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第56話 黒幕には怒りの鉄槌………ですか?

次回は4月22日です。


さあーて、呪いの本体は浄化しましたよ〜♪ いやー、昔の仮面が剥がれるなんて貴重な体験しちゃいましたが、問題なし! いやだって、呪いは無事に浄化は完了したわけで、結果オーライ?


「咲希、無事に浄化が終わったら、勝手に魂は帰るんだろ?」


怪訝そうに、あたしの手元を見たのは、翔太。体格はあたしら勇者メンバーではピカ一の風体。そんな翔太が覗き込むように見てるのは、あたしの手元。そこには、綺麗に輝く澄んだ色の光輝く玉が。実はこれ、あたしが最新の注意を払って浄化と記憶の改善を行った結果、まさかの滅茶苦茶綺麗な姿になった魂さんです。


「なんか………スゲー綺麗になってるよな、この魂………」


「だよねぇ〜」


思わずあたしも苦笑いになったのは、仕方ないよね?


「でも、何で戻らないかなー? おかしいでしょ、中は浄化したら終わりのはずだし?」


だから争う事の無い、室内に何かと使える殿下まで付けて送ったんだから。


「お前、今なんか変な事、考えてないか?」


「ベツニ………ん?」


何でもないと、続けようとして、異様な気配を感じた。何というか、こうゾワゾワするような………例えるならば、命の危機を感じた時のような、こう、心臓を鷲掴みにされたような? 上手く言えないけど、ただ一つ確かな事は、屋敷の中に、とても危険な存在がいる。優香ちゃんや、和磨くん、殿下、ブラオさんでさえ、一瞬で消せるような何かが。


「翔太、何かヤバイのがいる」


あたしの常には見せない固い声色に、翔太の一瞬で勇者の顔付きになる。普段は見せない、険しい顔色。


「どこか分かるか?」


「多分、屋敷の中…………ごめん、それ以上は分かんない」


何か、気配がおかしい。ヤバイ奴なのは分かるんだけど、気配が曖昧で、辿れない。翔太も場所が分からないみたい。


(たつ)、分かる?」


胸元に入れている、お札に聞いてみる。


『恐らく、屋敷の奥の部屋からだと…………かなり危険な相手ですね』


龍の声が普段より固い。うん、間違いないね。


「もし戦って勝敗は?」


念のために聞いてみたけど、微妙な雰囲気である。え、マジ!? 龍は手持ちで2番目に強いはず。それでも!?


『恐らく、我では勝機は2割も無いかと…………』


「「……………」」


あたしと翔太、揃って沈黙。チーンて音が聞こえそうなほど。式神様が勝てない相手に、あたしでは無理だ。恐らく、翔太辺りなら行けるかもだけど、無理はさせたくない。最悪、逃げる事も考えないと。

そうそう、あたしと翔太、実はまだ屋敷の外にいる。理由は簡単。呼んでも誰も出てこないの。さっきから、あたしと翔太で何度もノックしたりベル鳴らしたりしてんだけど、誰も来ない。


「緊急だし、けやぶっていい?」


翔太、既に構えている時点で、聞くのはおかしいでしょ!?


「普通に入りなさいよっ!」


スパァァァァァン!


久しぶりにイーリスをハリセンに変えて、翔太の頭にヒット〜☆ これで脳筋バカが治ればいいのに……………(笑)


「っ〜〜〜〜〜!? お前なぁ! ちょっとは手加減しろよ!?」


はぁ? するわけないでしょ?


「さぁて、馬鹿はほっといて行きましょうか………」


静かにドアのノブを回すと、あっさり開いた。わお、鍵くらいかけときなさいよ!


「行くわよ、翔太―――――お邪魔しまーす」


「待ちやがれ!? 咲希っ! くそっ…………お邪魔します」


悪態つきつつ、礼儀正しく入る辺り、前の世界で翔太はどんな躾をされたのか、ちょっと気になった。そして同時に、この馬鹿を躾けた方、スゲーって、思わず感心してしまった。翔太はあたしの視線に気付いたらしく、怪訝そうな視線を向けてきた。


「何かようか?」


「何でもない、そろそろ武器を用意しておこう」


「フリーレン」


「イーリス、来て」


翔太は大剣、あたしは杖。それぞれ召喚して気付いた。

あ…………、室内で大きな武器はヤバくない?


「あたしは杖だからまだしも、翔太はやりにくくない?」


室内またいな狭い所は、大きな武器は使いにくいのだ。あたしの指摘通り、翔太も思ったのか、普通の剣のサイズまで、フリーレンを小さくしてた。


「へぇ! フリーレンて小さく出来るんだ!」


「サイズ変更しか出来ないけどな」


それでも便利過ぎると思うんだけど?


『主、あの部屋からです』


(たつ)の言葉に、その部屋へと視線を向ける。既に扉が開いた状態の部屋からは、ピリピリとした緊張をはらんだ気配が漂って来ている。


「さぁて、勝てるかしらね?」


「さぁな、俺も奥の手出さなきゃいけないかもな」


物騒な発言をした翔太に、視線を向けると、ニヤリと顔は笑っているものの、目は笑っていなかった。多分、あたしも同じ顔をしてると思うわ。あら、あたし達似た者同士!? えー…………何か微妙。


「咲希、何か変な顔してるぞ?」


「な、何でもない…………」


鋭いなっ!? 翔太は。

まあ、扉の前に着いたから、もうお話は終わりだけど。中をそっと覗き込めば、険しい顔の皆の姿が。そして、あたし達に背を向ける不審な男がいた。誰もあたし達に気付いていない。ならチャンス………とは言えないのが、あの不審な男。多分、気付いてる。あたし達の事を。


(やりにくわね! こいつ!)


