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第55話 呪咀よ、成敗です!

次回更新は3月25日です。

今回は戦闘描写がございます。苦手な方はご注意下さいませ。

まあ、秋月なので、大丈夫だとは思いますが…………。

皆が屋敷に向かったのを確認し、あたしと翔太は、すぐに宙を彷徨う呪咀本体の元へ。その途中、懐から御札を取出し、式神の皆をこの辺りの浄化に向かわせます。


樹英(じゅえい)様、緋ノ(ひのと)(しろ)、散って各自にてこの場の浄化を!」


それぞれに向かう彼らを見送り、あたしは翔太に視線を向ける。


「翔太、これから見せる姿、誰にも言わないでよ?」


「はっ?」


意味が分かってないな、こいつ。まあいい。これから見せるのは、あちらにいた頃の陰陽師としての顔。早く言えば、今までで一番の闇の顔を見せるわけだ。まあ、優香ちゃんや和磨くんには、絶対に見せられない裏の顔ってやつ。

目を閉じて深呼吸を一つ。それだけで、あたしの普段の気配が切り替わる。昔からの暗示みたいなもの。


「お、おい? 咲希………? ………っ!!?」


翔太があたしを呼ぶけれど、振り向いたあたしを見て、翔太は驚きと共に息を飲む。当然だ。今のあたしは、何の感情ものせていない、ただの視線を向けただけなのだから。まさに無機質。

昔、仕事をしていたときも、普段のあたしとの差に、誰もが驚いていたのだから。


(たつ)、来て」


懐から御札を一枚取出し、召喚する。それだけで、辺りの闇が浄化される。


「翔太は地面から、呪咀の本体に攻撃してね」


龍の背に乗り、空中へと飛んでいく。


「あー、それなら問題ないんだわ」


そういった翔太は、空へと既に飛んでいるあたし達の隣へ、平然と並んでいた。え、こいつ飛べたの!??


「おいおい………、俺これでも二回目勇者だぜ? こんな呪文くらい知ってるよ」


「ほんと………反則チートよね」


「まあ………この恥ずかしい産物が付くんだがな」


微妙な顔の翔太が、そう言って指差した背中には、真っ青な見事な大きな一対の翼。二枚の大きな翼は、大きく羽ばたき、とても力強い。


「前の世界にいた頃は、真っ白だったのにさ、こっちで発動したら、真っ青だぜ? ビックリしたぜ」


なんてのんびり話してました。あたしもすっかり最近見せてた顔に戻って。


―――――今はそんな時ではないのに。


『主よ! 来ますっ!!』


(たつ)の声に、はっとする。ヤバイ、折角の暗示が剥がれてる。こんなこと、今まで無かったのに…………。内心をとにかく押し込んで、あたしは印を組む。


「禁っ!」


星の形に印を切る。あたし達へと向かって来ていた呪咀の本体は、透明な壁に弾かれ、あたし達に触れる事すら出来ない。


「咲希っ、避けろ!」


あたしの背後にいた翔太から、言われたその瞬間、とんでもない衝撃があたしの横から襲ってきた。いったぁぁぁぁぁ!? はぁ!? なにこれ!


「古の契約に伴い、我、翔太の名の元に命ずる、集え、水の聖霊よ! かの者を災いから守り通せ!! 水の守護結界」


翔太の詠唱が終わると同時に、あたしを守る様に、薄い水の幕が張られる。


「サンキュー! 翔太っ」


「そいつには少しだが、回復効果がある、ちっとは楽になるはずだ」


そういえば翔太、氷属性持ち。下位属性に当たる水属性はお手の物だったわねぇ。

けどさぁ?


「翔太、これ、前の世界の魔法でしょ? 気配が全然違うわ」


「つーか、今はそんなのんびり会話出来る余裕ねーだろ!?」


まあ、そうよね。翔太が先程、横から攻撃しやがった呪咀の分身?みたいなやつの相手をしてくれてるから、あたしは楽なんだけど。しっかし、緊急の場合は龍か(はる)の結界が張られるはずなんだがね?


『申し訳ありません、気配が無かった為に、気付くのが遅れました』


気配がない? あたしの前のやつには間違いなく気配がある。大抵の奴には気配があるわけで。なのに気配がない…………もしかして!


