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第68話 あたしVS魔族さんです( 1)

次回は7月29日に更新します。

目の前には、もうもうと水蒸気が立ち上がり、視界が悪い。けれど、今のあたしには都合がいいのです!


はい、今現在、魔族さんと戦闘中の咲希ちゃんです☆ お相手は、魔術服のお兄さん。中々の美形さんです(笑)

髪を肩で切り揃えていて、深紅で揃えた控えめなゴシック系の魔術服を着てます。スラリとした無表情系イケメンさんです。


「相手は魔族、気を抜いたらアウトよ! 前衛は気を付けて! イーリス!」


喚んだのは、あたしの契約武器。虹色に輝く宝玉のついた、銀色の杖だ。さてさて、どうしようかしら?


「咲希さん、式神様ださないの?」


考えてたら、和磨くんに見事なカウンターを食らいました。あたしのライフを味方が削ってどうするよ!?


「悪いけど、今は無理――――切り札の方に回してるから、余力ないわ」


まだ時間稼ぎが必要な位には、準備は終わってないのです。仕方ない。恐らく、後10分はかかるだろうね。


「もし、式神様を出すなら、それなりにピンチの時かしらねっ! 『聖なる(ホーリー・シールド)!』」


目の前に光属性上級のバリアを張る。と、同時に、何かが複数飛来し、弾かれていく。あっぶなー!? おいおい………、シャレにならんだろ!?


((しろ)(たつ)樹英(じゅえい)様、急いでっ!)


とは内心で思うものの、まあ、時間がかかるのは仕方なく。


「和磨くん、風で霧を散らして!」


このままは現状、此方も危険だわ。


(ウインド・)竜巻(ストーム)!』


和磨くんの呪文で、重く淀んだ霧が風で晴れていく。まあ、体制は整えたから、行けるとこまで行きますか。

霧が晴れると、魔族のお兄さんは何やら準備しているご様子………って、ヤバイじゃないのよっ!?


『『祈りの(プリエール・シールド)!!!』』


あたしとジュビアン神官が唱えたと同時に、お兄さんも準備完了。てか、ジュビアン神官、後ろにいたのね!? 気配しなかったわよ!?


(ダークネス・)夜想曲(ロンド)!』


ゲッ!? ちょっと〜!? この盾だとヤバイかも…………。


(はる)っ!!」


召喚したのは、式神様の(はる)。長い髪を結い上げ、桃色の衣を羽織る儚い系の美人さん。あたしの式神様の中で、守りに関しては随一の力を持ってるんだ。


『水晶壁!』


春の正面に、まるで水晶の様な美しさの結界がはらわれる。形は、あたし達を守る様に、円球を半分にしたようなもの。

黒い光線は、この水晶結界に当たるが、破れる事もなく、思わず安心する。

…………流石、(はる)。守りに関しては、あたしの式神様の中で一番の事はある。無理して喚んで正解。


「ファイさんっ! 今よ!!」


あたし達の隣で、出番を待っていたファイさん。結界から飛び出し、魔族のお兄さんに突撃をかます。その右手には、ファイさんが大切にしている魔法剣。この前、使っていた剣が折れたらしく、この際だからと魔法剣を買ったのだとか。

……………実は、この折った犯人、翔太だったりする。実戦形式の模擬戦をしたんだけど、翔太は何を思ったか、真剣でやろうといいだして、ファイさんは素直に真剣で勝負した。勿論、翔太は契約武器のフリーレンでやったんだけど、結果、ファイさんの武器が限界になり、ポッキリと折れてしまったのだ。綺麗にポッキリと………。その為、ファイさんは急遽、新しく剣を買う事に。勿論、翔太が払うと言ったのだが、ファイさんが拒否。話し合いの結果、ファイさんと翔太が折半する事で、話がついたもよう。そして今現在、ファイさんが使っているのが、その魔法剣です。

さて魔法剣とは、剣に宝玉と魔法のスペルが刻まれた、魔力の通る性質を持った剣なのである。

前の剣と形は同じような物を選んだファイさん。宝玉は火を表す赤。スラリと伸びた剣の側面には、スペルが刻まれ、それすらも美しい。

ん? これって、かなりお高い剣じゃない!?


「翔太のお財布、大丈夫だったのかしら…………」


思わず半眼でボソリと呟いたあたしに、怪訝そうにジュビアン神官が見てるけど、あたしは気付かない。てか、あたしは知ってるぞ? 翔太のお金の殆どが、お肉の代金に消えてる事を!!


『主人はん! 戦いの最中やで! 集中や!』


お札にいる翠嵐(すいらん)に怒鳴られた。あは☆


「ごめんごめん! って、ファイさんヤバイ!?」


見れば、ファイさんは魔族お兄さんと“切り結んでいた”んだよ! これが驚かずにいられるか!? だって、近距離攻撃なら行けると踏んだのに、どっからか剣を出してるし! 何げに立派な剣を持ってるし!!


