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第58話 真相を語り、罰を与えましょう( 笑)

呪咀編は漸くお終いです。

次回の更新は5月6日です。

はい、皆様。クラリオン王国勇者サキちゃんです☆

只今、呪咀の原因となったお屋敷に来ております。説明を始める前に、まさかの事実が発覚! 故に、現場がド修羅場になっております!!


…………が、あたしが放った一言で、みんなが無言。マジで無言。だから皆さん? 可哀想なものを見る目を此方に向けるの止めて! ストップ、ストップ!!!


「ゴッホン、…………お見苦しい所をお見せしました、勇者サキ殿、お話の続きを」


ある意味、微妙な空気を叩き切ったのは、公爵様。威厳のあるお腹……じゃなかった、お顔で話の続きを促してくれました。ありがとう! 微妙な空気を壊してくれて!!


「ええ、では続きを……………さて、奥様? お嬢様? 何故このような事態になっているのでしょうか? 奥様は確か伯爵家から嫁がれたのでしたね?」


「えぇ、そうよ」


肯定はするものの、青ざめたままの奥様。ようやく自覚できたかなぁ?


「しかし奥様、貴方はこの中で一番下の位であるのに、まるでこの屋敷で一番偉いとばかりに動いているように見えますが?」


そう、まるで格下のはずの伯爵家が、公爵家より上のような動きをしているのだ。王家の血を引く、公爵家の姫にこんな仕打ちしといてさ、自分だけ逃げられる訳ないですよ?


「そ、そんなわけっ!」


ない、と続けようとして、未だに厳しい視線を送る周りが視界に入ったのか、言葉につまる。


「ではこの部屋は何ですか?」


あたしが部屋を見せると、目をさ迷わせる。


「そ、それは…………」


もう反論も言えないだろう。こんな事態を引き寄せてしまったのだから。


「此方の御子息も、ご息女も、お二方は現国王陛下の末妹様の血を引いています、その意味はお分りですね?」


奥様は理解出来ているのだろう。顔からは既に、絶望を感じるような、そんな悲壮な表情を浮かべている。


「どういうこと? 私はお姉様と血が繋がってないの?」


「ジョセフィーヌ………」


下の姫は、どうやらこの事を知らなかったみたい。まあ、女の子だから良かったけど、男の子ならヤバかっただろうしね。良かったねぇ。女の子で。


「貴方は公爵と、其方の伯爵家の方の間に生まれた子なんですよ」


「………っ!」


自分には王家の血が流れていない事を、知らなかったもよう。あのなぁ? 普通は気付くぞ? まあ、頭の回転は悪くないらしく、自分がしでかした事も理解出来たもよう。顔色が母親よりも悪いもの。


「しかしこうなったのは、使用人の皆さんにもありますよ」


「我々にも?」


次に使用人の皆さんに参ります。つーか、あなた方の態度がこの人達を歪めた原因みたいだしね?


「あなた方は、この公爵家に仕える人でしょう、なら、何故、上の姫ばかりに優遇したのです? あなた方の仕える家族に、何故、格差があるのです?」


「……………」


そりゃ言い返せまい。本当に上の姫ばかり、優遇していたみたいだし? お蔭で上の姫様は、こんな目に合わされた訳ですし?


「まだありますよ?」


「まだあるのか!?」


この際だから、全員に言おうと思います。だからね? 御子息様? 何で驚いているんですかね?


「勿論! 御当主様と御子息様にです、聞いた所によると、あなた方は忙しさにかまけ、お屋敷帰る事も暫くなさらなかったとか…………きっと上の姫様は、見放されたと感じたでしょう、家族から見放されたら、心には闇が出来ます……………その闇を、魔族に利用され、巫女様への呪咀となり、今回のような事態へとなったのでしょう」


これが結論だ。勿論、城からはお咎めは来るだろう。もしかしたら、お家お取り潰しになるかもしれないのだ。


「呪咀!!?? 何の事ですの!?」


奥様、初耳だった模様。あれ? 説明してなかったっけ?


「したよ、説明は僕がね? ただあの時、奥方は気を失ってしまったからね」


「そうですか」


あはは、なら分からないわよね。


「まあ、姫様は被害者ですからね、問題は姫様の闇を利用したのが、魔族だという事です」


「なっ! 魔族ですと!?」


これには流石の公爵様も、目を見開いて唖然としています。仕方ないわよね〜、娘は虐げられたうえに、呪咀の疑いまでかけられて。

ただし、あたしはこの家庭が壊れる事をよしとはしませんからね。こっからは、殿下にも力を貸してもらいましょう♪


「どうやら今回の件は、魔族に“仕組まれた”ようです、殿下、この場合はどうなさるのがよいのでしょうか?」


そうあたしは殿下に問い掛ける。その隣では、公爵様と御子息様が、この世の終わりの様な顔をしてます。


「何という事だ………」


まさに、ナイフとかあったら思い余って自殺………なんて考えそうで怖いです。言っときますが、ここは貴方のお嬢様の部屋ですからね? 血なまぐさい事は、ご遠慮しますよ?


「うん、今回は公爵家は魔族に利用された形だし、穢れを払う意味で1ヶ月位の自主謹慎でいいんじゃないかな?」


おや、随分軽いような? あたしの視線に気付いたのか、殿下は説明してくれました。


「サキ、彼らは被害者だ、巻き込まれたに過ぎないんだよ、それに家族の問題に我々は口出しはしないよ」


最後の方は苦笑まじりで言われました。あ、そうですか。


「…………お父様?」


と、とっても綺麗な声が辺りに響きました。余り大きな声ではないけれど、この部屋の中なら十分でしょう。


「フィー!」


御子息様、とてつもなく素早い動きで、お嬢様の枕元へ。目で追えなかったんですけど!?


