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第51話 夢で現実を知りましょう

次回は2月11日更新です。

本日は咲希ちゃんの非常識が………。


夕方には狩りを終え、国境のオシャレな砦に帰ったあたし達は、報告も無事に終え、夕食を各部屋で食べ終わり、後は寝るだけになりました。最初は食堂の予定だったんだけどね? ほら、姫様が来ちゃったから、一緒はマズいらしくってさ。食事は美味しかったわよ。

さてと、着替えやら何やら終わらせたし、後は寝るだけです。


「さーて、夢を渡りましょうかねぇ〜」


布団に入り、呪文を唱える。頼むから、めんどくさい事には、どうかどうかなってませんように!




しばらくすると、何やら暗い空間に出た。うん、無事に夢の世界に入れましたね♪


あら…………?


目の前には、光っている細い道のような線が続いてますけど。


「何で3つに別れてるのよ………」


呆れたのは無理もないよね?! 普通は一本なんだよ? 何で複数に別れてるんだよ!?


一番右側はハッキリした線。真ん中は途切れそうな細い線。左側はやや細いもののハッキリしている線。


………………。


…………。


……。


うん、決めた! 一番右側に行こう!


「誰と繋がるかしらねぇ?」


おかしいな〜。今日はあたし、ある程度の情報をくれる知ってる人に入ろうと思ってたんだけど? うーん、何か間違えたかな?


「お邪魔しま〜す♪」


軽い口調で入った、誰かの夢の中。


「ん? これ………花畑?」


ふわりと香る美しい花畑。一輪一輪がまるで芸術的な美しさの花は、この辺り一面を覆い、まるでメルヘンの世界を思わせる。蝶々が飛びかい、平和な世界のよう………なのだが、太陽があるはずの世界は雲におおわれている。


「んー? 花畑が曇ってるって…………うわっ!? 雨まで降ってきた!」


夢とはいえ、あたしは侵入者なわけでして…………、はい、濡れます(涙) トホホ………。


「マジで誰か見つけないとヤバイ!」


雨が降る花畑の中を、あたしは小走りで走っていく。夢だからか、泥はねも無し!


「いたっ!」


そこには美しいドレスを纏ったお姫様。うん、ぶっちゃけエリー様ですね。いやー、相変わらず綺麗な方ですね〜♪


「ヒック………姉さま………エグ………おね……えさま………エーン………ヒック」


泣いてましたがね…………。手の平で顔を隠して、ずーっと泣いてます。


「エリー様、夢の中で泣かないで下さいな」


「え…………?」


冗談めかして言ったんだけど、どうやら正解らしく。エリー様はあたしを見て唖然。


「サキ? 本当に? 夢では?」


キョトンとしているエリー様は、あまりの驚きからか、普段の抱っこ癖が出ません。いや、期待はしてませんからね? つーか夢で窒息死とかシャレにしかなりませんから!


「お久し振りです、エリー様、何やら起きているようなので、夢で来てしまいましたよ?」


そういうと、エリー様、またしても泣き始めました。うん、泣き方がね? 途方に暮れたような、何やら見ている此方が胸に来る………そんな泣き方なんですよ。


「エリー様、泣いていたら分からないんです、事情を説明してくださいな」


涙を目に一杯に溜めて、それでもようやくエリー様は決心がついたのか、ポツリポツリと話始めました。


「昨日の午後でしたわ………お姉様は普段、城の北側にある神殿に暮らしているのですけれど………、あの日はわたくしが出向いて、お茶会をしていたのです」


確かエリー様のお姉様は、城の神事を取り仕切る巫女の役をしてるんだっけ。


「お茶会がお開きになった直後、急に黒い霧が現れて、そしたらお姉様が………倒れて……悲鳴を上げたのですわ………お姉様を医者や神官、魔術師にも見せましたが、どうにも手の施しようがないと…………魔術師達が夕方に、原因は“(のろ)い”だと、報告があって…………カズマやユーカが今、必死に色々してますが、どれも決め手に欠けていて…………カズマは魔術図書館に籠もって調べてくれていて…………わたくし、どうしたらよいか…………」


そのまま泣き崩れるエリー様をあやしながら、あたしはギリッと歯を噛み締める。

……………呪いは、陰陽師の十八番だ。あたしがいれば直ぐに解決案を出せたはずだ。

でも今、あたしは城の中にいない。和磨くんや、優香ちゃんに頼むしかないのだ。直接は今は無理だ。前に貸して貰った魔術で通信するチャンネルは、残念ながら他国では使えないのである。

……………遠い。その一言に尽きる。


でも、何も出来ない訳じゃない!


「エリー様、今からあたしが言う事を、必ず行って下さい、いいですね?」


泣いているエリー様には悪いが、事は一刻を争う。


「まず部屋に結界を張って下さい、神官様に頼んで必ず部屋の中を浄化してください、呪いを少しでも押さえられます、後は聖水を本人に飲ませて下さい、出来れば聖魔法がかけられた宝石が着いた物を姉姫様ご自身か、近くに置いて下さい、少しはマシになるはずです」


他にもあるが、後はあたしが居ないと指示できないものばかり………。それでも気休めよりはマシになるはずである。


「分かり………まし…たわ………」


「あたしも急いで帰りますね、だから気を落とさないで下さい、エリー様」


まだ間に合うはずだ。呪いは昨日から起きた…………ならば、あと5日は無事だろう。呪いは基本、7日が成就する期限なのだから。勿論、これが異世界まで通じるとは限らない。だから楽観的には見れないけれど。

どうもこの呪い、じわじわタイプみたいなんだよね。日本で言う、丑の刻参りみたいな…………。だとすれば、今から帰れば間に合うかもしれない。


「エリー様、待ってて下さいね? 勇者咲希、超特急で帰りますから!」


「えぇ、待っています、サキ」



◇◇◇◇◇



目が覚めると、うっすら明るくなってきていた。うわー、ナイスな時間に起きたっぽい?


