第69話 あたしVS魔族さんです( 2)
次回は8月12日に更新します! お間違えのないよう、お気をつけて下さいね?
ウフフ、皆様、こんにちは(・∀・)ノ
今現在、とーっても楽しい現場になっております西の丘に、あたし達は来ております♪ 勇者の一人、咲希ちゃんです☆
さあ、魔族のお兄さん? あたしと一緒に遊びましょうね☆
勿論、拒否権はございません! あたしがいいと言うまで、魔族のお兄さんにはお相手してもらいます(笑)
『我願い奉る、大地を司る神、水を司る神、火を司る神、木を司る神、金を司る神、五神が宿られし玉よ、その力を借り受け、この地に鉄壁の守り、その礎になることを』
これからするのは、被害を最小限にする為の、結界張り。今回一番重要なものです。ぶっちゃけ、西の丘全体に張るから、めっちゃでかい物になる。大規模な物は本来、人数揃えてやるんだけど、今回はとある品物で代用します。ついでに滅茶苦茶に呪文が長い。よく覚えてたな、あたし。
『我願い奉る、五神の各々の神に、その御心は地よりも深く、天にも届く、八百万の』
長い、とにかく長い。この呪文。
『神の御声に、我は乞う、玉に眠りしその力、我の願いの前に、力を権限す』
さあ、長い長い呪文よ、もうすぐだ!
『さあ、いざ権限せよ―――(中略)―――――急々如律令!』
長いんで、途中は省くわよ? これ全部書いたら、ページが無くなるわ!
呪文が完成したと同時に、玉が置いてある場所から、それぞれの色の光が天へと昇り、巨大な五つの光の柱が出来る。それは一定の法則に従い柱へ光の線が結ばれていく。
「まあ、こんなものかな?」
上空から見たら、これが大きな星の形である事がわかるはずだ。うん、流石あたし。思わず自画自賛するくらい、素晴らしい出来だわ!
「翠嵐! 翔太に連絡宜しく!」
『御意』
さあ、準備万端! 奥の手だすわよ☆
「和磨くん、ジュビアン神官、ファイさんをあいつから離すよ!」
「了解!」
「はっ、しかし………」
ジュビアン神官の視線の先を見れば、白熱している二人の戦い………。あはは、あれ、どうやって止めようかしら? 戦いに夢中で、恐らく周りの変化に気付いてないな。
「翔太様ならいざ知らず、ファイ殿の実力では、下手に止めるわけにも………」
ジュビアン神官、確かに。恐らく、ファイさんは全力で戦ってる訳でして。下手に止めたら、何が起きるか分からない。
「んー、まあ、いいかな?」
どうせ切り札使う時に喚ぶんだから、今喚んだって変わらないわよね。
『紕ノ斗、召喚☆』
ついでだ。
『封印解除!』
なので、登場は大人バージョンでお送りします♪
古代の神様の格好をした、髪を腰まで伸ばしたワイルドなお兄さん登場。子供の姿からは連想出来ないくらいの別人ですよ!
『よう! 久しぶりの外だぜ!』
「紕ノ斗、あの魔族のお兄さんと遊んで来てちょうだい」
『おー! 強そうだな!』
うん、何と言えばいいのやら。戦乱狂は戦乱狂だった、って事か。あのバカ、素直に魔族のお兄さんに向かっていったけど、あれ? ファイさんの事、まだ話してないよ!?
「龍! ファイさんをお願い!」
ヤバイ! 戦乱狂が人の話を聞く訳が無かった!
見れば、二人が死闘を舞っている所に、突っ込んでいってるし!? 何考えてるんだ、あのバカ!
『行くぜ! 焔蛇!』
紕ノ斗の手から、炎がまるで蛇のように魔族のお兄さんに向かっていく。あら? ファイさんの事、目に入ってないんじゃないか!? あたしの心配は、見事に的中…………。的中しなくて良かったのに、と思ったのは仕方ないよね?
炎は、まるでファイさんなんか知るか! とばかりの威力とスピードで、死闘を舞う二人へと、容赦無く向かっていく…………。
って、おぉぉぉ〜〜〜〜〜い!?
あんな威力の炎に、人であるファイさんが触れたら、一瞬で炭を通り越して灰になるわっ!!
「龍っ!!!」
頼む、間に合って! ファイさんが死ぬなんて、見たくないわ!
『水球壁!』
間一髪、龍の水がファイさんを包み込む。
…………ま、間に合った。良かったぁぁぁ――――――!!!
紕ノ斗のバカには後で、皆で説教じゃあ!! 一番苦手としている、春と樹英様に、きっちりしてもらいましょう!! 紕ノ斗、覚悟しとけっ!!!
『さあ! 殺り合おうぜ!』
あ、何か嫌な予感…………。とりあえず、ファイさんを龍に回収してもらい、とにかくあたし達は撤退。
あら、そういえば、翔太はどうなったかしら??
そちらを見れば、はい、戦ってました。そうなんですが、そうなんですが!!
「見えない…………」
余りに早い戦いで、火花やら技やらは見えるんだけど、本人達だけが見えない。うん、翠嵐もこれは手が出せないわ。風で言葉を伝えようにも、早すぎる二人の動きに、ついていけないんだわ。
「下手に止められないし、う〜ん、どうしようかしら?」
何せ、見えないのだ。あまりの早さで。いい加減、区切りをつけて対峙しようよ!?