「お兄様……」


「良かった! 目が覚めたんだね!」


先程の悲壮感もどこへやら。感極まった感じのお兄さん、お父様も混じって号泣。うん、そうだよね。自分達が不甲斐ないばかりに、娘に辛い思いをさせてしまったんだから。


「すまないなぁ、フィー………、お前に辛い思いをさせてしまった…………」


お父様、涙ぐみながら姫様に許しをこう様に、ベットの傍で膝を着き頭を垂れます。


「お父様…………頭を上げて下さい………私はもう、大丈夫だから…………」


まだ弱々しいけれど、嬉しそうに微笑む姫様からは、悲壮感は全く感じられない。

…………まあね、あたしが記憶を偽装………いや、良い方向になるように書き換えたし。大丈夫です!


「お父様、お兄様、お継母様とジョセフィーヌは?」


空気が氷着きました。わお、姫様、無意識に爆弾を落としましたよ!


「いるよ、ここに」


とてつもなく固い声で、二人を前に連れて来ました。姫様には分からないように、二人を睨み付けてましたが。

まあ、仕方ないわよね。実の妹を、半分とはいえ、血の繋がった末妹と、父親の後添いである継母が、大切な妹を苛めていたんだから――――――。


「――――ヒィリスティーヌ、ここにいるわ…………」


「っ…………お姉様っ」


継母は顔を真っ白にしながらも、気丈にも、前に出た。妹の方は、自分がしでかした事に対しての罪悪感からか、下を向いていた。

反省してる分、まだマシだろう。


「お二人ともどうしたの? もっと近くないと、よく顔が見えないわ」


「っ!?」


「お姉様!? 何で……? 私、私っ! いっぱい意地悪したのにっ………!!」


困惑したような継母と、涙でぐちゃぐちゃのジョセフィーヌ嬢。そんな二人に、クスクスと笑うフィリスティーナ嬢は、どこか無邪気で、とても輝いて見えた。


「あら………ふふっ、悪戯は確かに悪い事よ、ジョセフィーヌ………それを諫めなかったお継母様も――――――、でもね? 私は二人の事、大好きなの…………それではダメかしら? ねえ? お父様、お兄様」


その言葉に、お継母様は泣き崩れました。ジョセフィーヌ嬢も、その横で子供の様にわんわん泣き。使用人の皆様も、涙をハンカチで押さえつけ。父親である公爵は、娘の言葉に驚いていましたが、すぐに顔を優しいものに変えて、うんうんと頷き、男泣きなのか目頭を押さえた。兄の方は、信じらんないようで、ベットにいる妹をガン見した後、諦めたように肩を竦めました。

うん、良かった、良かった。上手くまとまりそうだね! じゃあ、あたしらは邪魔だし帰らないといけ…。


「! そうだわ! お父様、大変! この部屋に魔族がいたの!!」


あちゃー………。このタイミングでいいます? フィリスティーナ嬢!


「それでしたらご安心を、既に魔族は追い払っておりますから」


「そう…なの?」


可哀想に、恐怖を思い出してしまったらしい。青ざめ、涙目で震えて怯える姿は、庇護欲を誘うもの。これを見た周りは、あっさり陥落した。元々、お嬢様を大切にしていた皆様に、新たな絆が繋がったのを、あたしは見た。多分だけど、これから家族ぐるみで大切にされるだろう。


「我々が無事なのは勇者様のお陰です! 是非ともディナーをご一緒に」


公爵様の鶴の一言で、強制的に決まってしまいました。あたしは帰って寝たいんです! ヒマリに癒されたいんです!

勿論、色々と説明しましたが、あえなく断念。殿下の判断で、受けた方がいいって言われちゃったの!

変わりに、休憩出来る部屋を用意してもらえました。これはマジで助かる。時間になったら起こしてくれるように頼んで、少し寝せてもらった。流石に徹夜に連戦はキツかったわ…………。

式神の(はる)に、時間になったら起こしてくれるように頼んで、安心してベットに入り夢の中へ。

勿論、時間に起きて、晩餐をご馳走になり、時間的に泊まりが決まってしまい、翌朝、無事にお城へ帰還しました。見送りに皆さん集まって下さったんですが、公爵様が妙にイキイキしてまして………、奥様がお疲れ気味でした。あはは、うん、これはスルーしよう☆ ラブラブ夫婦爆発しろ! とか、思ったりしてませんから。

まあ、家族は仲良くなったし、もう大丈夫でしょう。


だからね? これにて一件落着でいいよね?


さあ、お城に帰って説明しないとなぁ〜。


読了、お疲れ様です。


ようやく何とか終わりました。呪咀編です。さあ、次は休憩ターンを挟みまして、ようやく蒼い炎編! 後編ですよ☆ ここまでお付き合い頂きまして、本当にありがとうございます!! これからも頑張りますよ♪♪

本日の家族のお話は、マジで悩みました。危うくスランプになりそうになり、ヤバかったです。あんまり感動系は読まない為か、無理矢理感が出てしまいました。すいませんm(__)m


これからの更新予定等は、活動報告にて書かせて頂きます☆


感想、誤字脱字、ご意見、質問、いつでもお待ちしております。なお、ご返事はメッセージにて送らせて頂きます。あ、感想等は、甘口でお願い致しますね!

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