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Name
番外編に入ります。
なんか名前、よそよそしい。
“高橋君”が?
うん、名前で。是非。
……呼び捨て?
呼び捨て。
…努力、する
ん。
私の名前も、ご自由にどぞ
りょーかい。
そんなやりとりをメールでしてから、数日後の放課後のこと。
「おはよ、亜希」
(…………っ!?)
心臓が跳ね上がった。
鼓動が自分に聞こえる位、速い。
あれからメールでだって、何度が呼ばれたことはあったけれど、それとは全く違う、比べモノにならない。
音が、響きが、耳に届いただけで、こんなにも―――――。
「どうした?」
「―――っ何でも!おはよう!!」
ぱっと視線を足元にやる。
それを不思議がって尋ねる彼の顔を、見上げることなんてできない。
……私の顔、今、とても見せられないくらい、真っ赤だろうな。
高橋は亜希を名前で呼べるようになりましたとさ。