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第57話 後始末をしましょう♪

次回は4月29日に投稿しますね!

呆気ない、最後の戦いとも言えない、魔族との睨み合い。それも何か分からないけれど、あたしを見て逃げてしまった魔族さん。

あのー、あたし何もしてないよ? 思わず呆然となったあたしは、悪くないと思うんだ。

と、取り敢えず、此方のお姫様は無事だし、この部屋の仕事は終わりよね?

なんて考えているうちに、あっさりとご当主の部屋に到着。


「旦那様、フランツ殿下、並びに勇者様方がいっらっしゃいました」


執事さんにより、開けられた扉から入室する。順番は、殿下、あたし、翔太、優香ちゃん、和磨だよ。ほら、あたしと翔太は不法侵入してるからさぁ。緊急事態だったんで、ごまかさないといけません。

この屋敷の主たる公爵様は、あたしと翔太が来た事に、怪訝そうな雰囲気ではあるものの、顔では歓迎の意味なのか、笑顔を浮かべていた。

うわー、態度で丸分かりだけど、仲良くしとこうとか考えてそう。あたしは、慎んで遠慮するわ。

………………だって姫さまの魂を浄化するときに、知ってしまったんだからさぁ。色々と。


「歓迎致しますぞ、殿下、勇者様方、今回は我が娘を助けて頂いたそうで、何とお礼を言っていいのやら」


この後も、しばらく公爵の歓迎の言葉を聞き。ようやく、あたし達が話せる状況になったのは、30分程たってから。

話長すぎ…………。危うく寝るとこだったわよ!

みんなもない? 話が長くて、完全に寝そうになること。

ん? 横を見れば、何故か殿下の素晴らしく綺麗な笑顔が、あたしを向いていて………………はい、すいませんでしたっっっ!!!

殿下、笑顔が怖いよ!?


「熱烈な歓迎、痛み入りますよ、公爵」


何一つ欠けていない、完璧な笑顔で答えるフランツ様。流石、王族。なれてますなぁ。


「今回の事の顛末は、勇者サキに説明してもらいます、サキ、頼むよ?」


「はい、殿下」


少し前に出て、頭を下げる。まあ、公爵は子供で大丈夫か、みたいな目で見てくるけどさ?

プチッとしていいかな? いいよね? よし、やろう!


『主よ、余計な事はせずに、お話を』


……………流石、(たつ)。あたしの行動、感付いていたか。

なんて内心思いつつ、あたしは王妃様に叩き込まれた完璧な礼をしてみせる。一瞬、公爵が驚いた様に目を開くが、そんなの知ったこっちゃない。


「初めまして、ですよね? 公爵様――――――この度、ご息女の救出に尽力しました、サキと申します、先程は顔を見せず、大変失礼をいたしました、何分、外に手強い魔物がおりました故に、少々、お邪魔するまでに時間がかかってしまいまして」


「ま、魔物だとっ!?」


隣にいた御子息がぎょっとした顔で、こちらを見てますが、まあ、無視で。この二人には、ちょっとだけイライラしてますんで。一番イライラさせてくれるのは、後ろの奥様とお嬢さんなんですがね!!!


「ご安心を………既に、私と此方の勇者、翔太とで倒しております」


「そうか………しかし何故、こんな事に」


公爵様は理由が分からないのか、考え込んでしまいました。うん、そろそろいいよね?


「その理由でしたら、奥様と其方のお嬢様が知っていらっしゃると思いますが?」


あたしが声をかけてやると、事前に話をしてある此方サイドのメンバーは、冷たい視線を。知らない皆さんは、戸惑った視線と、理由に心当たりがあるらしい皆さんは、やはり冷たい視線を二人に送っていた。


「な、何の事ですの? 私が理由を知るはずありませんでしょう」


「そうですわ!」


はあ、こいつら…………。絞めたいわ!


「そうですか……………、では公爵様、御子息様、お嬢様のお部屋へ参りましょう、暫く、お会いしていないのでしょう?」


「何故、それを?」


怪訝そうな公爵と御子息に、あたしはニッコリと微笑んでみせる。この場では似付かわしくない、とても無邪気なものを。


「それも含めて、ご説明致しますよ」


そう言ったあたしに、奥様とお嬢さんは、顔を強ばらせている。そりゃそうよねぇ? あんな部屋を見せたら、自分達が何をしていたのか、直ぐに分かってしまうのだから。


「だ、旦那さま、話でしたらここでも宜しいのでは?」


「そうですわ、お父様、お兄様、まだ寝ているお姉様の邪魔になりますわ!」


ぷぷっ、マジで焦ってやんの!

勿論、そんなのあたしが邪魔しますよ? 全力で♪

それにさー? お嬢さん、どの口で心配なんて言えるんですか?


「何を焦っておいでなのですか? 奥様方」


クスクスと余裕のある姿で、あたしが聞くと、奥様方の頬が引きつっている。さあ、ガンガン参りましょう♪ やべぇ、久し振りに楽しいわ!