既に準備は整っていて、後は翠嵐と紕ノ斗を残し、あたしらは撤退するつもりだったんだけど、その段階で躓くなんてねぇ?
翠嵐は、追い付けてはいるみたいだけど、言葉を伝えるのは厳しいみたいだし。
「翠嵐っ! 戻って」
こうなったら、しばらくは無理だわ。翔太と魔族のおじちゃんが落ち着くのを待つしかないでしょう。
「紕ノ斗は………」
見なきゃ良かった。思わず、黄昏たあたしは悪くないはずだ。
「なんでこっちも見えない戦いしてんのよっ!」
勿論、普通に戦いが始まっていたんだけど、どちらかといえば、紕ノ斗に押されている感じかしら? 魔族のお兄さん、中々器用な人みたいだけど、オールマイティーである分、あまり強さがない。一つの強さを持つ存在と、器用に全てを持つ存在。強いのは恐らく、場合にもよるだろうけど、一つを極めた存在だ。勿論、例外はあるわよ?
さて、今回の場合は、お兄さんでは相手に出来てないみたいなんだよね。紕ノ斗に対して。
「ほっとこう」
もう、あたしらがここにいる事自体が危ない気がするわ。
「みんな、結界の外に行くわよ〜」
「え!? 放置でいいんですか!?」
ファイさんがびっくりしてるけど、何とか様子を見て、それで何とかするしかない。
「だって無理よ!? あれをどうするのよ!」
翔太の方は、下手に手を出したら、こちらが死ぬわ………。
未だに目に見えない戦いをしている翔太達。これ、いい加減に何とかしたいとは思う。思うけど、無理だわ。
「んー、あっ! あの手があったわ!」
ウフフ、これで万事解決よね!
「翠嵐♪」
呼んだ彼女の耳元に、ひそひそと話せば、何故か呆れた顔をされた。え? おかしい事かな?
『主人はん、それは………』
「大丈夫♪ このままやっちゃえ☆」
ノリと勢いで、ゴー! と、翠嵐に行ってもらう。
『翔太はん、すんません! 舞風!』
翠嵐は、申し訳ないと謝りつつも、強力に吹き付ける風を翔太に叩きつける。あ、勿論、直撃コースよ☆
「うわっ!? はっ!?? 何だこれぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!??」
翔太の絶叫が軌跡を描く。あら、久しぶりに星キラーンを見たわ(笑)
「翔太、飛んで行ったけど、いいの………? 咲希さん」
和磨くんの困惑気味な声がする。あはは、まあ、うん! 仕方ないよね?!
「はーはっはっ!! 味方に吹き飛ばされるなんてな! 小僧! 中々楽しい最後だったぜ!」
魔族のおじちゃん、いや、筋肉おじちゃんは、腹を抱えて楽しそうにしてるけど、さ?
ん? 何で言い換えたって? 意味が変わらないんだから、いいのよ。気分よ、気分。
「さぁて、切り札と行きましょうか?」
あたし達は、そそくさと結界の外へ。翠嵐に、翔太を迎えに行ってもらうから、あっちはいいとして。←えっ!?
「さあ、紕ノ斗! 好きにしていいわよ!」
まあ、もう一つの切り札もあるから、今回は紕ノ斗に好きにさせよう♪
『よっしゃぁぁぁ――――――――!!!』
魔族のお兄さんは、相手をしていただけなのに、既に肩で息をしてるし…………。何か、お疲れ様です!
まあ、これからもっと大変だけど、頑張ってね♪
『いっくぜ〜!』
紕ノ斗の体が、陽炎のように揺れ始める。それと同時に、地面に先程までそよいでいた草種が、次々と勢い良く燃え上がる。余りの熱量に、恐らく魔族の二人も近付く事も出来ていない。
『熱火蓮極地獄!!!』
技名と共に、勢い良く、辺りが赤々と燃え始める。既に息をするのもヤバイ程の熱。結界越しに見ているあたしらでさえ、寒気がする程の地獄。それが目の前に広がっている。
「翠嵐! 今よ!」
『ほな、いくえ! 風嵐!』
それと同時に、風が結界内でゴウゴウと音を立てて、中はまさに生き地獄。
「さ、咲希さん? やりすぎじゃ…………」
和磨くんが、顔を真っ青にしてあたしに問うけど、あたしの視線の先には、小さな球体の結界を張り、こちらを驚愕の顔で見ている奴らがいる。
『主人? そろそろでしょうか?』
「そうみたいだね、龍」
『では………』
さあ、魔族のお二方、今迄以上のおもてなし。気に入ってくださいな?
読了お疲れ様でした!
今回でサキちゃんの回は終わるはず、だったんですが。すいません、終わりませんでした。つ、次こそは終わらせますね!!
さて、サキちゃんの次のお話は翔太にするはずなんですが、上手く話がまとまりませんでしたので、申し訳ないのですが、翔太の話は活動報告の方に出しますね?
そして、次回の更新は2週間後の8月12日になります!
ちょっと更新を止めていた、『夢渡りの姫』を更新したいので、来週はお休みして、こちらを更新させますね☆
さらに、短編小説ももしかしたら、出すかもしれません(笑) 出せなかったらごめんなさい(-人-)
では、次回、2週間後にお会いしましょう♪
感想、ご意見、誤字脱字、ご質問、いつでもお待ちしております。なお、作者はメンタル強くないので、お手柔らかにお願いします。