかのぅ」
次の瞬間あらゆる傷が治っていった。触れても無いのに全体の傷を治している。これが千人長並みの白魔法か
あっという間に治療は終わった。
「ふむ、これで大丈夫かえ?」
「あ、ああ!もう大丈夫だ!凄いなお嬢ちゃん!」
「これでもランクVの魔道士じゃからのぅ!」
そう言ってドヤ顔でバッヂを見せる
「あ、じょ、上官でしたか、失礼致しました!」
と元負傷兵が敬礼をする
そこでちょっと口出しをしてみる。
「大丈夫、この子もまだ一等兵ですよ」
「え!一等兵でランクV!?しかも白魔道士...これはある意味貴重な体験をしたもんだ。改めてありがとうなお嬢ちゃん」
「よくやったな、ティオ」
そっと頭を撫でてやる。
「もっと褒めるがよいぞ!」
そう言ってあまり無い胸を張る
そこでエディルが追いついてきた
「いてて、遠慮ないなぁティオちゃん」
「そらパンツの色を口にしたらそうなるよ」
「ん〜!!」
とぽかぽか叩いてくる
よかった渾身の右ストレートじゃなくて
「じゃ、じゃぁなお嬢ちゃん、また会った時はよろしくな」
そう言い残してアグニアは小さく手を振りながら去っていく
「んでじゃ、今日のクエストは都内の見回りにしようと思うのじゃが、人手が足りないところはあるかのぅ」
「お、今日も見回りか?たまには外でもいいのに」
「ティオに街並みも見て欲しいしな」
「第八騎士団、エディル・ライアです、リクシオと同行します」
「エディルさんですね...これをどうぞ」
ランクⅡのバッヂを受け取るエディル
「お、俺もとうとうランクⅡかぁ」
「そうですね...皆さんのランクを合わせた場合はここですかね、都城を出て西門までまっすぐ大通りの警備でしょうか」
「んじゃそれにするのじゃ」
「では本日の警備者として追記しておきますね。いってらっしゃいませ」
..............................
【帝都西大通り】
「こんな往来で悪事を働く者なんておるのかのう...」
「ちょっとした小道をちゃんと覗くのも仕事のうちさ」
「ンッだゴラァやんのか!?」
「ほーれ見たことか」
細道に入っていき酒場に入る
「帝国軍警備部隊だ事情を聞こうか」
「帝国軍なんざ関係ねぇだろうが!」
どうやら酔っ払いによる暴動のようだ
酔っ払いが右手で殴りかかってくる、魔計石により赤の身体強化を確認
左半身を前に半身に構え右手を払いのける
「これより鎮圧に移ります」
そう宣言しがら空きのボディに身体強化緑Iを付与した右手を叩き込む、まずは一人
「ティオは怪我人の治療を」
「了解なのじゃー」
へにゃっとした敬礼を見せる、そういえばさっきのアグニアさんの敬礼が初となる、今度教えよう。
そう考えてると今鎮圧した飲み仲間であろう三人が襲いかかってきた。戦闘開始だ
「もちろん俺もやるんだよな?」
エディルが構えながら聞いてくる
「少ないし好きにしていいぞ」
「なめやがって!」
酔っ払いBが足に緑魔法を施し右脚で蹴りを横薙ぎに放ってくる
これを左腕で受け一瞬腕を引き衝撃を吸収、次に腕に風を付与して弾き飛ばす
脚を跳ね返され体制を崩したところに軸足にしていた左足を回し蹴りで払い転ばせる
立ち上がったところを酔っ払いCに羽交い締めにされ、正面から酔っ払いDが割れた酒瓶を手に向かってくる
「それは痛そう」
そう言いながら当たる寸前に両足の力を抜いてその場に落ちる。
すると危ないとばかりに割れた酒瓶を持った酔っ払いDは体制を前に崩した酔っ払いCと衝突することになる
二人とも倒れたところに手錠をかけて終わり!