「荷物は特にないけど………」


いや、あったわ。実は昨日、報償金を貰ってました。ほら、あたしと翔太は色々とやらかしてましたから(汗


「まあ、いいわ、全部バックに入れてあるし………着替えと、身仕度だけね」


いそいそと準備をしている間に、外も明るくなって参りました! さあ、朝御飯だ!


「おはよー」


「おう、おはよー……」


最初に会ったのは翔太………なんだけど、目の下にクマとか。何があったわけ?


「ジュビアン神官の歯軋りとファイのいびきが酷くてな………」


「そ、それは御愁傷様」


何て会話をしつつ、苦笑する。後ろにご本人達がいるんだけどな。翔太よ。まあ、全員いるから、昨夜の夢の話をする。


「呪い………?」


怪訝そうな翔太、まあ、そうよね? 多分だけど、禁呪でしょうから。


「だから、急いで帰るよ」


「分かった」


後ろの二人もうなずいてくれました。翔太はぎょっとしてたけどね(笑)


さて、そんな訳で、シャーロット様とセルカさんにはキチンと説明し、慌ただしく朝早くから帰る事になりました。勿論、呪いの件は秘密で。あ、ジョージさんとライラさんも一緒だよ! 二人には教師役の報償金が国からとギルドから出るからね。貰う為にも来てもらうことに。


「お世話になりました、シャーロット様、セルカさん」


「此方こそ、この砦と仲間、民を救う事が出来ました、これも皆様のお陰ですわ、礼を申します」


「本当にありがとうございました」


二人とも笑顔で見送ってくれる。最初あった時は何事かと思ったけど、出会えて良かったよ。本当に。

…………次に会う時は、普通に会いたいけどね!


「急ぐとの事でしたので、絨毯で行きましょう、サキ様は式神様で宜しいのですか?」


「いや、今回はあたしも絨毯で行くよ、霊力は基本、使わないで行くつもり」


相手は呪い。ならばあたしは本気でかからなくてはね? 陰陽師に呪いで喧嘩を売ったんだから、ただで済むと思うなよっ!!


―――――人を呪あば、穴二つ。


昔から語られる、呪いの代償。陰陽師が平気なのは、それを避ける事が出来るから。何を思って呪いなんてやってるかは知らないが、手を出したなら覚悟をしてもらわなくては。それ相応の代償を払ってもらうわよ?


「おい、咲希? 目がマジで怖いから止めろ!?」


「ん? ごめん、もしかして無意識に殺気でも出てた?」


「い、いや、目付きが恐かっただけだ」


「そう………気を付けるわ」


何故か翔太がぎょっとしてたけど、何かしら? あたし変な事でも言ったかしら? 考えてみるけど、特に変なこと言ってないわよね? 変な翔太。


「サキ様ー、ショータ様ー、準備出来ましたよ」


ファイさんが呼んでる。そろそろ行かないと!


8日ぶりにクラリオン王国に帰れるんだ。まあ、絨毯使っても、片道4日はかかるんだけどね(汗


待ってて下さいね、エリー様、皆! あたし頑張るから!


勇者咲希、超特急で帰ります!!


こんにちは。読了、お疲れ様でした。


本日は咲希ちゃんの非常識が前半、後半はお怒り心頭の巻でした(笑

しっかし、陰陽師は勉強する事が多いですね………。榊やら何やら、秋月は頭がパンクしそうです。

さて次回より、お城にいる和磨くんと優香ちゃんの視点に行きます♪ やーっと、戻って参りました!! ついにここまで来たぜ☆ 

ここから先は、テンシロには珍しく、シリアスシーンが一杯になりますが、ご安心下さい。秋月が作るテンシロ、シリアスだけになるわけがございません!!

請うご期待!


さて、ミニ小説をば。



咲希:何か城の雰囲気ヤバそうなんだけど………。

和磨:頑張ってはいるんだけどね? 何だか皆がピリピリしてるよ。

咲希:これが呪いの怖いところなのよね…………。周りも巻き込むところ。

和磨:咲希さんも陰陽師なら、呪いとかしたことあるの?

咲希:残念ながら無いわよ。呪いを扱うのは、18歳からって御当主様に言われてたし。

和磨:…………それって、依頼があるって事だよね?

咲希:まあね? どこにいても、考えていることは一緒なのね。

和磨:そんなしんみり言われても!? 実感こもってるから重いよ!?

咲希:まあ、頑張ってね! あたしも早めに行くけど、着くのはギリギリだから。

和磨:マジで早く帰ってきてよ!?


中々に切実に願う和磨くんでありました。



感想、ご意見、誤字脱字、ご指摘、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね。

次回は2月11日更新ですよ!

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