「翔太っ! そいつは“人形”よ!!」


「はあ!? いきなり何だよ!?」


そう叫びつつも、翔太はまだまだ余裕で相手をしている。まあ、任せても大丈夫だろう。

あたしはお約束、束縛の術を発動!


「縛縛縛、不動縛!」


不動明王の束縛術。これで“こいつ”は動けない。苦し気に動こうとするが、あたしの術を呪咀ごときが破ろうなんて、百年早いわっ!!


「ふぅ………、浄化をさっさとするか」


あたしは無制限収納バックから、透明な丸い石と、同じく透明な勾玉の付いた数珠を取り出す。これ、偶然に契約する時に見つけたもの。本来なら魔力増幅に使うらしいんだけど、霊力でも使用可なのは確認済み☆ 使われている石は、とても貴重な一品なのは、既に確認済み。ええ、確認した方が真っ青になって、顔を引きつらせ始めた時点で、何となく納得。既に契約済みのため、譲る事も出来ません。あたしが死んだら、自動的にあの勇者専用武器庫へと戻るんだって。安心安心。

さて、印を組み、浄化の呪文を唱えていく。


「禁制し奉る、この息は神の御息、この声は神の御声、この手は神の御手、かの物に奮うまがものよ、いざ立ち去り給え、元の住みかへ帰れ!」


動けない呪咀の本体にとって、これはかなり苦しいものだろう。体に毒を入れられているのと、同じなんだから。まあ、自業自得だから、同情はしないけど。


「咲希、何か動かなくなったんだがよ? どうなってんだ??」


そちらを見れば、翔太が途方に暮れていた。まあ、仕方ないわよね。事情の説明してないし。


「翔太が相手をしてたのは、呪咀が操っていた人形なのよ、本体は今、あたしが浄化中だし」


「なるほど、さっぱりわかんねぇー」


………………。こんの脳筋が!! こんくらい理解しやがれ!


『主、出て来ます!』


龍の言葉に、視線をそちらに向ければ、呪咀の中から柔らかい光を放つ、手のひらにのる位の珠が出て来る。よっしゃぁぁぁっ!!

一気に楽になったわ!


「ありゃなんだ!?」


隣の翔太が一々茶々を入れてくるから、イライラするんですけど…………。落ち着け、あたし。後はこの珠が体に戻るようにするだけなんだから。


「あれは姫の魂だよ、核にされてたやつが、浄化されて出て来たんだよ、あれを浄化して姫の体に戻せば、基本的に終わり、後は周りを浄化するだけだしね」


「…………呪咀って怖いな……」


顔を引きつらせてるけど、まだやることあるからな!?

姫の魂をそっと手に取ると、浄化と、体に戻る様に呪文を唱える。


「光の(ライティング・レイン)


普通、広範囲に使うものなんだけど、あたしは極一部の指定した範囲、つまり姫の魂に向けて優しい力で浄化していく。


「ふぅ………これで大丈夫よ、さあ、お帰りなさい、貴方の辛い思いはあたしが引き受けるから」


そういって姫の魂を体があるであろう部屋へそっと向ける。勿論、姫の魂には、あたしの浄化の呪文と結界で守りは万全。例え禁忌を犯した大馬鹿者でも、命を奪う気は全くない。

というか失せた。イヤー、何かさ? どうもこの姫、何かに唆されたようなんだよね〜。だって呪咀なんて、まあ、呪いの事ね? それを素人が出来るかっていえば、答えはノー。誰かが唆したとしか考えられないんだよねぇ。状況から見てさ?


「ぜぇったいに、蜥蜴の尻尾切りだけはさせないわよぉぉぉ〜?」


あたしは自慢じゃないが、かーなーりー、しつこいわよ? 黒幕だけが安穏と隠れてられるなんて、ぜぇったいに思わないでよ?


