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Canvas  作者: 紫雨
番外編
6/9

Name

番外編に入ります。


なんか名前、よそよそしい。

“高橋君”が?

うん、名前で。是非。

……呼び捨て?

呼び捨て。

…努力、する

ん。

私の名前も、ご自由にどぞ

りょーかい。



 そんなやりとりをメールでしてから、数日後の放課後のこと。



「おはよ、亜希」



(…………っ!?)

 心臓が跳ね上がった。

 鼓動が自分に聞こえる位、速い。


 あれからメールでだって、何度が呼ばれたことはあったけれど、それとは全く違う、比べモノにならない。


 音が、響きが、耳に届いただけで、こんなにも―――――。




「どうした?」

「―――っ何でも!おはよう!!」


 ぱっと視線を足元にやる。

 それを不思議がって尋ねる彼の顔を、見上げることなんてできない。




 ……私の顔、今、とても見せられないくらい、真っ赤だろうな。



高橋は亜希を名前で呼べるようになりましたとさ。

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