あいつは魔法剣士か!!


「和磨くん、ゴー!」


前衛が出来るのは、今のメンバーで言えば和磨くんのみ。流石に式神様は無理だし。(はる)は守りで出す分にはいいけど、既に(たつ)樹英(じゅえい)様、(しろ)を出している以上、他の子を長く出す訳にもいかない。既にファイさんが向かった辺りで、(はる)はお札に戻っている。

これが紕ノ(ひのと)だと、駄々を捏ねるんだよねぇ。


あら、話が脱線したわ。


『主人、準備整いました』


影から(たつ)の声がする。良かった、間に合ったわね!


「すぐに戻って」


『御意』


これで思う存分、式神様を使えます!


「咲希さん、流石に僕、あの中には入れないよ!?」


あら、和磨くん? まだいたの?

困惑顔で、ファイさんの方を見てます。あたしも見れば…………ワオ。互角の戦いしてましたよ!? ファイさん流石です!! 新しい魔法剣を上手く使いこなしてます。


「ファイさん格好いい〜♪」


「咲希さん!? そういう問題じゃないよねっ!?」


おもいっきり和磨くんに突っ込みをされましたが、問題無し! なんの為に、無理して式神様を使って切り札を用意してたと思うの?


「ファイ殿と互角………しかし、状況は此方に不利ですな」


険しい顔のブラオさんの言葉、ごもっともです。和磨くんは気付いてないみたいだけど。


「どういうこと?」


困惑気味の和磨くんに、仕方ない。説明いたします。


「今は互角に戦ってるけど、不利なのはね? いくら人間が鍛えていても、相手が魔族では意味が無いていうのは分かるでしょう?」


基本的なスペックが違うんですよ。魔族と人間じゃあね。いくら鍛えていようとも、根本的な部分じゃ変わらないのだ。


「今は互角、そう、ファイさんは追い付いている、―――――けれど、これから先は?」


「あ…………」


ようやく気付いたらしい。まあ、経験が少ないからね。仕方ないだろう。


「ファイさんの補助を二人にお願いします、あたしは切り札の準備を始めるわね」


ファイさん自身、もうあまり長くは保たないだろう。早めに切り札を使うしかない。


「二人とも、合図したら一切の攻撃をせず、自身の守りを優先してね?」


これから行うのは、巨大な術式。この辺り、一帯に効果がある巨大なものである。まあ、これも切り札の布石に過ぎないのだけど。

………………あー、また寝込むかもなー。


「それじゃ、あたしは少し離れるよ、二人とも、ファイト♪」


「分かりました、サキ様、お気をつけて」


「って、ジュビアン神官!? 何でさらっと流したの!? 僕達で補助はきついよね!!??」


あら、和磨くん? あなた、いつの間に突っ込み体質になったの!? 翔太なら分かるけど、和磨くんに突っ込まれるのは意外だわ。


「準備はすぐ終わるから、大丈夫だよ? じゃ、ヨロシクね?」


この忙しい時に、ぐだぐだ突っ込まれると困るのよ? 微妙に威圧を込めた視線に、和磨くんは目を見開いて固まっていた。ま、彼には殺気や威圧を込めた視線を向けた事はないからね。びっくりもすると思う。

けどさ? あたしは今から、ファイさんを助ける為に、切り札を使いに行くんだ。そこを間違ってほしくない。決して、見捨てるわけじゃないんだから。


「分かったら、ファイさんを宜しくね」


「………うん」


今度は、頷いたけど、不請不請頷いたって感じだね。まあ、素直に頷いただけ成長したかな?


「サキ様、御武運を」


ジュビアン神官はそう言うと、すぐにファイさんへと視線を向けた。あらまぁ、お役目に忠実ですこと。一方、和磨くんは、何かを堪えるように、あたしから視線をそらしてファイさんへ向けた。

内心、葛藤してるんだろうね?


「さてと、いきますか」


あたしが式神様に頼んだのは、五つの場所に、とある物を置くこと。その場所が広い為に、時間がかかったんだよね。


(はる)、守りはお願いね」


『畏まりました』


札から顕現した春は、あたしの後ろに静かに控えている。うん、何か昔みたいだわ。


『オン』


さあ、魔族さん? あたしと一緒にアソビマショウ?


ぜってい、逃がさんからなぁ!!


読了、お疲れ様でした。


一週間ぶりの秋月です(笑)


本日は咲希ちゃんの戦闘回なんですが、あれ? 戦ってないよね? どっちかというと、ファイさんが戦ってるよね?


あれ? おかしいなぁ…………。


えっと、暫く咲希ちゃんの戦いになります。あ、次は翔太ですよ!

お楽しみに!


感想、ご意見、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、秋月はあまりメンタル強くないので、お手柔らかにお願いします。

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