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プロローグ

コン、と気持ちのいい音が響いた。

あれは校庭で練習している野球部の金属バットが鳴らしたものだろう。

汗と青春の一ページが詰まったその音は、校舎裏にいる俺の耳にも届いた。


……耳障りだ。

この学校の敷地の中でも、唯一俺が本当の意味で一人になれる時間と場所がここ、校舎裏の自販機だ。

俺はここでジュースを買い、一息ついてから家に帰ることを日課としている。

ただでさえ人が来ない校舎裏の角に何故か設置されているこの自販機は、放課後になると人を寄せ付けなくなる。

そのどうあがいても電気代すらも賄えそうにない立地条件は、ぼっちの俺にとっては絶好の休憩スペースとなる。

また、この自販機は外に設置されているため、来るまでには簀子すのこの道を通らねばならない。

上を歩けばカンカンカンと騒々しい声で鳴くそれは、俺にとっては人の襲来を知らせる鳴子となりえる。

その音を便りに校舎の角に隠れてしまえば、誰と顔を合わせることもなく静かに過ごすことができるのだ。


そんな場所での一人の時間を土足でズケズケと踏み荒らすその金属音は、非常に耳障りだった……。

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