「確かに、サキ殿、娘は病み上がりでしょう、邪魔になるような事は…………」


「あぁ、それでしたら、ご安心を、我ら勇者の中でも治療に関して一番の腕を持つ勇者、和磨が行いましたので、問題はございません、それとも我々勇者を疑いで?」


こうまで言われたら、彼らは行くしかない。だって行かないと言う事は、勇者が信用出来ないと言ったも同じ。そんな事が知れたら、勇者が二度と、この領地に来ないかもしれないのだ。嫌でも来るしかない。ふふっ、さあ、楽しくなってきた!


「サキ殿?」


御子息に名前を呼ばれて、はたと我にかえる。ヤバイ、楽しいのが顔に出てしまったようです。


「お気になさらず…………、さあ、お嬢様のお部屋へ参りましょう」


こうして誘い出せば、後は此方のもんだ! 皆で揃って参ります。勿論、既に式神様の(しろ)を放っておりますので、邪魔なんてさせません! さあ、思う存分、思いっきり楽しんでやるわ!


「此方でございます」


そう丁寧に礼をして案内してくれるのは、執事さん。きびきびしているし、周りの使用人さん方の反応を見るに、使用人の統括をしている人っぽい。


「あ、ジルドさん、もうお加減はいいようですね、良かった!」


…………すまん、優香ちゃん。貴方は此方の方とお知り合いなの? 誰か説明プリーズ!!


「はい、大丈夫でございますよ、ご心配を頂き、ありがとうございます、勇者様方には初めての方もおりますね、執事のジルドと申します、以後お見知り置きを、さあ、ご案内致します」


ちょっとヒヤッとしたけど、執事さんナイスフォロー!


「咲希さん」


ちょっと固まったあたしに、和磨くんが密かに教えてくれました。何でも、入口で和磨くんが強引に治療した仲なんだとか。何やってんの? 思わず心の中で突っ込んだけど、もう目の前に部屋の扉の前に着いたから、頭を切り替えないと。


「公爵様と、御子息様は、御覚悟を」


「は? 何で部屋に入るのに、覚悟が必要なんだ?」


公爵も同じらしく、二人揃って微妙な顔をされました。


「見れば分かりますよ、開けて下さいな」


そして開け放たれた室内を見て、既に知っている人々を除き、皆さんの反応がヤバかった。

特にお父さんである公爵、顔から表情が消えてます。マジで怖いです! そして御子息、目を見開き固まってしまいました。公爵よりはマシに見えるんですが、何でしょう? 顔より心の方が心配です。絶対に内心では、嵐が吹き荒れているはずです。

……………早まったかなぁ?


「……………ジルド、これは何だ?」


「そうだ! 何故、室内がこんなに何もないんだ!」


そう、この部屋は、年頃のお嬢様にしては、何も無さ過ぎる。鏡と、ブラシ等の最低限の身嗜みグッズ。簡素な机と椅子、それ意外は、作り付けのクローゼットしかない。そのどれもが公爵家のご令嬢が使うには粗末な物である。言っておくが、ここは公爵家。そのご令嬢の部屋が、こんな簡素なはずがないのです。そう、誰かが指示しなければ。

スタスタとあたしは皆から離れ、そして、クローゼットをあたしが無言で開くと、そこには普段着としても質素なドレスが数枚だけ。

それを見たお二人、既に青筋が浮かんで参りました。


「……………奥様からの指示でございます」


ジルドさんが話した瞬間、公爵様と御子息様、二人揃ってギロリと奥様を睨み付けました。


「どういう事だ?」


さっと顔色の変わった奥様。そして隣にいたお嬢様も、不安そうに胸元に手を当てました。その腕には、華奢な型の、青い宝石の着いた金色の腕輪が。それを見た瞬間、御子息様、飛ぶような早さで、そのお嬢様の腕を掴みあげました。な、何事よ!?


「きゃっ!」


「ジョセフィーヌ、何故、お前がその腕輪をしている!」


短い悲鳴を上げたお嬢さん、もといジョセフィーヌ嬢。お兄さん、マジで怖いです…………!


「答えろ! ジョセフィーヌ!」


「…………こ、これは、お姉様から、貰った………」


「んな訳あるか!! これは母上のお気に入りの、形見の品だぞ!? ルーシェがお前にあげる訳があるか!」


あ、これはヤバイ。お兄さん、頭に血が登って冷静ではいれないみたい。仕方ないね〜。


「あのー、すいませんが、そろそろ話をしたいので、家族会議は後でお願いしたいのですが………」


周りから、特に近くにいた我が勇者メンバーから、何だか可哀想な者を見る目で、此方を見る皆。分かってるよ! 空気読めって言われてる事ぐらいは!

ぶっちゃけ、疲れてる上でこれをされるとね? イライラしてくんのよ!!


「はぁ、そうだね…………サキ殿、話の先を頼む」


さあ、これから説明を始めましょう。今回の呪咀事件の真実を。


読了、お疲れ様でしたm(__)m


本日は何とも微妙な展開となりました。

が、次回も続く展開ですので、もう少しお付き合い下さい。


次回は4月29日に投稿しますね。


感想、ご意見、誤字脱字、ご指摘、いつでもお待ちしております。なお、甘口で送って下さると助かります。作者メンタル弱いので。宜しくお願いします。

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