内心、おもいっきり毒づきながら、懐から一枚の札を取り出す。こっちに気付いてるなら、遠慮はいらないわよねぇ?


「――――――オン」


室内では、優香ちゃんと和磨くん、ブラオさんにフランツ殿下の四人が不審者と一触即発の気配。とてもピリピリした、独特な空気。元の世界でも感じた、張り詰めたこの嫌な場を、何とかしなければならない。


「あいつ、魔族だな」


ボソリと小さく呟いた翔太。こいつどんな視力してんだか…………。内心呆れつつ、準備が終わったお札を室内に放つ。薄暗いため、誰も気付いていないだろう。

翔太が視線で問うてきたが、無視。答えたら切り札にならないでしょうよ。


『主、皆をお呼び下さいませ、我々だけでは危険過ぎまする』


涼やかな(はる)の優しい声は、嗜めるような注意喚起。彼女はあまりこんな事は言わないから、嫌でも分かる。とんでもない相手だって事が。――――――でも今、彼らを呼ぶ事は無理だわ。やったら、気付かれるなんてもんじゃない。


ばれる!


ただそれに尽きる。恐らく、チャンスは一回のみ。気配を消すのは出来るけど、あんまり霊力がない今現在、このお札が文字通り、あたしの切り札ね。

まあ、魔力は余裕があるし、相手は魔族だから、光系の魔法でも使おうかしらね?


「まどろっこしいな!? 俺は行くぜ!」


「ちょっ!? 翔太!?」


小声な為か、聞こえなかったらしい翔太は一気に室内に侵入。剣を魔族に上段から振りかぶった!


(え〜い! このバカがぁぁぁ―――!!)


もうちょっと考えて行動しろよ!?


翔太の登場に、魔族らしい人物は、素手で剣を受けとめた。


はぁ?


目の前の光景に、思わず唖然。恐らく室内組もだと思う。だって有り得ないでしょ!? 素手で剣を受けとめるとか、普通なら自殺行為ですよ!?


「うーむ、我にかかってきたのはー、バカとしか言えないねー、我はー、公爵だしー」


独特な話し方の魔族、その発言の一部に、あたしの背筋から冷や汗が落ちる。

翔太の速度も、威力も、何も問題は無かった。素人目からも完璧だったんだ。それを素手で、それも指で、剣を受け止めた。こんな意味分からない強さの奴が魔族にいたなんて、聞いてないんですけど!?

このままは翔太がヤバイ!


「翔太っ! 避けて! (たつ)、全力で狙ってちょうだいなっっっ!!」


あたしは直ぐに、龍を解放バージョンで召喚する。龍の顕現と同時に、翔太は足で蹴って、魔族から距離を取る。入れ替わる形で、龍の人間バージョンの武器、三股の槍を魔族に向けて振るう。


「ふんー、暇潰しにもー、ならないねー」


こちとら最初から全力よ? それを暇潰しとかっ! はぁ? ふざけんじゃねぇぞ!? 室内じゃなかったら、今頃、神級の魔術ぶっぱなしてわっ!!!


「まー、君達ならー、彼らよりはー、遊べるかなー?」


………………ほう、遊びときたか。こんの、げどうがぁぁぁ!!


―――――プッツン


辺りに何かが切れた音が、聞こえた気がした。


『あ、主?………咲希さま?』


(はる)が震えた声で、あたしを呼ぶ。けれど、あたしは、答える余裕なんて、ない。


「ねえ、魔族さん?」


一瞬にして、後ろにいたあたしに、魔族が一瞬、驚いた顔をした。近くに来た事さえ、恐らく気付けなかったが故に。しかし、それも一瞬。すぐに、何故か、顔を青ざめさせた。


ん? 何で顔が青ざめたのかしら?


「く、来るな!」


はぁ? いきなりなんなんだ!?


「我の役目は終わった! 我は帰るー!」


そういって、何故か魔族の後ろの空間が歪み始め。あっさり、帰還………………。


「えーっと、何があったの?」


皆そろって、沈黙。

急に帰った魔族に、皆そろって頭の中はハテナが埋め尽くされているはずだ。絶対に!


「あ、咲希さん、魂」


「そ、そうね!」


ゆっくりと手元にある魂を、そっと体に帰す。何だかよく分からないけど、無事解決でいいんだよね?


「咲希ちゃん、大丈夫なの?」


魂は入った。綺麗な魂だから、もう大丈夫だろう。


「うん、大丈夫だよ♪ よし、後は瘴気を浄化して当主さんに説明して終わりだね」


何かしっくり来ないけど、まあ、無事に終わったからいっか!


「あのー、皆さん? まだ終わってませんからね?」


フランツ様、何で釘をさすかなぁ。綺麗にまとまりそうだったのに。



本当に、今日は最後までしまらないわー。


読了お疲れ様でした!


本日は最後が、あっさりと終わりました。何度か書き直しましたが、これしか道がありませんでした。戦闘を期待した方、申し訳ありません。次回は後始末の話になります。エヘヘ、やっと呪咀編が終わり、青い焔編にいきます。ようやく彼が登場! 小出しで伏線はってて、ようやく登場。お、遅いな、アハハ(;^_^A


さて、本日よりミニ小説は終了致します。変わりに、小話として活動報告に出そうと思います。ちょっと、時間的に厳しくなって参りまして。楽しみにしてくださっている方、申し訳ありませんm(__)m


感想、ご意見、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね!

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