「やっぱり俺いらなかったじゃん」
「訓練を受けてるんだしな、これくらいは流石にね」
「おーいこっちの治療は終わったぞー」
「お嬢ちゃんありがとうな、店がめちゃくちゃになったうえ怪我までしたんじゃ商売再開できないところだったよ」
「これもお仕事なのじゃ」
ドヤ顔で帝国軍バッヂを見せつける
周りの人も口々にお礼を言い店内を皆で片付け始めた
「お嬢ちゃんその歳で軍人なんて凄いねぇ、あっという間に怪我も治っちまったよ」
「お安い御用なのじゃ」
箒に緑魔法を施して細かい割れた皿や瓶のかけらを片付けながらそう言う
「あんたらもありがとうな、流石軍人さん、見事な手さばきだったよ、行きつけの店が閉まっちまうのは俺らにとっても良くないからな」
「はっはっは、俺ぁ何にもしてないけどな」
エディルがそう言いながら机を2つ持ち上げている、素で力持ちだ
「暴動を抑えて一緒に片付けてくれてるだけでこれ以上ないさ、ありがとう」
「そうだ、今度時間があったらウチに飲みにきてくれ。その時はタダでいいぞ」
「おお!太っ腹じゃな!」
ティオがお腹をポンと叩く、店長らしき人が同じことをして皆で笑い片付けを済ませ、その場を後にした。
....................
【帝国城クエスト管理課】
「第八騎士団一等兵リクシオ・ケテラー、都内警備から戻りました」
時は夕暮れ、夜勤組と交代になる時間である
「クエストお疲れ様でした。今回は暴動一件、酔っ払い四人の鎮圧ですね。」
「問題ごとは無いに限るのぅ」
「ふふっそうですね、これが今回の報酬です」
そう言ってティオにも報酬が手渡された。
「わぁ!報酬じゃぞ!私にも報酬が出たのじゃ!何々...30000も入っておるぞ!!」
「俺は13000だよ、これがランクの差かぁ」
「俺も13000だ、ティオちゃんいいなぁ」
ティオがドヤ顔でこちらを見つめている
「よくやったよ。怪我人の治療もしたしね」
そう言って頭を撫でてあげる
「わーいなのじゃー」
満面の笑みで報酬金の入った袋を両手に挙げ走り回っている
そんなに走り回るとこけ...
「ふぎゃっ」
言う前にこけた、白かった
「そういえば総務課のほうでティオさんに連絡があるそうですよ」
手でぱっぱっと服を払いながら顔を赤くしたティオが立ち上がる
「私に用件とな?」
「はい直ぐそこなので寄っていってくださいね」
と言ってクエスト管理課の南側にある受付に指をさす
................................
【帝国総務課】
「第八騎士団一等兵ティオなのじゃ、私に用件とな?」
「ティオさんですね、少々お待ちを...はい、お部屋の準備ができたようなのでその報告が来てますね」
「えぇ~リクシオと一緒のままでいいのじゃぁ~」
「こらこら、年ごろの女の子なんだから一緒のままじゃダメでしょ」
「ふふっ、代わりと言っては何ですが、リクシオさんのお隣の部屋の人から同居OKの連絡をいただきましたよ」
「お隣とな!?」
ぴょんっとカウンターの上に乗り出す
そのままこっちを向く
「今朝わかるわと言ってた子かえ?」
「そうだよ」
「お隣のエミ・フィリアさんです。本人の希望は白魔導士見習いなのですが、鍛冶士としての腕を持っている人ですよ。第八騎士団の別の部隊に所属しています。
「お隣なら良いのじゃ!」
ニコニコで右手を挙げてそう宣言する
「ではそのように登録しておきますね第八寮の998号室になります」
つまりウチの部屋は999号室、最も下っ端に与えられると言われている...あくまでも言われているだけの部屋で、出口から最も遠い部屋の一つだが窓が多く日当たりや景色は良い
帝国寮は9階建てになっていて同室込みで一つの寮に約1500名が入っている
「よしでは帰るぞ!」
「あ、それと帝国制服が支給されています、こちらをどうぞ」
白を基調とした青い装飾の施された魔導士用の新品の制服が手渡された
「おお!もらって良いのかえ!」
「もちろんです。仕事の際には是非これを着てくださいね」
「よし!では今度こそ帰るぞ!」
さっきまでの嫌そうな顔はどこへいったのやらニコニコで寮へ向かって歩き出した
それに続き俺とエディルも寮に帰ることにする