「お、おい? 咲希? 和磨達の元へ行くんだろ?」


顔を引きつらせた翔太に促され、あたしは渋々、姫の魂を手に持ったままお屋敷へ。うん、分かるわよ? 何で姫の魂が体に戻らないのかでしょう? 恐らくだけど、体に問題が発生してるわよ。間違いなく。


「咲希っ!!」


翔太が叫んだその時、黒い靄の呪咀の塊が、あたしのすぐ後ろに迫っていた。


『水陣壁!』


と同時に龍の声が響き、あたし達を守るように水の壁が出来上がり、呪咀の攻撃から、あたし達を守る。


「ありがとう、(たつ)、さーて、悪い子にはお仕置きしないとね?」


既に姫の魂という核が無いため、どろどろした気持ち悪い化け物と成り果てた、呪咀の成れの果てとでもいえるモノ。それは水に触れるとシューシューという音を立てて、グズグズと溶けていく。内心ウエッて思うけど、とにかく刀印を組む。既に懸念していた姫の魂は無い訳で………………問答無用!!

全力で叩き潰してくれるわっ!!!


「臨める(つわもの)、闘う者、皆陣列(やぶ)れて、前に在り!」


刀印を思いっきり振り下ろした。遠慮なんて勿論するわけない。こいつは成れの果て。ここで倒さなきゃヤバイ。


「闇は闇に還りなさいっ!!」


あたしの手から放たれた、真っ白い浄化の光を放つ刄が、黒い靄の呪咀の成れの果てを真っ二つにする。それは断末魔の耳を塞ぎたくなるような声と共に、グズグズと溶けて消えていく。


「随分とあっけないな?」


怪訝そうにしてる翔太には悪いけど、これがあたしの普通である。既に欠片も残っていない事から、間違いなく奴は倒されたのだ。


「終わりだよ、さあ、お屋敷へ行こうか」


多分、そこでは、今回の元凶が高みの見物をしているはずだから。


元凶さん? あたしがぜぇったいに捕まえて差し上げますよ。だから、あたしと楽しく遊びましょう??


読了、お疲れ様でした(´∀`)


イヤー、前日ギリギリに書き終わりました(^o^;

ちょっとここ2日3日程、緊急事態になっておりまして、書く時間が大幅に削られてしまいました………。とにかく水曜日お昼更新に間に合って良かったぁ(_´Д`)ノ~~

ちょっと間に合わないかとヒヤヒヤしましたが、無事に投稿できました☆ 良かった、良かった!


さて、めでたい事があったんですよ!!


テンシロが、な・ん・と!!


総計30000アクセス突破!


凄くないですか!? 初めての事態に、目が点になりましたよ! 


いつもご愛読いただいている皆様のお陰ですね! 本当にありがとうございます(*^□^*)

これからも秋月、頑張りますね!


さて、今日はネタが降りましたので、きちんとミニ小説を書かせて頂きます!



咲希:こんにちは(・∀・)ノ

翔太:こんちはー! 今日はオレらだぜ☆

咲希:しっかし翔太って反則チートよねー。

翔太:まあ、二回目勇者だしな。仕方ないだろ。そういうお前も反則チートって分かってるか?

咲希:ん? そうなの? 言っとくけど、翔太よりはマシよ?

翔太:何処がだ! お前こそ自覚しろよ!? 陰陽道に式神だろ? 魔術なんて全部網羅してるし、記憶力抜群、運動は平均並でもな? 魔力なんてオレと和磨と優香の三人足して更に倍にしたくらいの魔力もってんだぞ!? 更に神の愛娘とか、シャレにならんだろ!!

咲希:そうかなぁ? 翔太だって、二回目勇者だから、前の世界の魔法使えるし、運動神経いいし、頭だって悪くない、剣なんて超一流の力量だし、魔法だってあっさり使いこなせるし。あんたに死角なんてあるわけ?

翔太:おまえにだけは言われたくないわ!


どっちもどっちな気がするのは、果たして気のせいなのでしょうか…………??


和磨:どっちもどっちでしょう。というより、同類じゃないの?


秋月:ですよねー…………。




感想、ご意見、ご質問、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、秋月はメンタルは強くありませんので、優しめにお願いしますm(__)m なお、感想等を下さった方には、必ずご返事を書かせて頂きます。よこされてない等の方がおりましたら、お手数ですがご一報下さいませ。返事はメッセージで返させて頂きます。

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